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「です・ます」だらけはNG? 文章上手に見える「文末表現」5選

こんにちは!

突然ですが、質問です。
みなさんは「文末」を意識したことはありますか?

編集者やライターは、キャリアの最初に「文末表現」を基本スキルとして学びます。すごく簡単にいうと、「です。〜です。〜です。」のように同じ文末を続けないための方法を学ぶ、ということ。

これは編集者やライターなら100人中99人は意識する「基本中の基本」なのですが、ぼくが見てきた限り、文末に意識を向けているビジネスパーソンはあまりいません(読書好きや書くことが趣味の人などを除いて)。「文末なんて【です】か【ます】だけでいいでしょ」と思っている人もいるかもしれません。

でも、文末表現のレパートリーを増やすだけで、ぐっと文章がこなれて見えますし、表現の幅が広がり、書くことがもっとラクになるはずです。

今回は「です・ます」以外で使いやすい文末表現を、ぼくがこの連載で書いてきた文章をとおして紹介します。

1. 「である(ですます)」の混在


これ、めちゃくちゃ使えるので、ぜひ覚えておいてください。

ベースは「ですます」の文章だけれど、途中で「である」の文章を挟む(もしくはその逆)。これだけでリズムに変化をつけることができ、かつ文章がこなれた感じに見えます。

「ですます」の文章に「である」を混ぜる場合は、「である=合いの手」と考えると、うまく書けます。

以下の文章は、Aという「ですます」の文章に呼応して生まれてきたB、Cを「である」で書き、B、Cに呼応して生まれてくるDを「です」でまとめました。

例:
みなさんの自宅や会社の近くに、「特別おいしいわけじゃないけれど、よく行く飲食店」ってありませんか(A)

贅沢な食材を使っているわけでも、斬新なメニューはあるわけでもない(B)。でも、価格に応じた味と居心地の良さを提供してくれる(C)。点数をつけるなら、70点くらいのお店です(D)

あとは、強調したいメッセージがあるときに、あえて「である」で書くことで緊張感をもたせることもあります。

例:
文章における独自性は、「身につけるもの」ではなく「身についているもの」である。ぼくはそう考えています。訓練して習得する(できる)ものではない、ということですね。

2. 問いかけ(〜でしょうか、など)


文章を書くとき、「あれもこれも伝えなくちゃ」と前のめりになることがよくありますよね。でもその状態が続くと、読者は付け入る隙がなく読み疲れ(読み飽き)てしまいます。

ぼくは書くとき、一流の観光ガイドさんをよく想像します。頼もしくて、安心できる存在。そんなガイドさんは観光客に対して一方的に話し続けませんよね。「知っていましたか?」「驚きですよね」「なぜだと思いますか?」とコミュニケーションをしながら、相手のペースに合わせて会話を盛り上げてくれる。自分は何度も訪れたことがある場所でも、初めて訪れる観光客の視点や気持ちを忘れないものです。

問いかけがあると、読者としても「あっ、こちらのことを気にしてくれるんだ」「置き去りにされてなくて、ちょうどいいペースだな」と感じるもの。話が転調するときや、頭を使う話をするときの前に「問いかけ」を入れられないかを検討してみるのは有意義だと思います。

ちなみに「問いかけ」といっても、大きく2パターンあります。

1つめは、「書き手→読み手」パターン。これは直接的な問いかけなのでわかりやすいと思います。文末表現でいうと「でしょうか」「ませんか」「ですよね」など。

例:
どうでしょうか。

新たに会議が増えるのは面倒だと感じるかもしれませんが、普通に理解できる内容ですよね。

ただ、少し物足りなさを感じませんか?

間違ってはいないし必要十分ともいえる一方で、「事務的な印象」も強いです。

2つめは、「書き手→書き手」パターン。内省的な問いかけをすることで、読者も同じ思考ルートをなぞることができ、文章への没入感が高まります。文末表現でいうと「でしょうか」「なのだろう?」「なんですかね」など。

例:
では、もとの文章は、なにが読みづらい原因なのか。全部で7つあります。

例:
3冊目は『DIE WITH ZERO』です。直訳は「ゼロで死ね」。意訳すると「金を使い切ってから死のうぜ」でしょうか。

3. 提案(〜しましょう、など)


「問いかけ」と同様、単調さを緩和する効果があるのが「提案」です。

文章が上手な人だと、婉曲的な言い回しでセクシーに提案するのですが、ぼくたちのような一般的なビジネスパーソンは「しましょう」「してください」のような直裁的な表現でよいと思います。

例:
修正指示をするときは、次の「3点セット」で伝えるようにしましょう。

例:
改行や空行を入れるのは、誰でも簡単にできるので、ぜひ取り入れてみてください。

ちなみに、「提案」は主張が強い存在なので多用厳禁です。提案ばかりだと「で、結局なにすればいいんだっけ?」と読者を混乱させてしまいかねませんし、「なんか押しつけがましいヤツだな」と思われるリスクもあります。

またぼくはビジネス系のコンテンツをつくるとき、「提案」はハードルが低いこと(誰でもできそうなこと)に対して使うようにしています。「そんなの無理だよ……」と思われてしまうと、離脱される(本を閉じてしまう)可能性が高まるからです。

あと提案を入れる位置は、話題の「最初」か「最後」がよいと思っています。行動に変化をもたらすことが役割なので、インパクトを与えるという観点から見ると、記憶に残りやすく、かつ目に入りやすい「最初」か「最後」がよいのではと。

4. 推定(〜はず、など)


断定と推定を使い分けるのは、文章の基本です。ただ、「これは断言できないから……」という理由で、「思います」とか「感じます」とか「考えます」を乱発していないでしょうか。

推定表現はいろいろあります。「はず」「がち」「だそう」「かもしれない」「らしい」「のようだ」「でしょう」など。これらを使い分けることで、「ます」の重複を避けることもできます。

とくに「思います」が続きがちな人は、検討してみてください。

例:
全社宛てに連絡するということは、重要度が高いことを伝えたいはず。わかりにくい文章だと、個別対応やリマインドをしなければならず、余計なやりとりが発生してしまいます。

例:
毎日忙しく働いていると、書く文章はテンプレの組み合わせになりがち。それは仕方ないことだと思います。

例:
著者は、米マイクロソフトの現役ソフトウェアエンジニアで、本人曰く「ガチの三流エンジニア」だそう。

5. 共感(〜ですよね、など)


「ですよね」「ですね」などの共感を示す文末表現は、人によっては「なれなれしい」と感じるかもしれませんが、読者との心理的距離を縮め、親近感を生み出す効果があります。

特に、「あるある」を言及する際に効果的。経験や感情など読者が「そうそう、わかる!」と思わず頷きたくなるようなシーンで使うのがポイントです。ただし、使いすぎると押しつけがましくなるので、こちらも多用厳禁です。

例:
組織には、独自の表現や言い回しがあります。「ゼロから考えるよりも、先輩が使う言葉をマネしたほうが伝わりやすかった」という経験はあるあるですよね。

例:
ただ執筆していると、「1歩進んで2歩戻ったと思ったら、いきなり5歩進んだ」みたいなことが珍しくない。いわゆる「ゾーンに入る」ですね。

ちなみに共感を示す文末表現は、難しい概念や新しいアイデアを導入する前の「緩衝材」としても機能します。読者の気持ちに寄り添いつつ、新しい情報を受け入れやすくする効果があるわけです。

さて、ここまでで紹介した以外にも、代表的な文末表現に「体言止め」があります。体言止めの使い方・注意点は以下の記事で解説していますので、ぜひご一読ください。

文末表現を豊かにするだけで、第一印象も読み心地も高まります。ふだんの文章でも「文末表現に変化をつけること」を意識してみてください。

では、また次回の記事でお会いしましょう。


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