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デジタルを用いた肩のリハビリテーションは有効に活用できるか

こんばんは。

今日は肩の話題で。
Wiiは一時期流行りましたが、同じような形でゲームのようなものを通じてトレーニングするということのトライアルです。

ぜひ、確認してみてください。


抄読文献

Rizzato A, Pizzichemi M, et al.
Effectiveness and therapeutic compliance of digital therapy in shoulder rehabilitation: a randomized controlled trial.
J Neuroeng Rehabil. 2023 Jul 8;20(1):87.
PMID: 37420268; PubMed. DOI: 10.1186/s12984-023-01188-7.
肩リハビリテーションにおけるデジタル療法の有効性と治療コンプライアンス:ランダム化比較試験
Open access

【デジタルとリハビリテーション】

現代の技術を含めて、リハビリテーションにおいても、インタラクティブゲームやバーチャルリアリティ、ウェブサイトの活用、ロボティクスによるデジタル義呪術の活用は新たな機会を提供します。

Nintendo Wiiはオーストラリアで脳卒中後の治療ツールとして定期的に使用されています。

デジタル療法は患者のモチベーションを向上させ、治療エクササイズをよりポジティブなエンゲージメント体験に変えていくことができます。

しかし、多くのゲームはレジャー用で設計されており、明確なリハビリテーションの目的には適していないことがあります。

そこで、PlayBall(Playwork Alon 10 Ness Ziona Israel)は理学療法において、新しいデジタル療法にプログラムされたゲームシステムです。
視覚フィードバックを受け取って行うスマートエクササイズなボールエクササイズになります。
本研究では、その効果を検証することを目的としています。

【方法】

肩の病態(インピンジメント症候群、カプセル炎、腱の損傷、変性関節または腱の病態)を持つ22名の成人が選ばれました。

ランダムに対照群と介入群に割り当てられ、10回の連続セッションからなるリハビリテーションプログラムに参加しました。


介入群はPlayballデバイスを使用してリハビリテーションプログラムを完了しました。

PlayMoveエクササイズ: 座位で、30度傾斜した面上でPlayBall®を手でガイドする運動から始まります。セッション3からは肘で行い、セッション4以降は、測定された最大等尺性力の2%、5%、10%に相当する圧力を加えながら円運動を行います。

Real-time forceエクササイズ: 座位からの実施で、肘を90度に曲げた状態でPlayball®に対して等尺性収縮を行います。このエクササイズでは、患者はタブレットを通じてリアルタイムで力のフィードバックを受け取ります。セッション1からは3秒間の収縮と3秒間の回復、セッション3からは4秒間の収縮と2秒間の回復、セッション5からは5秒間の収縮と2秒間の回復を行います。

立位でのReal-time forceエクササイズ: これは立位で行われ、肘を伸ばした状態でPlayball®に圧力を加えます。このエクササイズも座位でのものと同様に実施されます。

対照群は視覚フィードバック等を用いずに行いました。

【結果】


  • 痛みの減少: 両グループで有意な痛みの減少が観察されました(p<0.01)。

  • 強さの向上: 両グループで力の向上が確認されました(p<0.05)。

  • PENNショルダースコアの改善: 両グループでPENNショルダースコアが有意に向上しました(p<0.001)。これは、肩の痛みの軽減、機能の向上、および患者の満足度の向上を示しています。

  • 自己効力感: リハビリテーション後に両グループで自己効力感のスコアが有意に向上しました(p<0.05)。

  • 自宅でのトレーニングに対する態度: 自宅でのトレーニングに対する態度が、リハビリテーション後に両グループで有意に改善されました(p<0.05)。

【考察】

結果として、どちらの群も改善が見られました。
これは、デジタル療法を行った群であっても、従来の方法と同様に効果が得られるということが示されました。

デジタル療法では、治療中の楽しさ、自己効力感、自宅でのトレーニングに対する意欲の向上は有益な効果であると思います。
治療効果が担保されている上に、意欲が高まると、効果がさらに向上すると思います。

【どのように活用するか】

デジタル療法はデバイスの使用に関して障壁があるとは思いますが、行える環境においては、有効に活用できるものになると思います。

本研究で着目すべきは、機能障害の観点を筋力の点においていることです。
肩の機能というと可動域に着目しがちですが、本研究では筋力発揮、コントロールといった、より機能的な面に関して注目しているところであると思います。

視覚的フィードバックは筋活動のコントロールを促進していくことができると思います。
それをゲームを通して、興味深く行うことで、しっかり実施できる環境が取れると思います。

ただ、あくまでもゲームの中なので、どれだけ実際の動きに汎化できるは疑問に思うところもあります。
さらに、ゲームとして行える環境がないとこれは成り立ちません。

でも、面白い観点の研究だと思いました。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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