「西洋美術史」を学んだら、これまでの美術館巡りを後悔した。
もったいなかった。
本当にもったいなかった。
この本を読んで、まず感じたことでした。
先日、ひょんなことから読むことになったこの本。というのも、たまたま、この本の著者の木村先生と一緒に、東京富士美術館(八王子)を巡るというチャンスがあったんです。
木村先生とお会いできるとのことで、事前に本を読み、実際に美術館でさかざまな作品を見ながら説明を聞き、感じたことが
「もっと早く読むべきだった」
ということ。そして、私と同じような思いをしてもらわないように、是非多くの人に読んでいただきたい、とも感じました。できれば「美術館、行かないわけではないけど、あんまりよくわからないんだよね」という人に。なぜなら、自分もそうだったからです。
美術とは”見る”ものではなく”読む”ものである
表紙をめくった”そで”に書かれたこの言葉が、まさにこの本のキモ。
恥ずかしながら私、ルネサンスとか、印象派とか、モネとかドガとか、そんな言葉は聞いたことあるけど、それがいつの時代でどんな作風で、どんな背景のもとでつくられたものだかはまったくわかっていませんでした。
これまで、いくつか美術館にはいっていたんですが、「はぁ~、なんだかスゴイなぁ」とか「なんとなくこれ、好き」とか。そんな感想しか持つことができませんでした。
もったいなかった。
あぁもったいなかった。
ボストン美術館行ったのに。
ボストン行ったときのコラム
モネ見たことあったのに。
あぁ何もわかっていなかった!!!あの日をやり直したい!
何も”読め”てなかった!!!
当時、この「西洋美術史」を読み込んでいれば、この絵を見たとき、「なんかすごそう」なんて浅い感想をもって終わることはなかったのだろうな、と思っています。
なぜモネのような「印象派」と呼ばれるような人が誕生したのか? この絵はどんな人に好かれたのか? 絵が美術館に展示されるまでの経緯は?
そんなことを少し前知識で入れておくだけで、この絵を、私は何倍も楽しむことができたハズなのです。
そう、この本では単なる「美術品の見方」……ではなく、そんな「美術品の読み方」を知ることができるのです!!
場面は紀元前 海を渡り……
「読み方」を知る上で重要なのは、歴史を知ること。
本書は紀元前1000年から1900年までの美術史の変遷をギュッと一冊にまとめたもの。宗教、政治、戦争、産業革命……と、さまざまな変化を遂げてきた西洋と、その時代の変遷とは”切っても切り離せない”「西洋美術史」について、時系列順に説明してくれます。
年表もついていて、非常にわかりやすい…!
当時の人々の悩みや考えがわかりやすく解説されており、かつ中学・高校で習った「世界史」のできごとが、「美術史」と絡まっていくつも登場します。
「ぶっちゃけ、世界史の教科書よりわかりやすくない???」
というのが、読んだ感想。教科書は暗記するだけのものだったのが、この本では「物語」として読むことができ、かつ前後の流れがあるので、非常にわかりやすかったです。「美術史」を学ぶことは、その国の歴史を知ることでもあるのだなと感じました。
なぜ古代の彫刻は「裸」であることが多いのか? ルネサンスはなぜ興り、そしてなぜ終わっていったのか? 「ナポレオン」が”イメージ戦略”に利用した「新古典主義」とは?
……などなど、美術に精通している人でなく、私のようなまったくの”美術(史)”素人でも、興味深く読むことができました。
あと、自分もそうだったのですが、もし高校で「世界史好きだった」っていう人だったら、絶対ハマると思います……! (「神話に興味がある人」、「建築に興味がある人」も楽しめるかと思います)
美術をもっと”読める”ようになりたい方はぜひ!
以上、ざっと本を読んだ感想を書いてみました。気になる、という方はぜひ、読んでみてくださいね! そして一緒に美術館に行きましょう!(笑)
この本を読みこめば、美術館に行ったあと、「何か凄かった」だけでない、感想を誰かに伝えたくなることでしょう。
ではまた!
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