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あとほんの少しだけ

人生でチャンスをつかむには


なんのことはない、あるデパートのエレベーターホールでの出来事である。

10階建てのデパートあった。私を含めて9人がエレベーターが降りてくるのを待っていた。

しかしこのエレベーター、壁に表示がなく、いったい何階にいるのかが全くわからないのだ。

金曜日の夕方で人が多いからか、なかなか降りてこない。

エレベーターを待つ人々が、だんだんイライラしてきたのがわかった。

「ハァー」とため息をつく人。時計を何度も眺める人。

だんだん空気が淀み出した。しかしそれでもエレベーターは降りてこない。

それからしばらくして、とうとう痺れを切らし、1人がエスカレーターで上階にのぼることに決めたのか、去って行った。

すると、それを追うように、あと6人、続々と去って行ったのだ。

その6人がエレベーターの扉に背を向けて歩き出した、まさにその時。

扉が開いたのである。

去った7人は、すぐ後ろで扉が開いているのに、気づくことはなくエスカレーターに向かって歩いて行った。


本当になんのことはない、日常のワンシーンであった。

しかし、私はそこに人生の縮図を見た気がした。

エレベーターに乗れたのは、私ともう1人だけであった。9人中2人。

その他は待つことができず、諦めて去って行った。

私は、人間の能力などある一部の天才を除いてはそれほど大した差はないと思っている。それならば、どこで差がつくのか。

結局、人生を切り拓いていく人とは、投げ出しそうになったときに「チャンスをじっと我慢して待つことができる人」なのではないだろうか。そして、それができる人は、実は想像よりもかなり少ないのではないだろうか。

あとほんの少しでチャンスの扉が開くのに、それを待てない人は多い。

今、もし何かを辞めようと思っている人がいたら、どうかあとほんの少しだけ継続してみることをお勧めする。

もちろん、どうしようもなく辛いときは続ける必要などない。すぐにやめて頂きたい。

しかし、じっと我慢して待てるのであれば、諦めずにあと少しだけ気楽に待ってみてはいかがだろうか。

夜明け前が一番暗いのである。

私の短い人生を振り返っても、とびきりのチャンスが訪れる前は墨で塗りつぶしたくらいに真っ暗だった。

夜明けはすぐそこまできている。

あとは扉が開き陽が差すのを待つだけなのである。




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