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障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)を解説します!~措置5 職場復帰支援~

■ はじめに

皆さんこんにちは、伊藤です。

さて本日より障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)の解説を再開したいと思います。

そして本日は「 措置5 職場復帰支援 」について解説させていただきます。

下記の出典:障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07078.html)

■ 措置5の概要

中途障害者等に対して、職場復帰後の本人の能力に合わせて、以下の①または②の職場復帰のための措置を講じる場合に助成します。
① 時間的配慮等 ② 職務開発等

「 中途障害者等 」というのが大きなポイントになるかと思います。

例えば在職中に事故や病気で身体障害者になられ方や、うつなどの精神疾患を発症された方などが休業から職場復帰の為に①か②の措置を講じた場合に助成金の受給が可能となります。

■ 支給額

対象労働者1人あたり、下表に示す月額に、支給対象者が支給対象期中に実際に就労した月数(支給対象者の出勤割合が6割に満たない月は除く)を乗じた額が支給されます。
※(  )内は中小企業以外の事業主に対する支給額及び支給対象期間

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※ 本措置の支給を受ける場合は、同一の労働者に対して措置1(柔軟な時間管理・休暇取得)の措置に係る助成金を受けることはできません。

助成額は最大で72万円(1年間)となります。

■ 対象となる労働者

次の①~⑤のすべてに該当する労働者が対象です。

① 申請事業主に雇用される一般被保険者等であること
② 職場復帰の日の時点で、次のイ~ニのいずれかに該当する者であること
イ 障害者雇用促進法第2条第2号に規定する身体障害者
ロ 障害者雇用促進法第2条第6号に規定する精神障害者
ハ P28~29に掲げる表のいずれかの難治性疾患を有する者
ニ 高次脳機能障害であると診断された者
③ 所定の医師の意見書により、②の障害等に関連し、1か月以上の療養のための休職が必要とされた者であること
④ 就労継続支援A型事業における利用者でないこと
⑤ 申請事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること

②を見ていただくとお分かりのとおり、他の措置と違い知的障害者の方が府含まれております。

これは知的障害者の方は生まれつきの障害であり「中途障害者等」に含まれないということを意味しております。

■ 対象となる事業主

共通の要件の他、次の①および②に該当する事業主が対象です。

① 対象労働者に対して、その職場復帰を促進するため、職場復帰の日から3か月以内に職場復帰のための措置を開始し、休職期間中も含めて、一般被保険者等としての雇用を継続する事業主であること
② 対象労働者を、支給対象期の第1期の場合は措置実施後6か月以上、第2期の場合は当該支給対象期の初日から6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して、各支給対象期の賃金を支給した事業主であること

■ 職場復帰のための措置の具体的内容

次の①または②に該当する措置が本助成金の支給対象となります。

① 時間的配慮等
次のイ~ハのいずれかに該当する措置を継続的に実施するものであること
イ 医師の意見書及び対象労働者の同意の下の労働時間の調整※1
ロ 通院または入院のための、就業規則等に規定する有給休暇制度以外の特別な有給休暇を与えること※2
ハ 対象労働者同意の下の独居を解消し親族等と同居するための勤務地の変更
※1 勤務時間の変更のほか、通勤時間の短縮のための本人の転居を要しない勤務地の変更を含みます。
※2 医師の意見書に記載された必要な通院回数以上の通院回数が確保できるものに限ります。
② 職務開発等
次のイ~ハのいずれかに該当する措置を継続的に実施するものであること
イ 外部専門家※3の援助を得て行う職務開発
ロ 外部専門家※3による援助の結果、休職前に従事していた職務について実施できない業務がある場合に、これを踏まえた職種の転換※4
ハ 外部専門家※3による援助の結果、必要と認められる支援機器の導入、スロープ設置等の対象労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行のた
めの施設整備※5
※3 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所その他の対象労働者を支援する障害者の就労支援機関の支援者を指します。
※4 職業安定法第15条に基づき職業安定局長が作成する職業分類表の中分類の異なる職務に就かせることをいいます。
※5 申請事業主が費用を負担し、職場復帰の日から起算して3か月以内に完了するものに限ります。この場合における職場復帰のための措置の実施日は、職場復帰の日または施設整備が完了した日のいずれか遅い日となります。

①は勤務時間や通院などの有給休暇など時間に関する配慮になりますが、②の特にロでは「 必要と認められる支援機器の導入 」など身体障害者を中心に配慮した設備投資のコストが必要となります。

こういったコストを賄う為にこの措置による助成金があるという解釈もできるかと思います。

■ 支給対象期間

支給対象期間は、職場復帰のための措置を行った日の直後の賃金締切日の翌日※1から起算して最大1年間です。最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期の支給対象期といいます。
※1 賃金締切日が転換した日の場合は当該転換した日の翌日、賃金締切日の翌日が転換した日の場合は当該転換した日となります。

■ 本日のまとめ

〇 措置5は在職中に事故や病気で身体障害者になられ方や、うつなどの精神疾患を発症された方など「 中途障害者等 」が休業から職場復帰の為に時間的配慮等もしくは職務開発等の措置を講じることで助成金が受給される。

〇 支給額は最大で72万円(1年間)

〇 職務開発等による措置では「 必要と認められる支援機器の導入 」など設備投資にある程度コストが掛かる措置なので、コストを賄う為にこの措置による助成金があるという解釈もできる。

ここまでご拝読いただきありがとうございました。

中途で障害を持たれた方についてはその前までは一般の社員として働かれていた方なので復帰を目指す職場にそれに必要な配慮の為の環境がないケースもあり、措置5のような取り組みが必要であると思います。

中途障害者で休業された場合は残念ながら退職に至ってしまうケースも少なくはありませんが、勤めていた企業や職場の仕事をよく知る貴重な人材ですし、事業主様に置かれましては是非この措置を活用して職場復帰をサポートしていただけたら大変嬉しく思います。

次回は「 措置6 中高年障害者の雇用継続支援 」について解説させていただきます。

次回もよろしくお願いいたします。

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