2. 考える人をつくる(3)-学校教育

学校という枠組みの中で、考える人を育てるにはどのようなカリキュラムが適切か?

大前 研一氏の「世界への扉を開く考える人の育て方-国際バカロレア(IB)教育が与えるインパクト」という本には以下のようし記されている。

「本当の学びとは自分で考え、自ら学習を進め、様々な人と関係を持ちながら自分が成長することで、やがては地域、日本、世界どこにおいても社会に貢献できる人材を育成する」

この本で、 IB導入校の取り組みが多く紹介されていたのだが、それらが強調しているのはやはりアクティブラーニングの点であり、それをシステム的に導入するにはProject-Based Learning(PBL)が現在のところ最適解であるようだった。

PBLは日本語で課題解決型学習と翻訳される。この学習法では従来の教師が設計した学習プランに沿うことより、生徒がそれぞれの疑問に向かい自主的に学びんでいくことを主とし、先生は生徒をサポートするために動く。また、PBLは似た課題(探究テーマ)を持つ人同士がグループを組み考えや疑問を共有し合う、グループプロジェクトでもある。

俺はこのPBLで育てられるものこそ、疑問を持ち考える癖とその考え方であると思う。

普通、人が何かに疑問を持って考えるとき、実際にそれについての検証してみたり、資料を読んでみたりして考えることはなかなかしない。そいう場合、人は自分の過去の経験から憶測・仮説を立て物事を判断する。しかし、この世の中、主観的な情報だけに頼っては物事の本質を見失う恐れがある。そういう時に、考える指針となる考え方というものをPBLは育む。

アメリカの高校で取り組まれているPBLについてはこれまで勉強をしてきたテーマであるが、IBの5~12歳を対象(PYP:Primary Years Programme)では認知力が大きく異なることからまた違った形のものであると想像する。PYPにおけるPBL風の取り組みについては見聞を深めてゆかなければならないところである。