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映画感想『the lord of the rings: the return of the king』


two towers を観た勢いそのままに、return of Aragorn まで進んでしまいました。

泣きました。

こんなに泣ける旅の終わりはありません。

今思うと、ホビットたちが主人公のように感じられるけども、タイトルは俯瞰で見ているような名前なのが粋ですよね。二つの塔も、王の帰還も、フロドたちのことに一切触れていないタイトルですからね笑

この映画を何回観たかは覚えていませんが、今宵もまた、新しい発見がありました。今回はキャラクターたちの表情に自然と注目していました。
彼らの表情を見るだけで、戦っている相手の強大さと、そこに負けない強さが宿っています。メリーとピピンが離れ離れになりながらも、それぞれがいる国のため、仲間のため、ひいてはフロドのため、故郷のため、戦いに身を投じる覚悟を決めた表情は、明らかに前二作よりも、険しく凛々しいものになっています。映画ではよくわかりませんが、原作上はピピンやメリーは若いホビットなので、それを勝手に加味して、二人の成長の表情に感心しました。

メリーとピピンという、一種コメディ要素を担っていた人物たちが鳴りを潜めた中、それでも絶望的な物語に笑顔をもたらしてくれたのは、ギムリでした。作品を通して彼はレゴラスとの友情を深め、刺々しさがなくなり、文句を言いながらも結局頑張っちゃうおじさんになっていました。いいですよね。ドワーフらしい言葉と態度なので、キャラ設定を壊した無理な笑いは生みません。本当に彼が存在するかのような振る舞いばかりで、大好きです。表情に関して言えば、もじゃもじゃ髭がなんだか笑っているように見えるのが不思議です。暖かさがずっとあるんです。

ゴラムの表情は言うまでもありませんが、最も感情表現が激しい素晴らしい顔でしたね。改めてみると、彼の顔は醜悪なものというよりは、フロドやビルボが感じたような、哀れを抱いてしまう犠牲者の顔つきでした。彼もまた、指輪の魔力に取りつかれただけの一般人だったのでしょう。

サムとフロドの絶望組の表情も良かったですね。(そういえば、元々のプランではどうやってモルドールに潜入する予定だったんでしたっけ)。指輪の魔力に苛まれ、敵はうじゃうじゃいるし、食料はなくなるし、ゴラムという精神を逆撫でする生物もいるしで、観ている側からしたら戦争参加よりも苦しそうな旅路です。それらを抱えながら歩き続ける二人の表情は、当然疲労困憊で、目の周りも赤く腫れ、頬は煤だらけなのですが、一度始めたことをやめない意思、大義、忠義、そういう微かな希望を求めて常に手を伸ばし続けているたくましさと勇敢さが感じられ、他の旅の仲間たちが、二人を信じて賭けに出る気持ちが少しわかります。

今回で1番の収穫だったのは、フロドたちがなんやかんやあり指輪を滅びの山に投げ込んだ後、ガンダルフの目に涙が滲んでいるのを見たことです。もう少し後のカットで、涙を流しているガンダルフがいるのは知っていましたが、涙を滲ませているガンダルフを今回発見して、感情が大きく揺さぶられました。涙が流れる前の目の滲みって、爆発直前の最も大きな感情が存在する瞬間だと思っていて、その瞬間のガンダルフがいたんだと気づいて、すごく感動しました。魔法使いという、人間よりもドワーフとよりもエルフよりも、ホビットなんかよりも格上の存在なのにも関わらず、人間よりも人間らしい豊かな感性と大らかな心を持っているガンダルフが大好きです。あの時彼は、何を思って涙を流していたのでしょうか.......。

全員の表情が最高でした。ストーリーが良いだけでは良い映画は作れませんよね。キャラクターの存在あってこそです。そういう面でも、今作はやっぱり素晴らしいです。


追記
サウロンの表情も改めて見ると面白かったです。指輪が滅びの山にあることを知った時の「あっ、やべぇ!」みたいな表情の目が可愛かったです。ざまあみろ。

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