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#書評

【書評】 鎌倉幕府成立に功績を残しながら、冤罪で滅んだ悲劇の武将の生涯 評者:藤岡比左志

【書評】 鎌倉幕府成立に功績を残しながら、冤罪で滅んだ悲劇の武将の生涯 評者:藤岡比左志

歴史小説 「畠山重忠」(一~四) 菊池道人著

 本書は電子書籍サイトで配信されている電子書籍で、第1巻から第4巻まである大作。オンデマンド印刷による紙版も購入できるが、電子版が1冊税別400円と求めやすい価格になっているのに対し、紙版は1冊税別1290~1380円となかなかの価格。これからの出版界を暗示させるような設計だ。

 さて、本書の主人公は鎌倉幕府草創期に活躍した関東の武将・畠山重忠。と

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【書評】あなた好みの御朱印を見つけて、神社参拝の旅に出よう 評者:河原レイカ

【書評】あなた好みの御朱印を見つけて、神社参拝の旅に出よう 評者:河原レイカ

神様と縁結び 東京&関東 開運神社の御朱印ブック 久能木紀子著

 駅の構内で、記帳台の前に親子が行列を作っていました。「何だろう?」と覗いてみると、列に並んでいる子どもたちの手には帳面が握られています。親子で電車に乗り、所定の駅で降りて、キャラクターのスタンプを集めていくスタンプラリーでした。
 スタンプラリーの由来が気になり、インターネットで検索してみたところ、スタンプラリーの原点は「御朱印集

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【書評】若い世代へ響け「長崎の鐘」 評者:北方美穂

【書評】若い世代へ響け「長崎の鐘」 評者:北方美穂

長崎偉人伝『永井 隆』小川内清孝著

 長崎に原爆が落とされたのは、昭和20(1945)年8月9日。平成30(2018)年は73年目、そして74年目の夏は次の新しい年号の元年となる。人類史上初めて核兵器が実戦に使用され、日本がその唯一の被爆国となった昭和はどんどん遠くなろうとしている。

 激動の時代に、自ら被爆しながらもその命が燃え尽きる最期まで平和を願った医学者がいた。医学者として原子爆弾の真

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【書評】「不都合」ではすまされない 評者:小口達也

【書評】「不都合」ではすまされない 評者:小口達也

『食にまつわる55の不都合な真実』金丸弘美著

本当は怖い食の話

 飽食の時代、ネット上にもメディアにも、グルメ情報が氾濫する。さながら“一億総美食家”時代の様相だ。飽食の果ての膨大な浪費。まだ食べられるのに捨てられてしまうもの(食品ロス)が年間646万tに上るそうだ。毎日10tトラック1770台分を捨てていることになる。世界で飢餓に苦しむ人々に向けた食糧援助量の2倍にも相当するのだと。

 一

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【書評】俯瞰の視点で、地方の“から元気”に愛と喝!評者:つぐまたかこ

【書評】俯瞰の視点で、地方の“から元気”に愛と喝!評者:つぐまたかこ



「田舎の力が未来をつくる!~ヒト・カネ・コトが持続するローカルからの変革」金丸弘美著

 「地方が注目されている」とか、「地域おこしの風が吹いている」とか。そう言われて何年たつだろう。確かに東京に一極集中していた視点やものの流れは、地方に向けられ始めているような気がする。国からお金もずいぶん流れているようだし。

 しかし、それが「点」であったり、いっときの「瞬間芸」であったりすることが、地方

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