高山純一 / オーダーメイド靴のシューリパブリック

日常仕様のオーダーメイド靴を製作している靴工房Shoe Republicの店長です。

高山純一 / オーダーメイド靴のシューリパブリック

日常仕様のオーダーメイド靴を製作している靴工房Shoe Republicの店長です。

最近の記事

靴屋が伝える、靴は永く履けるものを選んでほしい理由

最近、サブスクが流行りのようで、バッグや服、果てには自動車やタイヤまであるのだとか。 上手に賢く借りることは、これまでのものであふれかえるような時代からすればある意味合理的なのかもしれません。 自分で所有するのは本当に好きなものと本当に必要なものなど最低限にして、あとはサブスクで貸してくれるところを自分のクローゼットのように思えばそれでよいということ。 だいたい、モノをたくさん所有しているとそれらを保管する場所が必要になり、それらに何か問題が発生したら(服なら洗濯の問題

    • 旅チャッカという名のチャッカブーツ

      埼玉県の北部で、オーダーメイド靴の靴工房をやっています。 写真の靴は、私達の企画商品の「旅チャッカ」というチャッカブーツです。 見たところ、フツーのチャッカブーツですが、これにはちょっとした仕掛けがあります。 通常、革靴は1日履いたら数日間は休ませるので、例えば3日間の旅行や出張の場合、靴が3足必要になります。 極端な例かもしれませんが、3日間を1足で乗り切るのはちょっと無謀ですよね。 100歩譲っても2足は必要。 でも、靴って意外と重くて、3日間の旅行や出張の荷

      • 歴史ある製法の靴を履いてみてほしい

        埼玉県の北部で靴工房をやっています。 昨今では、昔からあるものの素晴らしさを改めて実感することがありまして、例えばご飯を入れておくおひつなんて、あれはよく考えられたものだと改めて実感しています。 炊飯器で炊いたご飯を木のおひつに移すと、余分な水分をおひつが吸ってくれて、それだけでおいしいご飯になります。 機械式の時計は、正確さでは最新の電波時計には敵いませんが、まるで生き物のような温かみを感じます。 機械式の時計は、壊れてもほとんどの場合で直すことができると聞いたこと

        • 靴とクルマの意外な共通点のこと

          じつは私は靴の仕事をする以前には、少しだけクルマの関係の仕事を、それも開発というなかなかマニアックな仕事をしていました。 ただ、その頃はまだ下っ端だったので、やっていることといえば雑用やデータどりなど、先輩方のサポートが多かったです。 でも、そのころ学んだことは、今の靴づくりの仕事に大変役にたっています。 ところで、長時間歩き続ける、もしくは長時間履き続けるということを考えた時に、快適に履ける靴とはどんな靴だと思いますか? 長時間といってもいろいろあるかと思いますので

        靴屋が伝える、靴は永く履けるものを選んでほしい理由

          足の計測会のこと

          私は、埼玉県の北部でオーダーメイドの靴工房をやっています。 新型コロナウィルスの感染拡大の前は、定期的に取引のあるショップにうかがって足の計測会を開催していました。 ショップは関東では都内の自由が丘の靴修理お店、そのほかだと長野市の革小物のお店と、大阪梅田の靴修理屋さん、そして神戸三宮の服屋さんにほぼ年に2~3回ずつお邪魔していました。 そのほかには、それほど頻度は高くないけれどときどきお邪魔する靴修理屋さんが名古屋と仙台に、そして近いうちにお邪魔しようと思っていた高松

          心地よく履ける靴のためのラストとラストの調整の話

          私たちのように、オーダーメイドの靴を作る靴屋は、オリジナルのラスト(木型)を持っています。 これはどういうことかといいますと、ラストというのは既製品ではなく基本的には作り手が思う形(もとになるベースラスト)を木型職人さんに依頼して作ってもらったり、もしくは自分で木を削って作ります。 ぱっと見では、単なる足の形をしたプラスチック(昔は木でしたが今はプラスチックです)の塊のように見えますが、じつはこの塊にはたくさんのノウハウが詰まっています。 つま先の形やセンターの取り方な

          心地よく履ける靴のためのラストとラストの調整の話

          正しく情報を発信するというフィルター

          オーダーメイドの靴工房を始めてもうすぐ18年になります。 それは、まだ私たちがこの靴工房を始めたばかりのころのことですが、予約をしていただいたお客様がいらっしゃったときに、そのお客様がおっしゃったのが・・・、 「ウェスタンブーツを作りたいんですけど。」 という言葉。 私には、まさに不意を突かれたというのがその時の正直な気持ちです。 こんなことを書いても、いったい何のことだか全くわからないという方も多いと思いますが、そのあたりのことを詳しくお伝えします。 まず、意外

          正しく情報を発信するというフィルター

          既製品の靴に合わせるのは大変

          今日、Aさんというお客様がいらっしゃいました。 男性の方で、その方は普段24.5センチの靴を履いているとのこと。 身長の割にはサイズがちょっと小さいかなと思いつつ足を計測してみたところ、足長はだいたい253ミリほど、イギリスサイズではsize 7 1/2の足(センチでいうとだいたい25.5センチくらい)でした。 どうして足長はもう少し大きいのに、普段24.5センチの靴を履いているのかというと、Aさんの足の幅がとっても細いからです。 日本で普通に売られている靴は、ウィズ

          靴工房でお客様を迎えること

          初めて靴の工房に出向いて靴を注文することになったら、お客様はきっと緊張されることでしょう。 どんな工房なのか、面倒くさそうな職人が出てくるのか、何か無知なことで怒られてしまうのか・・・などなど。 実際、そんなことはまずありません。 私たち専門家は専門家としてお客様にアドバイスをする立場であり、お客様は私たち専門家を自販機のように使っていただければよいと思っています。 そして、お客様が心配されるのと同じように、私たちのようなお客様をお迎えする側も同じように初めてお会いす

          オーダーメイド靴の価格のこと

          オーダーメイドの靴は、みなさんご存知の通り決して安いものではありません。 それは、1足ずつ手間をかけて既製品ではとてもできないような効果的な手法をたくさん用いて、とても丁寧に作られているという理由もあります。 その反面、既製品に比べると作業効率が良くないということもあって、価格が高くなってしまっていることも否めません。 そんな条件の中で、私たちのようなオーダーメイド靴の作り手は、どのように価格を設定しているのか、そのひとつのケースとして私どもが価格を設定したいきさつをお

          私がこんな中途半端な郊外で靴工房をやっている理由

          私は、オーダーメイドの靴の職人をしていまして、工房は埼玉県の加須市という、なかなか中途半端なところにあります。 この場所で靴工房をやってもうすぐ18年。 ときどきお客様から、なぜこの場所なのか、もっと東京に近いところのほうが良いのではないかと訊かれることもあります。 工房がこの場所になった理由は、ここしかなかったから。 それが正直な理由です。 靴の工房をスタートしたころはとにかく余裕がなくて、賃貸の物件を借りるなんで全然無理な話でした。 そんな時に、父親が所有して

          私がこんな中途半端な郊外で靴工房をやっている理由

          日常にこそストレスの少ない靴を。贅沢じゃないオーダーメイド靴のすすめ。

          昨今では、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で在宅でお仕事をされる方が増えていますが、もちろんそうでない方もたくさんいらっしゃって、これまでと変わらず朝家を出て夜帰宅するというスタイルで働いている方も少なくないはず。 職場に着いたら室内履きに、もしくは専用の履物に履き替えるという方じゃなければ、ほぼ一日中その靴を履いて過ごしているはずです。 ちょっと考えてみると、私たちが生きているうちに過ごす時間の中で、寝ているときを除いて最も多いのは、おそらく日常と言われるときではない

          日常にこそストレスの少ない靴を。贅沢じゃないオーダーメイド靴のすすめ。

          じつは革靴が足には素晴らしくスバラシイという件

          先にお伝えしておきますと、上の写真は革靴のレザーインソールです。 驚くほど厚くて、これは8ミリほどあります。 さて、皆さん革靴って履いていますか? 仕事でスーツを着るときだけ履いているという方、結構多いかもしれませんね。 女性の場合だと、パンプスは履くけれど革靴は履かないという方も多いかもしれません。 私は普段、オーダーメイドの靴を作る仕事をしていまして、靴のご注文のお客様の足だけではなく、仕事の一環としてイベントなどで沢山の方々の足を計測しています。 お客様の足

          じつは革靴が足には素晴らしくスバラシイという件

          作り手から直接伝えたいオーダーメイド靴のこと

          オーダーメイドの靴を作る仕事をして、もうすぐ18年になります。 オーダーメイドの靴と言うと、自分には縁のないものとか、靴マニアの人が履いていそうとか、あまり身近に感じてもらえないものというのが、私がこの仕事を始めたころのイメージでした。 最近は、オーダーメイドのスーツがだいぶ身近になってきて、そのおかげか若い方でも靴をオーダーしてくださる方が増えています。 ところで皆さんは、オーダーメイドの靴と聞くとどんなものを想像しますか? 高そうなスーツを着ている人が履いている靴

          作り手から直接伝えたいオーダーメイド靴のこと