「書くのが遅い」を解決するたった1つの方法
こんにちは!
みなさん、こんな悩みはありませんか?
同じ文章を何度も書き直して、なかなか前に進まない
提案資料の文章を書くのに時間がかかる
メールやチャットはいいけど、1,000字を超える文章は書くのが苦手
「もっと速く書けるようになりたい」と思っている人はたくさんいます。でも、ふだんの仕事のなかで文章術を学ぶ機会はなく、「個人のセンスや努力任せ」になりがち。結果、書くことに苦手意識をもつようになる……。
なんてもったいない!
今回は、「スラスラ書けるようになる簡単な方法」を解説します。
ぼく自身、駆け出しの編集者時代は、A4の企画書を1枚まとめるのに3時間以上かかっていました。日中にはそんな時間をかけられないので、夜な夜な書いていたのを覚えています。
でも今は、一般的なビジネス書のボリュームであれば、1週間で1冊書くことができます。この連載記事も、毎回1時間くらいで書いています。
書くのが速くなれば、書くことは怖くなくなります。
「書くのが遅い」「時間をかけてもわかりやすい文章にならない」という人は、ぜひ参考にしてください。
書くのが速い人は「下書き」を活用している
編集の仕事をしていると、ときどき「光速」とも呼ぶべきスピードで原稿を書く著者やライターさんに出会います。しかもクオリティが高い。思わずこう質問してしまいます。
「なんでそんなに速く書けるんですか?」
すると、だいたいこんな回答が返ってきます。
「最初にガーッと書いて、あとから整えてますね」
そう。書くのが速い人の多くは、最初に「下書き」を用意して、そこから加筆・削除・整理といった「修正作業」をしているんです。
越川慎司さんの本『時短の一流、二流、三流』にも、こんなことが書かれています。
一文ずつ推敲し、完璧な文章を積み重ねていこうとすると、時間がいくらあっても足りません。「こっちを整えたらこっちも直さないとな……」と行ったり来たりしてしまう。この負の連鎖を直すたった1つの方法が「下書きの活用」なのです。
まずは「骨格」を決めよう
いくら下書きといっても、むやみやたらに書き進めるのは非効率。どこに向かうかを明確にするために、最初に「骨格」を決める必要があります。
文章の骨格として、まず以下の4つを書き出してみましょう。
●------------------------------------------
1. ターゲット
「誰に読んでもらいたいか」「誰なら喜んでくれるか」を決めます。この記事なら「書くのが遅くて悩んでいる20〜40代」という感じで、悩みやニーズ、年代を大まかに設定します。
2. テーマ/読み手のゴール
「主題は何か」「この文章を読むことで何を得られるか」を決めます。この記事なら「下書きを用意することで、書くスピードが上がる」といった感じ。この設定がボンヤリしていると、論点がズレたり、ミスマッチな事例を書いたりしてしまいます。
3. 仮タイトル
仮のタイトルをつけましょう。クオリティは気にせず、「ターゲット」と「テーマ」をただ置くだけでOK。この記事なら「書くのが遅い20〜40代が読むべき『書くのが速くなる下書きの用意法』」といったイメージ。こうやって言語化するだけでも、書くべき内容が定まってきます。
4. 構成
3に基づいて、「見出し」を付けます。この記事なら以下のようにしました。
はじめに
下書きが必要な理由
下書きを用意する方法①
下書きを用意する方法②
下書きを用意する方法③
まとめ
※各表現は、具体化してもOKです。ちなみに、構成の段階では「3つくらい方法があるといいな」と思っていたのですが、下書きを準備するなかで2つに減りました。
------------------------------------------●
どうでしょう。イメージがつかめたでしょうか?
「ターゲット」「テーマ/読み手のゴール」「仮タイトル」「構成」。この4つを骨格として書いておくと、迷ったときもすぐ立ち返れるので、結果的に文章が速く仕上がります。
骨格づくりのポイントは、仮でもいいので決めること。クオリティは気にしないでください。後からいくらでも変えられるので、まずは仮置きすることを意識しましょう。
パターン1:見出しに「情報」を振り分ける
さて、ここからは「書く人」「テーマ」「構成」によって進め方が違います。
ここでは2つのパターンを紹介しましょう。
まずは、見出しに「情報」を振り分けるパターン。このパターンは、下記のような場合に有効です。
上記のような場合、用意した「見出し」の中に情報を入れていきましょう。
「思ったこと」や「調べた情報」をどんどん加えていきます。順番は気にせず、「この内容はこの見出しに入りそうだな」という感覚で振り分けます(「放り込む」のほうが近いかもしれません)。
入れるか迷ったら、とにかく入れておきましょう。削るのはあとからでもできますし、脳内で別の情報とつながって、想定外のロジックやメッセージが生まれることがあります。
大切なのは、できるだけ多くの情報を用意して、振り分けておくこと。ぼくの場合、この記事くらい(約3,000字)のボリュームであれば、1つの見出しに対して「A4の半分から1枚くらいの量」の情報を用意するようにしています。
材料がある程度集まったら、重要度の高い順に並び替えます。このとき「見出しの順番・統合・削除」も検討します。同時に、不要な情報をどんどん削っていき、文章を組み立てていきます。
削りすぎてボリュームが少なくなることもありますが、この段階になると「ここのロジックが弱いな」などとわかるので、ピンポイントで調べやすくなります。
パターン2:時間を区切って書ききる
次に、時間を区切って書ききるパターン。このパターンは、以下のような場合に有効です。
まずは「1つの見出しにかける時間」を決めます。5分でも10分でもいいですが、長く時間をかけたからといってクオリティが上がるとも限らないので、最大30分を目安に設定するのがいいでしょう。
あとは時間を計測しつつ、どんどん書き進めます。ここでも文章や内容のクオリティにはこだわらず、「思ったことを書く」でOKです。
ただし、時間内に書ききる(結論まで書く)ようにしてください。マークシート式試験のとき、残り時間がわずかになって、まだ解いてない問題があったら、適当にマークだけはしておきますよね。それと同じで、残り時間を見てまだ全然書けていなくても、結論は出しておく。繰り返しになりますが、文章のクオリティは気にしなくていいので、その見出しの始まりからゴールまでの下書きを用意します。
もし時間内に書ききることができなかったら、強制的に次の見出しに進んでください。頭を切り替えて、次の問題に挑むイメージです。
ただし、2点意識してほしいことがあります。
1つめは、調べ物はあとから行うこと。書くのを止めて調べ始めると、往々にしてリズムが崩れ、集中力が散漫になります。気になったところは赤字で「要リサーチ」などと書いておき、まずは自分の中から出てきた言葉を書き溜めてください。
2つめは、「仮タイトル(「ターゲット」と「テーマ/読み手のゴール」)は常に頭の片隅に置いておくこと。ここを忘れると、書き進める方向を誤ってしまうことも。
ぼくは若いころ、このやり方で書くスピードが上がりました。慣れてくると、最初に設定した時間内に書ききれるようになりますし、パターン1の「情報を振り分ける」もやりながら書けるようになります。
いかがでしたか。
大江健三郎も「消すことによって書く」という名言を残していますが、書くのが遅い人は「書く=書く」と文字どおり考えるのではなく、「書く=書いて消す」と認識を変えてみてはいかがでしょうか。
では、また次回の記事でお会いしましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?