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未来に残していきたい大自然の営み

一昨年に知り合いを訪ねておとずれた場所、滋賀県高島市。
ここは昔ながらの大自然の営みの中で暮らしてきた街、持続可能な社会を進めるような発酵食品が盛んな素晴らしい街でした。

今回、「#未来に残したい風景」というお題企画があったので、この街について過去記事を踏まえてお伝えしたいと思います。

1.滋賀県高島市

メタセコイヤ並木 左に比良山系を望む

滋賀県高島市最北のマキノエリアには、総延長2.4㎞、約500本植えられたメタセコイヤ並木は四季折々の魅力があり、その先に吸い込まれるようです。

その高島市は、このメタセコイヤ並木左手に見える雪深い比良山系からびわ湖に流れる潤沢な美しい湧き水があり、滋賀県湖西地域で最大の安曇川を中心とした幾つもの美しい川がつくる扇状地があります。

そして、年間を通じて湿度が高く発酵に適した気候と風土があります。

だからこそ、そこには大自然の中で息づく日本でも有数の美味しい水と発酵の文化があるのです。

北には日本海に近く、西には比良山系、東には琵琶湖を有する自然豊かな場所。

高島市は琵琶湖の北西、赤で囲った位置(広っ!)

昔から日本海の若狭から鯖街道や塩街道を通って京都へ運ぶ道中で保存健康食として発酵により息づいてきた街
びわ湖で採れる魚や近くの山で採れる農産物により豊かな食文化が育まれた街、であることが容易にうかがえます。

また、近江高島駅周辺は、織田信長が安土城の対岸を抑えるために築城させたという大溝城跡がある城下町として高島商人(近江商人の先人)が繁栄させ、町割り水路など、約400年もの歴史の面影を感じることができる街でもあります。


2.針江の「川端(かばた)」

高島市針江地区では、鯉や梅花藻の美しい情景も見る事ができます。

滋賀県高島市新旭町針江、この地域は、比良山系に降った雪、雨が伏流水となり各家庭から非常にきれいな水が至るところにコンコンと湧き出ています。この集落の人は、自噴する清らかな水を飲料や炊事といった日常生活に使っています。

(針江 生水の郷より)
梅花藻

ここでは、美しい清流にのみ育つ梅花藻を見る事ができます。

針江の川端(かばた)

この場所ではいたる所で水がコンコンと自噴しています。


3.天空の棚田

急峻な傾斜地に階段状につくられた美しい景観の「天空の棚田」は、滋賀県内で唯一「日本棚田百選」に選ばれました。

澄んだ空気に青い空。絵に描いたような原風景がこの畑地区にあります。

天空の棚田

ここには、いまや海外でも有名になっている気さくな澤井おばあちゃんがいます。

この澤井おばあちゃんが漬ける畑漬け、
漬けたあと1日に2~3回は必ずまめに混ぜ、5日ほどしてやっと味がなれて美味しく食べられるようになるそうです。
また、重石が重すぎても漬物がつぶれて固くなってしまうそうです。ぬかみそ漬けに比べて畑漬けは手間がかかりますが、きっとこの「手間」が味を決める大切な要素。

ここでは、当然ながら畑の肥料は鶏糞や有機肥料を使い、水は山から引いている山水を使っています。

澤井おばあちゃんによる畑漬け


4.天空のそば(在原の業平園)

自然豊かな高島市には、マタギの池田さんが経営する知る人ぞ知るそばとジビエ料理の手作り感満載のお店があります。

本格手打業平そば

滋賀県高島市マキノ町の山奥にひっそり佇むお店は、すべて天然で自然のもの。マタギの池田さんが捕ってきた鹿や猪、川魚、採ってきたキノコや野菜たち。お店自体も自身で建てた手作り小屋という、こだわりよう。

そばは10割蕎麦、だしは香り豊かな高原椎茸。
ジビエは池田さんの150kg近い猪を仕留めた感動的な映像も感動的。

ここ在原という地域は、平安時代の歌人在原業平(小倉百人一首「ちはやふる―――」で有名な)が晩年を過ごしたと伝えられる場所。
その豊かな自然の恵みを使った昔のままの素朴な味に非日常空間での食事、さらに感動!

お店の中には池田さんが捕った猪と熊の剥製も。

手作り感満載の本格手打業平そば店内


5.発酵食品

最初にも書きましたが、ここ高島市は保存健康食として発酵食により息づいてきた街でもあります。

お醤油の木桶

美味しいお米に美味しいお水、そして澄んだ空気、新鮮な食材。
お酒、お醤油、お酢、お味噌、そしてなれ寿司等の美味しい発酵食が造られるのは当然だと思います。

上原酒造と岩佐醤油(マルイ醤油)の記事は下に添付した過去記事をご覧ください。

6.最後に

この高島市の発酵の街の成り立ちは、
この地の海と山と湖の豊かな自然を利用して、
鯖街道や塩街道の存在から考えると歴史的には近江商人が最も美味しい食材を京都へ届けることと地元で冬をしのぐこと、

の理由で発酵食品が盛んとなったものと思われます。

また、今、ここ高島市で注目すべき点は、琵琶湖北西部は高度経済成長時代に流通や加工食品が発展した中でも、企業(工場)誘致等をせず現在でもなお自然の豊かさ守っており、発酵産業がコンパクトに集まっていることだと思います。

今では、この地に行くには大阪もしくは名古屋から車や電車で約2時間、この短時間の距離にこのような街があります。

多様な産業資源、貴重な歴史的・文化的資源もあり、知識欲が掻き立てられるこの文化を上手に守ってもらいたい。

まさに未来に残したい風景が高島市にあります

【ご参考】

最後までお読みいただきありがとうございました。




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