日本人なのに和食のことを知らないの?と言いたいのはやまやまだが、じつはなかなか知る機会がないので、言われるほうもつらい。

和食を知らない日本人と、和食に詳しい外国人

地元にいながら地元の名所を知らない…
観光客のほうがよく知っている…
そうした話をよく聞きますが、同じようなことが日本の食文化でも起きているように思われます。

日本にいながら和食のことをよく知らない…
訪日外国人のほうが和食をよく知っている…
ということです。

たしかに、現代の日本人は日本の食文化や伝統的な日本料理の世界を意識することが少なくなってきています。
ごはんの炊きかたを知らない人が増えています(筆者も人のことは言えません)。
出汁のとりかた、味噌の溶かしかたを、親から習わなかった大人も多い。
親が知らなければ、子には教えられません。

そのいっぽうで、和食は世界的にブームで、和食に詳しい外国人が増えていますね。
箸の持ちかただって、そのへんの日本人より上手な外国人は、多い。
箸を使って焼き魚をきれいに食べきる外国人だって、ごろごろいます。

質問攻めにあう日本人

2019年以前は、日本を訪れる外国人旅行者(いわゆるインバウンド)がたくさんいました。
訪日外国人のほとんどは日本での食事を楽しみにしています。
日本の食文化に興味津々です。
日本のあちらこちらで「これは何ですか?」「どうしてこうなっているのですか?」という質問が発せられました。

そのため、
「自分が和食のことをあまり知らないということを、外国人に質問されてはじめて自覚した」
という気づきを得た日本人も多かったはずです。

残念ながら2020年以降はごぞんじのとおりインバウンドがほぼなくなったので、日本国内で気づきを得る機会は減りました。
ただ、おもしろいことに、海外に住んでいる日本人が、
「自分が和食のことをあまり知らないということを、外国人に質問されてはじめて自覚する」
という事件が頻発しているといいます。
日本に渡航できなくなった外国人が、近所に住んでいる日本人をみつけて、和食の質問をしているらしいのです。

和食文化は外国人が守る?

話を戻します。
自国の伝統文化を外国人のほうが勉強している、という状態は、もしかすると日本にかぎらず世界中で起きている可能性があります。
たとえばアラスカのエスキモーの若者はどんどんアメリカナイズされる傾向にあり、エスキモー文化は廃れつつあります。
むしろアングロサクソン系のアメリカ人のほうがこのことに危機感をおぼえ、エスキモー文化を残そうとしています。

類似のことが世界各地で見られるのではないでしょうか。
ある意味、世界がグローバル化しつつあることの、あらわれなのかもしれません。

これを「しかたがない」と考えるのもひとつのスタンスです。
「どうせ日本人は日本の食文化を忘れる一方だから、日本の食文化は外国人に守ってもらえばいいじゃないか」
という割り切りも、成り立ちます。

和食に興味津々の外国人

いやいや、やはり日本人が守る

ですが、あらためて
「どうせ日本人は日本の食文化を忘れる一方だから、このさい割り切って、日本の食文化は外国人に守ってもらえばいいじゃないか」
と言われると、あまり良い気はしません。
こんな割り切りに同調する食育イノベーターは1人もいないでしょう。

おおかたの日本人も首をかしげるはずです。
ごはんの炊きかた、出汁のとりかた、味噌の溶かしかたを知らなくても、
「どうせ日本人は日本の食文化を忘れる一方だから、このさい割り切って、日本の食文化は外国人に守ってもらえばいいじゃないか」
という意見には不快感を覚えるのではないでしょうか。
たとえ箸を使って魚を食べるのが下手だとしても、「日本の食文化は外国人に任せた。頼んだぞ」とは思えないでしょう。

やはり、
「われわれ日本人自身が、日本の食文化を後世に伝えられるようになっておくべきだ」
と考えるのが、自然な感情だと思われます。

このあたりでいちど、われわれ日本人も日本の食文化について学び直してみるのもよいかもしれません。

だがしかし、どうする?

問題は、日本の食文化を日本人が学ぶしくみがなかなか見当たらないことです。
日本の食文化について学び直したくても、さしあたり何をどうしたらよいかがわかりにくい。

これは無理もないことかもしれません。
もともと和食の知識や日本食の知恵などは、親から子へ、祖父・祖母から孫へ、といった形で日常的に伝わっていました。
足りないところは学校の家庭科の時間にちょこっとやっておけば済みました。
だから、一般の日本人に日本の食文化を教える大がかりなシステムは存在していません。
これまで必要がなかったから。

したがって、今になって日本の食文化を日本人が学ぼうとすると、

  • 心ある食育おばさんが開く「和食料理教室」みたいなところに行く

  • 料亭で「板前修行」する

  • 和食料理人を育てる「専門学校」に行く

みたいなことしか、今のところはありません。
しかし、「和食料理教室」は学校ではないので、全体を体系的に学ぶには向いていないし、プロになるわけでもないのに「板前修業」や「専門学校」に踏み込むのは難易度が高すぎます。
帯に短し、たすきに長し、といった状態です。

日本の食文化を学びたいふつうの日本人が求めるのは、

  • 短期集中で全体的なことがわかる

  • 外国人の質問くらいなら答えられるようになる

といったことでしょう。
こうした需要にこたえられる「ちょうどよい」学びのシステムが、ほしいところです。

日本食文化アンバサダーになろう

さて、じつは、その「ちょうどよいシステム」をがんばって作った団体があります。
団体名は、食育日本食文化伝承協会
システム名は、日本食文化アンバサダー講座

協会代表の梛木春幸(なぎしゅんこう)氏は日本料理ひとすじ30年の料理人。
彼がこういう協会をやっている背景には、
「日本の伝統食文化をなんとかして日本人に伝えたい」
という強烈な思いがあります。
日本の伝統食文化の話をしているうちに涙ぐんでくるというから、思いの強さは半端ではありません。

そんな梛木春幸氏ですから、現代の日本人が日本の食文化や伝統的な日本料理の世界を意識することが少なくなっている現状を、どうしても看過できないそうです。

というわけで、
「日本の食文化は外国人に任せた。頼んだぞ」
という無責任な不届き者をやっつけたい方は、この団体の会員になりましょう!

食育日本食文化伝承協会

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