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崩れた心のバランスを癒してくれるのは

犬を飼っていた。

小学生のときに、はじめて1代目のワンコがやってきた。その後、少し間隔をあけて2代目、3代目がやってきた。

特に1代目のクロは、思入れが深い。体が白く、顔だけ黒色の雑種の犬だった。
散歩も餌やりも、すべて私がしていた。噛まれたりもしたが、いっぱい遊んだ。いっしょに成長した。

だから、死んだときはショックだった。

私が小さいの頃は、よく河原や公園にダンボール箱が捨ててあった。
その中から、鳴き声が聞こえる。


「ンァー、ンァー、ンァー」


のぞいてみると、子犬が5匹ぐらい入っていた。
まだワンとは言わなかった、気がする。


「かわいいなあ、連れて帰ろう」


そのダンボール箱をかかえて、家に帰る。

うれしくて母親に


「子犬が捨てられてた」


母親は眉間にしわを寄せて


「どこに捨ててたん、返してきい」


「飼いたい」


「あかん、捨ててきい」


どれだけ飼いたいと言っても


「早よ捨ててきい」

泣きながら、ダンボール箱を抱えて、捨ててあった公園に歩いた。


雨が降り出した。


歩道橋の下の、雨がかからない場所に置いていくことにした。その場から、なかなか離れられない。どんどん暗くなって結局、家に帰った。

苦しいのか、悲しいのかわからない感じだった。


それから、しばらくして、クロが我が家にやって来た。

ステイホームで、心のバランスを崩している人が多い。

動物は心を癒してくれる。

ペットを飼って元気になった子どもがいる。


久しぶりに、クロのことを思い出した。

ありがとう。






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