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【自己紹介】後半―うつ病に苦しんだ僕が伝えたいこと

※本動画はYoutubeにもアップしています。重たい内容もありますが、強い想いで伝えたいこともあるので、ぜひ見てみてください。動画はこちらから。

 前半で書いた通り、僕はこれまで、英語学習にのめりこんで話せるようになったり、猛勉強の末に旧帝大に合格したり、幸福度1位の国に渡航したり、本を出版したりしました。

 出版した本のテーマは「幸福」です。そして、これからもそれをテーマに一生発信したいとも考えています。

 それでは、なぜ、自分が幸福について発信したいのか。わざわざ本を書いたのか。

 そこには大きな理由があるわけです。

 実は、それらの本は、”100%幸せな人”が書いた、幸せに関する本ではありません。むしろ、不幸と葛藤に苦しんだ自分がその原因を突き詰めてまとめた本なんです。

 数年前。僕は、深刻なうつ病を患いました。原因は上下関係でした。当時、僕はとある目上の人にひたすら見下され、罵倒されていました。その人は年齢によって態度を顕著に変える人で、年齢が下だった自分を見下して常に減点方式で見てくる人でした。1年たらずでしたが、人生で最も不幸に感じました。いくら人格否定され、理不尽なことを言われてもぐっとこらえて耐えないといけない。それがとにかく苦しかった。

 次第に、一人の時でさえ、思い出したくないのに言われたことばかり考えてしまい、精神的におかしくなったんです。僕はずっと何も言わずに耐えていたので、その人は単に僕が気弱で何も考えていない人と思っていたようですが、僕は、その人の見えないところでもずっと苦しんでいました。

 精神状態は悪化し、一日中無気力になっていって、大好きな楽器の演奏や読書ですらできなくなりました。次第に頭痛や胸痛、睡眠障害なども起きました。ひたすら暗く悲痛な気分が続いて、ひどいときには息苦しくて呼吸がうまくできなかったり、記憶が飛んだりもした。ひどいうつ状態になっていたように思います。

 それ以来、僕は、あまりにも苦しくて死にたい衝動を何とか理性で抑える毎日を過ごしていました。うつ症状は治らず、苦しかったため、生き続けたかったわけではありませんでした。ただ、死ぬのは今日じゃなくてもいい。そう頭によぎって、たまたま生きていたのです。

 悲しいことに、このように精神病に苦しむ人は僕だけではありません。さらには、苦しんだ結果、実際に命を落としてしまう人も大勢います。世界では、毎年70万人以上が自殺で命を落としていて、日本では、2万人もの人々が毎年自殺をしています。そして、その一人ひとりに大切な人生があったわけです。

 その人たち、一人ひとりが、何のために生まれてきたのか。なぜ、死ななければならなかったのか。最後には、何を考えて、どれほど苦しみを抱え込んだのか。到底わかりません。

 ここで考えたいことがあります。現代文明は非常に発展しています。最初はずっと東アフリカのサバンナで細々と暮らしていた人間は、いつの間にか、地球を出て月を歩くようになり、クローン技術で新たな生命を作り、世界中の人々がインターネットによって一瞬でつながるようになりました。

 そこで、大きな疑問が残るわけです。

 私たち現代人は、幸せでしょうか?


 過去千年ほどで、世界のGDPは300倍にも成長しました。しかし、私たちは300倍幸せになったでしょうか?

 厳密には、近年、世界中の国々で幸福度が向上していることを示す論文があり、それは喜ばしいことです。けれど、日本やアメリカでは、短期間に急速に経済成長しても、幸福度はそれに比例して向上しませんでした。

 日本は、戦争もなく、暴力も少なくて、身体的には非常に安全な国になりました。しかし、毎年2万人が自殺するほど、精神的には非常に危険な国なんです。統計上、日本人は、他殺される約100倍自殺しています。

 私たちは、幸せを軸に社会を構成するとは限りません。むしろ、なんとなくで、人を不幸にする思想を広げてしまうことがあります。技術の発展に対して、思想の発展は遅れています。

これからの時代では、「人の幸せ」を軸に社会を構成するべきです。それを達成するためには、社会の不幸な思想の癖に気づかなければなりません。特にこれほど豊かな現代日本では、他者を対等に尊重できるだけで、より幸せな社会が実現できると考えています。


 今回の投稿では、いろいろなことをお伝えしました。自分のオーストラリアやフィジーでの経験、 本を出版した経験、強い不幸を感じた経験、そして人間社会と幸福。

 私たちは様々な課題に向き合うべきだと思います。たとえば、「急激な経済成長を遂げても日本の幸福度が上がっていないこと」「身体的な傷害に比べて、精神的な傷害があまりにも軽視されているということ」といった大きな課題には私たち全員が向き合わなければなりません。

 けれど、結局のところ、今回心から伝えたいことはたった一つです。


それは、
「一度きりで短く尊い人生を、私たちは必ず幸せに生きなければならない」
ということです。


 人はすぐに目の前のことでいっぱいになります。そのため、社会にどれほど誤った思想があっても平気で信じ込みます。簡単に人を見下します人もいます。けれど、社会の不幸な常識に振り回されず、何が幸せを生むかを見極める必要があります。

 私たち全員が、年齢や地位といった社会的空想にとらわれずに個人を見て、誰とでも対等に接することのできる、本当の意味で賢い人になる必要があると私は強く思います。

 僕は、近い将来、みんなが対等に尊重され、本当の意味で平和で幸せな日本や世界が見れることを心から願っています。僕は強い不幸を経験しましたが、社会は、本当は人とのつながりを作って人生を豊かにしてくれるものだと信じています。今回の僕の話を通じて、少しでも伝わるものがあれば嬉しく思います。



【筆者の詳細について】

―加藤将馬:著者、講演家、幸福学&ビッグヒストリー研究家
・加藤将馬のウェブサイトはこちら
・講演依頼はこちら
・YouTubeはこちら
【著書の紹介】
宇宙と人類、138億年ものがたり ―ビッグヒストリーで語る 宇宙のはじまりから人間の未来―
紙の書籍:1260円→電子書籍版:0円(変更の可能性あり)


本書は、宇宙と人類の歩みを考察する一冊です。
「宇宙が生まれた頃はどのような姿だったのか?」「なぜ19万年間も狩りをしていた人間は、今では宇宙進出を始めているのか?」「気候変動やAIなど、これからの人間社会はどうなってしまうのか?」といった大きな問いについて説明します。
 そして、本書の最大のテーマは、「人間は文明を発達させて地球の覇者となったのにもかかわらず、なぜ世界には数多くの自殺者がいて、不幸が消えていないのか」というものです。
 138億年にわたる壮大な物語を堪能していただくと同時に、人間社会のあり方にまで思考を巡らせてもらうことを本書では目的としています。そして、私がなぜ本書を書き、ビッグヒストリーを通じて何を伝えたいのか。ぜひ、最後まで見届けていただけると幸いです。

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