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建築設計術vol.1 締切厳守+ハイクオリティを実現する図面作成術

「図面は時間をかけた方がクオリティは上がる」は嘘。つべこべ言わず、とにかく一回完成させる。話はそこから。

なぜ建築設計事務所はこんなにも儲けがすくないのか。これは誠に由々しき問題である。設計事務所の所員の給料が低過ぎて、設計に夢を持つ若手が少なくなっている。

いや、いなくなりつつある。絶滅寸前ではないか。

儲けが少ない、その単純な要因のひとつは図面作成が遅く時間を浪費してしまい、しかもクオリティーが低くお客様に満足して頂けないという点である。その結果、何度も修正が出てしまい、また余計な時間を取られてしまう。その悪循環である。

単純に考えて、設計事務所で儲けをたくさん出す方法は下記の2点である。

1、設計料を増やす

2、回転率を上げる

1に関しては、事務所のブランドが上がらないと難しいかもしれない。しかし、2については工夫次第でなんとでもなる。

私はいつもどうしたら速く、段取りよく図面が描けて、しかも図面のクオリティーが上がるか常に考えている。そうしないといつか仕事が来なくなると考えている。

図面に時間がかかり過ぎると罪悪感さえ感じている。とにかく時間をかけないで図面のクオリティーを上げたい。現時点でのひとつの結論は

「とにかく一回完成させろ」

である。しかも、全体の2割の時間でである。図面の締め切りが10日後であったら、2日でとにかく一回完成させる。

所長や社長がうだうだ決めないのなら、「とりあえずこれで描きました」と電光石火のごとく作成を終わらせて持って行く事だ。速い仕事は間違っていても怒られない。怒られるようなら、その事務所は辞めた方がいい。所長、又は社長の能力不足である。


ルコルビジェはロンシャンの教会の設計を3日で終わらせたという逸話があるが、そんな即時的なケースはごく稀である。

実際は、描いて修正してを繰り返す。しかし、その描いて修正してをとにかく速いサイクルで回すのだ。

建築設計には決定しないといけない事が無限にある。しかし、その決定を保留にしていたら何も進まない。つべこべ言わず、とにかくはったりでもなんでもいいから決定させる事だ。

一度はったりでもいいから「完成」させると、ではこの一回完成させた状態からどうクオリティーを上げるかという思考になる。

図面作成自体はCADがこれだけ発達しているのでそれ程時間はかからない。時間がかかるのは決定事項に悩むからだ。

私はこの悩む事を「モヤモヤ業務」と呼んでいる。本当にこれでいいのか、ここの寸法、素材、形はこれでいいのかなど、モヤモヤ悩む業務だ。基本的に午後にやった方が脳科学的にはいいようだ。

それに対して単純に図面を作成するのは機械的な作業で「サクサク業務」と呼んでいる。基本的に午前中にやった方が脳科学的にはいいようだ。

この「モヤモヤ業務」と「サクサク業務」を分けて考える。「モヤモヤ業務」と「サクサク業務」を同時にやらない。しかも、「モヤモヤ業務」は手描きの方がなおよい。

一度はったりで完成させたら後は残りの8割の時間で「モヤモヤ業務」→「サクサク業務」→「モヤモヤ業務」→「サクサク業務」を精魂込めて繰り返す。

すると必然的にクオリティーは上がる。これが今のところの結論である。

今後も諦めず、常に工夫を繰り返していく。

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