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オーバーツーリズム対策:成功事例:ベネチア編(イタリア)

ベネチアの観光客増加は、ここ10年とかのことではなく、19世紀後半から徐々に増えていったというものになり、日本とは違い、長きに渡って問題と向き合ってきた街だと言えます。

もともとベネチアは「水の都」として世界有数の観光地として知られており、中世の町並みや美しい運河が人気を集めている街でした。

ベネチアの住民は5万5000人のところ、年間2000万人もの観光客が押し寄せるそうです。

ピーク時には1日に12万人もの観光客が訪れ、その多くが日帰り旅行なのだそうです。

観光客が大きく増加し始めたのには5段階あったようです。

観光客が大きく増加した始めた5段階

1.交通手段の発達

  • 1846年の鉄道開通

  • 20世紀後半の航空機の普及

2.文化遺産としての価値

  • 1987年にユネスコ世界文化遺産に登録されたことで、国際的な注目度が高まりました。

3.メディアの影響

  • 映画やテレビ番組でベネチアが舞台として使われることが増え、その美しさが世界中に知られるようになりました。

  • 近年ではソーシャルメディアの普及により、さらに多くの人々がベネチアの魅力を知るようになりました。

4.経済発展と大衆観光の普及

  • 20世紀後半からの世界的な経済発展により、より多くの人々が海外旅行を楽しめるようになりました。

5.クルーズ船の寄港増加

  • 1990年代以降、大型クルーズ船の寄港が増加し、一度に多くの観光客がベネチアを訪れるようになりました。

特に1987年の世界文化遺産登録以降、そして1990年代以降のクルーズ船の増加により、観光客数が急激に増加したと言えます。

その他、低コスト航空便と短期賃貸の普及で、格安航空会社の増加とAirbnbなどの短期賃貸プラットフォームの普及により、観光客が容易にベネチアを訪れることができるようになりました[2]。

また、観光地の集中という問題もありました。
観光客は主にリアルト橋やサン・マルコ広場などの有名な観光スポットに集中し、これが混雑を引き起こしています

メディアの影響も大きく、特に近年のソーシャルメディアの普及が観光客増加に拍車をかけているそうです。

オーバーツーリズムの発生時期と対策の開始

オーバーツーリズムの問題は数十年前から存在していましたが、特に2010年代に入ってから顕著になりました。以下に対策の開始時期と内容を示します:

  1. 対策の開始時期:

    • 2010年代初頭から問題が顕在化し、2018年頃から本格的な対策が開始されました[4]。

  2. 主な対策:

    • クルーズ船の規制: 2021年に大型クルーズ船の入港を禁止し、代わりにマルゲーラ港に誘導する措置を取りました[4]。

    • 観光税の導入: 2024年から日帰り観光客に対して5ユーロの入場料を導入する計画が発表されました[1][5]。

    • 観光客数の管理: 予約システムの導入や観光客数の制限を行い、観光客の流入を管理しています[4]。

対策の結果と改善点

これらの対策により、以下のような改善が見られています:

  1. 観光客数の管理:

    • 観光客数の制限と予約システムの導入により、観光客の流入が管理され、混雑が緩和されました[4]。

  2. 環境保護の強化:

    • 大型クルーズ船の入港禁止により、環境汚染が軽減され、ベネチアの環境保護が進みました[4]。

  3. 地元住民の生活環境の改善:

    • 観光客数の管理と観光税の導入により、地元住民の生活環境が改善されました。また、観光収入が地域社会に還元されるようになりました[1][4]。

  4. 持続可能な観光モデルへの移行:

    • 環境に配慮した観光インフラの整備や、観光客の行動管理により、持続可能な観光モデルへの移行が進んでいます[4]。

これらの対策により、ベネチアは観光業と地域社会のバランスを取りつつ、持続可能な観光地としての地位を確立しつつあります。

ただし、完全な解決には至っておらず、引き続き対策の調整と改善がまだまだ必要とのことです。

参考
[1] https://www.foreignaffairsreview.com/home/sinking-or-sailing-venices-overtourism-dilemma-and-the-search-for-solutions
[2] https://www.responsibletravel.com/copy/overtourism-in-venice
[3] https://www.redalyc.org/journal/289/28966251003/html/
[4] https://www.cntraveler.com/story/how-venice-is-retackling-overtourism-after-a-year-without-visitors
[5] https://roadbook.com/travel/overtourism-europe-dispersal-taxes-solutions/
[6] https://investigacionesregionales.org/en/article/venice-the-problem-of-overtourism-and-the-impact-of-cruises/
[7] https://mymerrymessygermanlife.com/venice-overtourism-how-can-we-help/
[8] https://veneziaautentica.com/impact-tourism-venice/
[9] https://www.cnbc.com/2024/04/28/in-disney-fication-of-venice-world-hits-its-overtourism-tipping-point.html
[10] https://brusselssignal.eu/2024/01/venice-tackles-overtourism-new-measures-aim-to-rebalance-city-dynamics/
[11] https://etias.com/articles/venice-implements-fees-restrictions-overtourism
[12] https://www.responsibletravel.com/copy/overtourism-a-centuries-old-issue
[13] https://www.lemonde.fr/en/economy/article/2023/09/01/overtourism-a-venetian-curse_6118491_19.html
[14] https://www.weforum.org/agenda/2023/10/what-is-overtourism-and-how-can-we-overcome-it/
[15] https://www.researchgate.net/publication/361412096_The_Dichotomy_of_Overtourism_How_Did_Venice_Become_Venice
[16] https://www.dailycal.org/weekender/features/love-for-a-dying-venice-the-resilience-against-overtourism/article_7bf39a34-bb2f-5145-86e4-c66b881bc3ff.html

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