読書感想文「ぷろぼの」

「副業」や「パラレルキャリア」に大変興味を持っていまして、そんな中、僕の大好きな作家さんの楡周平さんが「プロボノ」を題材にした小説を出されました。

あらすじ

大企業に勤める大岡は、事業縮小に伴うリストラを担当していた。上司による悪辣なリストラの手口に疲れた大岡は、NPOが斡旋する「プロボノ」としての活動に精神的救いを求めていた。そこで、大岡の事情を聞いたNPOの職員たちが「プロボノ」としての自身の技能を活かし、悪の根源である上司に立ち向かう。

※「プロボノ」とは、「各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般。また、それに参加する専門家自身」とウィキペディアに書いてあります。

誰かから求められているという感覚

本書の本筋である上司を失墜に関しては、割とコミカルに書かれていますが、私は、現代の社会人が抱えている

「自分はなんのために仕事をしているのか」

「自分の仕事は社会に役立っている仕事なのか」

ということに関するやり取りの方が刺さりました

作中に出てくるプロボノとして人材を斡旋することを活動内容とするNPO「MY LINK」。その代表の三国は、かつて中小企業の社長を務め、時代の流れから、泣く泣く会社を畳む決意をしたというキャラクターです。その三国の放つ言葉の一つ一つが、今の自分が感じていることを代弁してくれるようでした。

「ここにやって来る人は、おカネよりも生き甲斐。『ありがとう』って人に感謝されることを望んでやって来るんだ。」

何より三国がNPOを立ち上げた思いが自分には響きました。

「生き甲斐を見出せない。仕事に行き詰りを感じている人たちの助けになりたい。その一心しかあの人にはないの。」

先日、自分の後輩と話す機会があり、自分の進路についての悩みを打ち明けてくれました。

「今の居場所は違う気がする」

「世間の常識と違う一歩を踏み出すのが怖い」

そんな若い人たちの力になりたい。

今の自分の仕事に悩んでいる人たちの支えになってあげたい。

そういう思いを代弁してくれるような一冊でした。