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「怒り」という感情について

最近、DVや虐待による被害の相談が増えているというニュースをよく目にします。これはひとえに、コロナ禍におけるテレワークの(半強制的)導入により従来のオフィスと家庭のバランスが崩れ、「家」とか「自宅」の持つ意味が変わったことに起因して、これまで感じることのなかったストレスが増え、その感情を整理できないまま、近くにいる人への接し方として上手に適応できていないコミュニケーションの形だと考えています。

そんな時に、意図せずとも、『NVC:人と人との関係にいのちを吹き込む法』という本と出会いました。NVCとは、”Non-Violent Communication”の略で、まさに非暴力コミュニケーションという意味になります。

この本は、マイクロソフト社のサティア・ナデラCEOが全社員に配ったと話題になりましたが、相手を評価したり決めつけたりせず自分の感情と必要としていることにもっと耳を傾けるコミュニケーションについて筆者ご自身の経験談やエクササイズもあわせて詳細に書かれています。

その中で、「怒り」という感情との向き合い方についてのパートが個人的に発見が多かったので、共有させていただきます。

そもそも、私たちにとって怒りという感情の扱いが難しい背景として、罪悪感を利用して人をコントロールしようとする文化の影響が大きいとあります。”人のせいで自分はこういう気持ちにさせられた”というように、自分ではなく相手を主語に置く思考に根付いています。(英語はその言語の特性上、この~させられたという表現が容易にできてしまうとのこと)

この背景をわきまえたうえで、怒りと向き合うはじめの一歩として、人の言動が自分の感情の原因には絶対ならないことを理解することである、と筆者は述べています。つまり、自分が感じている怒りの原因を相手のせいにしないこと。”~させられた”ではなく、”~したい”といった自分が必要としていることと結び付けて考えることが重要である、と。

自分が必要としていることが満たされていないことに向き合わず、他人の言動を分析し、善悪などを一方的に評価してしまうことこそ、怒りである。

”○○さんが△△したから、わたしは怒っている”と考えてしまいそうになったときは、”わたしは○○を必要としているのにそれが満たされていないから怒りを感じているんだ”という認識に変えていく訓練が必要。怒りの根源は、自分が作り出すイメージとそのとらえ方であり、決して人の言動が原因ではない。

つまり、自分の怒りの原因を相手のせいにしないで、自分が求めることが満たされていないからであって、じゃあ自分の必要としていることってなんだろう?と、自分の感情と十分に向き合うことが大切なんだと思います。

人と直接会えず、今まで以上に繊細なコミュニケーションが求められている今だからこそ、必要なことなんだと感じました。イラッと感じてしまったときには、ふと立ち止まって、怒りの感情ともっと向き合ってみたいものです。

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