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「うまい文章」を構成する3つの要素とは?

こんにちは!

先日、ある企業のライティング研修が終わったあと、受講生からこんな質問をもらいました。

「結局、文章ってどうしたらうまくなるんでしょうか?」

本質的かつ答えるのが難しい質問――。頭のなかであれこれ考えたのですが、いい切り口が思いつかず、「やっぱり、本をたくさん読んで、たくさん書くことなんじゃないでしょうか」という毒にも薬にもならない返事をしてしまいました。

せっかく質問してくれたのに、なんてつまらない回答をしてしまったのだろう……と後悔しても後の祭り。

今回は「うまい文章とはなにか?」について考えてみます。

ビジネススキルとしての文章力を磨きたい人はもちろん、SNSやnote、ブログで情報発信している人、小説やエッセイを書いている人にも役立つ内容になるはずです。

「うまい文章」とはなんなのか?


文章は、どうしたらうまくなるのか――。この問いに答えを出すには、まず「うまい文章」を定義しなければなりません。

ぼくは、シンプルにこう定義したいと思います。

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うまい文章=「わかりやすさ」×「モチベーション」×「独自性」

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右辺の要素をそれぞれ見ていきましょう。

うまい文章の条件①「わかりやすさ」


1つめは「わかりやすさ」。ストレスなく読めて、一読しただけでメッセージが伝わるということです。

特徴は、

  • ノウハウ化しやすい

  • 誰でも実践できる

  • 使えるシーンが多い

  • ビフォーアフターを実感しやすい

ということで、いわゆる書籍やウェブで「文章術」として語られるそれであり、この連載でもよく取り上げているテーマです。

たとえば、下記の3つの記事では、上から順番に「余計な言葉を削る」「整理する」「見た目をよくする」を解説しました。

「わかりやすい文章を書くコツ」はほかにもいろいろあるので、今後も取り上げる予定です。

うまい文章の条件②「モチベーション」


2つめは「モチベーション」。正確にいうと「内外による動機づけ」です。

「どうしても伝えたい」という自発的な思いがあるとき、人は熱がこもった文章を書き、気合を入れて推敲するものです。結果としてよりわかりやすく、相手の心を動かすような文章になるでしょう。

あるいは、締切やノルマに追われているとき。本音では書きたくなくても、書かざるを得ないという状況になると筆は進みます。十分に推敲する時間がなくなる恐れがある意味ではマイナスですが、追い詰められたときに出る「ひらめき」や「集中力」は、文章の完成度を大いに高めてくれます。

一方で、「別に伝わらなくてもいいや」と思っていたり、締切もノルマもなかったりしたら?  自発的あるいは外部からの動機づけがなければ、「わかりやすい文章」は書けても、「うまい文章」に仕上げることは難しいと思います。

うまい文章の条件③「独自性」


3つめは「独自性」。言いかえると、その人ならではの「姿勢」や「価値観」です。

これは「わかりやすさ」と違って、「こうすれば独自性が身につきますよ」というノウハウはありません(というか、一般化できる時点で独自性ではなくなります)。食べものやファッションに好みがあるように、文章にもその人の好みがあり、自然とクセが出るものです。それこそが独自性です。文章においても、たとえば、村上春樹と伊坂幸太郎は同じ小説家ですが、文体はまったく違いますよね。

文章における独自性は、「身につけるもの」ではなく「身についているもの」である。ぼくはそう考えています。訓練して習得する(できる)ものではない、ということですね。

ただし、独自性は「1人1つと限定されたもの」ではなく、「自身が扱えるキャラクター(≒主語)の数だけ増やせるものである」とも考えています。

そういう意味で、独自性は「すでにあるものをどう発展させていくか」という視点に立ったほうが、迷子にならずにレベルアップできると思います。

ここであらためて、「うまい文章」の定義を見てみましょう。

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うまい文章=(「わかりやすさ」+「モチベーション」)×「独自性」

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この式を、ここまで解説した内容をふまえて言語化すると、こうなります。

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より多くの人から「うまい」と言ってもらえる文章を書けるようになるには、「わかりやすく書く技術」を身につけ、「内外による動機づけ」がある状態で、発展させた「独自性」を活かしていく

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どうでしょう。イメージできたでしょうか。

ちなみに、「ビジネスシーンなら、わかりやすさだけで十分」という考えは間違っていないと思います。

「モチベーション」や「独自性」は、「わかりやすさ」と相対するリスクも大いにあって、場合によっては、とんこつラーメンにかき揚げと納豆をトッピングしたような状態になるかもしれないわけです。なので、今回はより「個」を意識した文章という前提でお考えください。

さて来週からは、「わかりやすさ」「モチベーション」「独自性」をどのように高めていけばいいのか、1つずつ深掘りして考えていこうと思います。

では、また次回の記事でお会いしましょう。

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