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やっぱり「地底旅行」は最高だ!

ジュール・ヴェルヌの地底旅行。
SF小説の代名詞とも言える一冊だ。

中学生以来、久しぶりに読んでみた。
この本をきっかけに「海底二万里」や「星を継ぐもの」などSF名作を乱読するわけだが、この年齢になってもやっぱり面白い。なぜここまで地底旅行は私を、人を、今でも魅了するんだろうか。

なぜ地底旅行は最高なのか。

SFの面白さは「説得力」

だと思う。SFには説得力が大事だ。
SF、つまりサイエンス・フィクションはwikiによると以下のように定義される。

科学的な空想にもとづいたフィクションの総称。メディアによりSF小説、SF漫画SF映画SFアニメなどとも分類される。日本では科学小説空想科学小説とも訳されている

私は上記を踏まえ、私は以下のように定義したい。

SFは科学を元に世界観を構築する。そして提示した世界観に科学で説得力を持たせ、物語を展開する。

世界観がどんなにぶっ飛んでいてもいい。ただ、その作品の世界観に説得力がないと駄目なんだ。

例えば宇宙戦争ものがあって。
1950年代のSFと2020年代の宇宙戦争ものだったら説明の量、説得力を持つための言葉の量は違うだろうか。
私は全く違うと考えている。

50年代は今より宇宙は当然遠い存在だったし、題材だった。読者の知識も当然足りてないわけで、ダークマターやら反重力なんて言葉もなかったor聞いたことはなかったろう。
しかし。2020年代になって我々は様々なフィクション・ノンフィクションで宇宙ものに触れている。宇宙戦争と言われてもそこに違和感は持たないだろう。

もっと分かりやすく言えばAIものもそうだ。
50年代のAIと言われてもピンとくる人は少ないだろうし、人工知能に関する共通知識なんて皆無だろう。2020年代はAIはすでにバズワードだし、シンギュラリティがくる、こないなんて誰もが当たり前に知っている前提知識になりつつある。

話を地底旅行に戻そう。
地底旅行は地球の地下にある世界を科学的な仮説とともに練り上げられた傑作である。

簡単にストーリーを説明すれば、とある「言葉」を発見した主人公たちが火山口から地下を目指して冒険するというものだ。

地球の地下は1メートル下がるにつれ、◯度、気温があがると言われる。こう考えると地下なんて生身の人間が潜れるわけないのだが、、、
詳しくは読んでいただくとして、この仮説を主人公たちはストーリーが進むにつれ、ひっくり返していく。

この気温上昇仮説がなければ、作品に説得力は生まれない。なぜなら、当時から地下にはマグマがあって石油があって…くらいの浅い知識は誰もが持っていたからだ。
誰もが持っている知識を疑い、ストーリーの中で覆していく。
それがSFの持つ魅力であり、人を引き付けるパワーだ。

現代でも地底のことはほとんど分かっていない

ちょっと話はかぶるけど、実は地底旅行を今でも楽しめるのは当時と今で地底に何があるか分かっていない。これが今でも地底旅行を楽しめる秘訣なのかも。

宇宙とか、AIが題材の作品はこれまで数々のフィクション・ノンフィクションが生まれてきた。地底ものも、もちろんたくさんあるが、宇宙AIほどではないし、一般人の前提知識レベルに浸透するほどの科学的進歩があったとは言いづらい。

これが今でも地底旅行が面白い要素だと思う。

もしかすると数年後には地底に関する大きな発見があるかもしれない。その時、もしかすると地底旅行の魅力はグッと下がるのかもしれない。だからこそ、読んでいない方はぜひ。今読んでもらいたい。

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