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料理レシピ本大賞の選考を経験して思ったこと

縁あって、第5回料理レシピ本大賞の選考に携わらせていただきました。
レシピ本はこれまでさんざん手にとってきてるけれど、(当然ながら)普段は自分が求めるものしか見ていないわけで、
自分というフィルターを通さないエントリー作品を一気に見ていく、今回の経験は、なかなかに新鮮で勉強になりました。

レシピ本と一言で言っても、方向性もスタイルも、本当に様々。
読むほうとて、「美味しい料理を自分で作りたい」と望んでいるのは誰でも同じ…と見えて、「美味しい」の中身も、「作りたいもの」のイメージも、料理の目的も、皆相当に違うんですよね。

レシピ本を送り出す側の狙いは、作りたい人に届いているのか。
作りたい人の選ぶその本は、その人の目指すものに合っているのか。
作りたい側も、作ってみてほしい側も、その思いは切実で、
選考の間は、それぞれの投げる、色とりどりのボールが縦横無尽に飛び交う中に身を置いているような感覚に陥りました。

私自身、レシピ本に育てられて、料理を仕事にできるようになりました。
選んだ本も、手に取った人の未来に繋がるだろうと感じたものです。
料理は、
サイエンスであり、自由であり、
テクニックであり、五感であり、
コミュニケーションであり、内省でもあり、
生きることそのものであり、贅沢な遊びでもあります。
作ることそのものが、その人の血肉になります。(そして、食べたらやっぱり血肉になる。)
料理なんかしなくったって、生きていける時代だけど、
日々の生活の中で、毎日これほど「丸ごと」体験できるなんて、現代生活の中では、実はすごいことじゃなかろうか、と思うのです。
本屋に並ぶレシピ本の縦横無尽さは、その「丸ごと」をなんとか届けよう、受け取ろう、という人たちの、思いの多様さそのものです。

上手じゃなくてもいいし、日によってムラがあったっていいんです。たまにでもいいから、ぜひ、色とりどりのボールを、投げたり受け取ってみたり、してほしい。
レシピ本をめくって、よだれを垂らしそうになったり、テンションがあがったり、目からウロコが落ちたり、首をかしげたりする人が、一人でも増えたらいい。そんな気持ちになりました。

幸か不幸か、私たちは、明日もまたお腹が空きます。
世に出たレシピ本が、作ってみようと思い立つ人の、助けになりますように。

【追記】
ちなみに、トップ画像は、今回入賞した本の中で、私が持っていたものです。
有元葉子さんは、以前にも書きましたが、私の料理のベースを作ってくれた方。
新しいカテイカ仲間の有賀薫さんの「帰り遅いけどこんなスープなら作れそう」は、まさにタイトルどおり。仕事から帰ってきてから作り始められる、平日の晩御飯向けスープの本です。一人暮らしの人、料理初心者な単身赴任の方も、ぜひ手にとってみてください!
本山シェフの、「おうちで作れる世界のレシピ」は、クラウドファンディングに参加させていただいた本です。(note内にも記事がありました!)リターン特典で、撮影にも立ち会うことができました。撮影の演出時に私が作った「湯気」が使われてるかも…使われていないかも…

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