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2023年を振り返って

2023 年を漢字であらわすとしたら、すぐに思い浮かぶのは「変」「挑」「己」「人」などであろうか。

想像していなかった LINE からの退職、公務員 × 起業家としての新たな旅が始まった一年を、たまにはとりとめもなく振り返ってみようと思う。

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3月までインドで暮らしていたのが遥か遠い昔のできごとに感じる様に、移り変わりの激しい一年であった。

バンガロールでの暮らしは note を2本も書いたのでここで多くは触れないが、彼の地での生活が人生に与えた影響は計り知れない。

実は、2023年6月を最終出社に、新卒で入社した LINE 株式会社を退職した。

インドで生活して人生観が変わった?留学する前から辞めるつもりだった?などの問いを数多く頂戴したが、留学と退職にあまり関係は無い。

2014年に偶然ボストンで出会った LINE では、サービス・事業が成長するのに合わせて身の丈以上の挑戦の機会をいただき、学生だった頃の自分には想像もできなかった景色を見ることが叶い、上司・同僚・同期・パートナーの皆さまにも本当に恵まれ、かけがえのない経験をえることができた。

30歳という節目を迎える中、体力があり制約の少ないうちに自分の力で新しい世界を切り開いてみたいと思ったこと、未来の見えない環境に身を置くことが挑戦や幸福につながると感じたこと、LINEヤフー という新しい会社に変化するタイミングであったことなど、いくつかの要因が重なっての、突然の意思決定だ。

最終日に号泣するくらい、退職してから期間があいても未だに元同僚たちと何度も忘年会をしているくらい、大切な存在であり、感謝の気持ちで溢れている。

それなのにも関わらずどうやら自分は、居心地の良い環境から、より不透明で、厳しい環境に身を放り投げる傾向があるらしい、と高校からの友人との会話で気付いた。

タチが悪いことに、怠惰なのに向上心と競争心はあるので、強制的にストレッチが求められる環境に飛び込んでいるのかもしれない。

LINE / Yotsuya

退職の際には、次の道を明確には決めていなかった。2ヶ月間の有給消化期間があったので、その間に定まるだろうなんて考えていた。

仕事においては論理的だけれども、意外と日常における意思決定はロジカルじゃないんだね、なんて言われて、たしかにこれまでの人生における大きな意思決定は直感を頼っているのだなと気付いた。実は INFJ なのである。

8月末まではいわゆるニート的な日々を楽しんだ。ワークアンドライフな自分にとっては違う意味で挑戦の時間であったが、2週間ほど海外にいったり、瀬戸内海や関西へ国内旅行をしたりと、フルタイムで勤務していたらできないような日々を過ごせた。

クロアチアでの船上から目の当たりにした、海と街並みと、夕陽の美しさは忘れられない。2024年もできるだけ多く、景色が綺麗で、食事の美味しい異国の地を訪ねたい。

Croatia / Dubrovnik

ゆるやかな時間を過ごす中で、社会人大学院生活の日々がいかに多忙なものであったのか、そしてやはり自分は仕事が好きなのである、ということを再認識した。

仕事が好きだというと、どんなイメージを頂くであろうか?

WBSの教授が、仕事とは何かを成し遂げること、仕事が会社や社会にとっての為になり、自分が将来やりたいことにひも付き、自分が好きであり得意であること、それらが交差しているのが幸せな人生だ、そんなようなことを仰っていたことが思い浮かぶ。

自分がやりたいことはなんだろうか?人生において成し遂げたいことは?大切なものは?好きなことは?得意なことは?…そんなことをこの一年はよく考え、自分に向き合った様におもう。

落ち着かない時間が続いたので、せっかく去年始めたゴルフを、今年は数回しかできなかったのが悔やまれる。一方で、昔から大好きでコロナ禍で離れていた麻雀を、Mリーグの影響もあって再開した。

麻雀の何が良いかというと、麻雀中は麻雀だけに全集中できるので、終わると不思議と脳がリフレッシュした感覚になるのだ。大負けしなければ。

現実世界を生きていると脳みそが常に多様なことを並行で考えすぎてしまうので、漫画、映画、ゲームもそうだけど、一つの世界にのめり込む、といった体験が好きなのだ。

北海道 大樹町

その後あれよあれよと、9月からデジタル庁にて非常勤の国家公務員としてプロダクトマネジメントに携わりはじめたのは、

日本という国が自分のアイデンティティの中で大きな存在であったこと、日本が素敵な場所なのに海外と比較して未来が暗いと言われるのが常々嫌であったこと、官の世界を覗いてみたかったこと、自分の強みを活かせそうだったこと、元々の知人が中で働いていたこと… などの偶然が重なった結果だ。

非常勤の雇用形態であったり、官公庁出身の方々が7割を占める組織構成だったり、初めての中途社員という立場は、思っていた以上に気付きと学びの多い変化であった。

これまでは中途社員の方々を採用し、受け入れ、立ち上がりを支援する立場であったが、いざ自分がその立場になってみると、視野が広がるものだ。

広告事業という KGI/KPI が明確に定められた (とはいえ広告プラットフォームの KPI は非常に難しいものなのであるが…) 環境から、売上目標を必要としないインフラに携わるようになり、環境の変化の中でもっとプロダクトや組織に対して価値貢献しなければ/できるはずなのに、と感じる機会も多かった。

なお、自分で言っておいてなんではあるが、この価値貢献という考え方、良し悪しだと思う。あまりにも価値貢献ファーストで動いていくと、雁字搦めになってしまうことがあるのではないだろうか。

自分の人生という冒険を楽しむ、キャリアがどうなるかなんて、どの選択を取ったってわからないのだから、いま選んでいる選択を正解にすべく、楽しく、ポジティブに、できることからやっていく、そんな心持ちも重要なのではないか、ということも今年学んだことの一つである。

山中湖 富士山


もう一つの新たな挑戦が、Entrepreneur への道だ。

2021年に創業してから、副業で少しづつプロダクト作りをしてきた自分の事業を、退職に合わせて本格的に稼働しだした。国家公務員として働きながら自営業を担う私の働き方は、いわゆる Hybrid Entrepreneur と呼ばれるものだ。

かつては教師を目指していたこと、ゲーム好きでスマホゲームを開発する企業で働いていたこと、大学院での経験とプロダクトの原型との出会い、LINE で注力して取り組んでいた人材育成・組織開発… などが結果的に組み合わさる形で、

現在は自社で開発した経営シミュレーションゲームを用いた、経営人材育成の支援をさせていただいている。

事業の具体的な内容や目指すところなどは、これから改めて発信していきたいが、この数ヶ月で大きく感じているのは、Product Manager から CEO へと変化することの難しさと楽しさ、助けてくれる人々への感謝の気持ちだ。

前職では広告事業の責任者として P/L を追っていたわけであるが、プロダクト作り出身なこともあって、やはりどうしても良いプロダクトを作る、という部分に対するコミットメントの比重が高かったと思う。

機能別の組織を構築している大企業では、必然的に縦割りであったり・自部門の専門性に特化した考え方になるだろう。

この組織構造が良い・悪い、大企業がどう、なんて事を述べるつもりは全く無いが、

自分が持てるカードの全てを駆使して事業を伸ばしていくというマインド、カードが足りないのであればあらゆる手段でカードを増やしていく行動、お客様との接点を多分に持ち、対話し、サービスを最適な形で提供する動き方は、改めてとっても重要だと感じたし、

最初は非常に苦戦したが、今も未だ道半ばであるが、PM が CEO へと変化していくためには、必要不可欠な経験であろう。

市場における自社サービスの認知度がゼロの状態から、いわゆるラージエンタープライズのお客様に導入を進めて頂くことは、難易度が高いものであった。どんなに良いプロダクトを作れたとしても、使われなければ価値は生まれないのだ。

嗚呼、LINEという誰もが知るプラットフォームは、作り手にとってなんて素晴らしき環境であったのだろう。

幸いにも、大学院の友人や、LINE 時代から続くご縁など、多くの方が手を差し伸べてくださったおかげで、なんとか、少しづつ、事業を伸ばすことができている。本当にありがとうございます。

この感謝の気持ちを忘れずに来年度も頑張っていきたいし、周りの優秀な人たちと助け合い、高め合っていけば、自分一人ではできないことも、見れない景色もきっとみることができるのだと思う。それが、チームで物事に取り組む大きな意味だろう。

理論と技術の力で人と組織の可能性を解放する、その一歩目を踏み出すことができたのかな、なんて思っており、来年も周りの皆と楽しくいろんなことに挑戦していきたい。

Waseda Entrepreneur Center

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2023年は、大学院の卒業、転職、独立、引越しなどの「変化」が多く、

インド留学や Hybrid Entrepreneur などの新たな「挑戦」に取り組むなかで、

「己」と向き合う時間が増え、

友人・家族・同僚などの大切な「人」に支えて頂いた一年であった。

いま歩んでいるこの道がどこに繋がっているのかは未だわからないけれど、2024年は焦らず、仲間を大切に、遠い未来に目を向けて、新大陸における冒険を楽しんでいこうと思う。

United Kingdom / Wimbledon より

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