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デジタル漬けの日々に若干の恐怖

翔泳社という出版社において、書籍編集者である私たちの仕事は、主に「実用書」の編集です。実用書というのは、小説や写真集などとは違い、仕事や生活に役立つ知識や情報を集めた本のことです。

編集者というと、キラキラしたイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、雑誌編集ならまだしも、書籍(実用書)編集者の仕事内容はけっこう地味です。

ひとりでパソコン画面に向き合っていることが多いからです。

原稿を読んだり、情報を集めたり、企画書をつくったり、事務申請等をしたり。

コロナ前であればまだ、校正のために印刷した紙(校正紙)を確認する時間もそれなりにありました。ですが、コロナ禍を経て家で仕事をするようになってからは、校正チェックをPDFファイルで行うことが増えまして、紙に向き合うよりパソコン画面を見ることが圧倒的に増えました。

この件は過去の記事にも書きましたので、よろしければご一読ください。

コロナ禍が過去のものとなっても、会社がフリーアドレス(※)となり在宅勤務が通常状態となったいま、以前ならリアルで行っていた社内会議や社外の方との打合せもオンラインで済ますことが増えました。

※フリーアドレス:会社でカフェやシェアオフィスのように好きな席を選べること。つまり、自分だけの席というものがありません。自由な反面、一抹の寂しさもあるんですよね。

また以前であれば、大型書店が会社から近いこともあって時間を見つけては書店に向かい、頻繁に市場調査という名の徘徊をしていました。ですが、いまは在宅勤務です。家から大型書店まで距離も、かかる時間も増えたため行く回数が少なくなり、その分ウェブ書店やSNSをチェックする時間が増えました。

そう、仕事中はほとんどパソコン画面に向かっているのです。

さらに!

仕事でもプライベートでも、移動は電車利用が常です。その電車のなかでも、スマホでメールチェックして、SNSを見て、LINEを見て、動画を見て、ニュース記事を見て……。

プライベートの時間では、タブレットで本やコミックを読むことが増えました。なかでもコミックは何も考えずに読めるし、すぐに頭を切り替えたいときに役立ちます。

割引クーポンが出たらポチっ。前は購入前にもっと逡巡したのに、最近ためらいがなくなってきているかも。

起きている時間のほとんどを、パソコン、スマホ、タブレットとデジタル機器の画面ばかり見ていることに今更気づいて、ちょっと愕然としています。
平日はトータルで毎日10時間くらい? いえ、もっと見ているかもしれません。

5年前はここまで酷くありませんでした。

仕事でパソコンを使うのは同じでも、校正紙を確認し、書店に頻繁に行って、会議や打合せは対面だったし、移動中の電車やカフェでは本を読んでいたし、お昼は同僚と会話を楽しんでいたのに。

あれ、気づいたら、なんでこんな感じになっているんだろう。
ちょっと気をつけていたはずなのに、です。
変化は少しずつ、気づいたらどっぷり。
これ、デジタル中毒(依存ともいう)になってるのでは。
こんな毎日、365日のほとんどをデジタル機器画面を見続けたら、眼とか脳とかに異常を来さないのだろうか。

というわけで!
少しずつ画面以外のものを見る時間を増やしていこうと思います。まずは朝、1時間早く起きて散歩しようかな。健康にも良さそうだし。

よーし、来週からはじめよう〜。

そういえば、会社に向かう途中に最近気づいたのですが、地下鉄の電車の中で雑誌の中吊り広告を見かけなくなりました。ニュースやトレンド、季節を感じられて楽しかったのに残念。画面ばかり見ている間に知らずに失われているもの、ほかにも沢山あるのかもしれません。


さて、「”来週から〜”なんて言ってたら、絶対はじめないだろう」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ですが「来週」となりました本日月曜日。朝1時間早く起きて散歩してきました。有言実行!

いやー、いいものです。平日の朝の散歩。
今日は天気もよかったので気持ちがよかったです。
太陽の角度と当たり方が違うせいか、見慣れた街の風景もどこか違います。
時間や目的地に縛られて歩いているわけではないので、あちこち周りに目をやる余裕もあります。

ふと素敵なファッションの高齢マダムが颯爽と小型犬を散歩させている姿を見かけました。ジーンズと厚手のブルージャケットに赤いマフラー。ただの犬の散歩なのになんであんなお洒落なの? 将来はあんなふうになりたいなぁ。今のままでは無理だろうけど。

それでも月曜の朝一から、なんだかいい気分になれました。
散歩はもう少し続けてみます。そのうち習慣になればいいな。
そして、デジタル漬けの毎日から脱却を目指すのだ。

(編集部 オザワ)

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