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ビジネスを哲学する|4. 約束って何だろう?

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人間がビジーなのは、つまり人間が忙しいのは、期限があるから。

そして、期限があるのは、約束があるから。

そんなところまでわかってきた。

それじゃあ、約束って何だろう?

どうして人間は約束をするのだろう?

ビジネスは、約束によって成り立っている。

人間どうしが話し合って、合意をして、契約と呼ばれる約束を取り交わす。

そうすると期限というものが生じて、人間は忙しくなる。

「あなたがお金をくれるなら、私はこれをしてあげますよ。」

「あなたがこれをしてくれなら、私はお金をあげますよ。」

「わかりました。それでは、いついつまでにお金をください。」

「わかりました。それでは、いついつまでにこれをしてください。」

人間は交換条件を出し合って、話し合いをする。

交換条件がお互いの気に入れば、約束をする。

交換条件を出し合うのは、人によって持っているものやできることが違うからだ。

だから、相手の持っているものやできることと交換するという条件をつけて、自分の持っているものやできることを差し出す。

つまり、約束の根底には、人間がそれぞれ異なっているという、多様性がある。

けれどもそもそも、交換条件を出し合うような話し合いをするためには、人と会う約束をしなければいけない。

人と会う約束は、どんな交換条件を出し合うことによって成り立っているのだろう?

いや。そもそも交換条件を出し合うためには、人と会わなければいけないのだ。

だとすると、人と会う約束は、交換条件を出し合うことによって成り立っているのではない。

人と会う約束は、無条件に成り立っているということだ。

つまり、約束の根底のさらに根底には、無条件の約束がある。

無条件の約束をして、それが守られて、人と会うことができる。

無条件の約束をしても、相手が守ってくれる保証はない。

それなのに、なぜか約束は守られて、人と会うことができる。

そう考えてみると、人と会ったうえで交換条件つきの約束をしたからといって、それが守られる保証もない。

かりに「約束を守るという約束」をしたとしても、「約束を守るという約束」は守られないかもしれない。

それなのに、なぜか約束は守られる。

なぜか守られる約束は、人と会うための無条件の約束から始まっている。

もしかすると、こう言えるかもしれない。人と会うための無条件の約束は、なぜか守られる。だから人と会うことができる。だとすると、そうやって会うことができる相手は、無条件の約束をなぜか守ってくれる相手なのだ。ということは、交換条件つきの約束だって、なぜか守ってくれるだろう。そう思って、交換条件つきの約束をするに至る。

なぜか約束を守ってくれるだろうという信頼。それは人と会うための約束から始まるのかもしれない。

だから、人と会う約束の時間を、人間は必死で守ろうとするのかもしれない。相手が約束の時間に来ないと、怒ったりするのかもしれない。

それは、自分が約束を守る人だと信じてほしいから。相手が約束を守る人だと信じたいから。そう言えるかもしれない。

つまり、人と会う約束は、すべての約束が成り立つための源だということだ。

おお。だとすると、人と会う約束って偉大なものなんだな。もっと尊重して大事にしなければという気持ちになってきた。

 つづく

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