社会福祉士の試験勉強をちょっとでも楽しく。対策書のカバーリニューアル!
社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる、福祉の専門家です。さまざまな事情により支援を必要とする人の相談にのって、助言したり制度を紹介したり、行政や関連組織と連携したりします。
社会福祉士になるには、国家資格である「社会福祉士試験」に合格する必要がありますが、2025年2月の試験から科目が大きく変わります。
実は翔泳社が社会福祉士試験の対策書を出版するようになったのも、前回カリキュラムが大幅に変わったタイミングでした。それが2010年に刊行した「2011年版」です。あれから15年、早いものですね。2010年に生まれた子どもがもう中学3年生になっていると思うと、時の流れを感じます。
今回は、カリキュラム変更という節目に合わせて、翔泳社から出版した社会福祉士対策書のカバーデザインの変遷を振り返ってみようと思います。
書籍制作において、カバーデザインは重要です。読者対象となる方に興味をもって手にとってもらわないと何も始まりません。
誤解を恐れずにいえば「見た目が9割」。カバーデザインを作るときは、手に取る方の関心をふまえて、期待される点や、類書がある場合は差別化ポイントなどを考えます。
そして、色はどうする? イラストを入れるか、タイポグラフィを主軸とするか? などを検討しつつ、さまざまな情報を取捨選択して盛り込んでいくのです。
テーマカラーは青!
翔泳社では、社会福祉士のテーマカラーを「青」と設定しました。
これは、試験主催団体である「社会福祉振興・試験センター」がネットで試験情報を公開していますが、こちらの色味に合わせています。受験者はセンターの情報サイトを折に触れて見にいくでしょうから、色味を合わせたほうが親和性が高いという判断ですね。
▼社会福祉振興・試験センターの「社会福祉士国家試験」の情報サイト
「共通科目テキスト」カバーデザインの振り返り
翔泳社では、問題集とテキスト2点(共通科目、専門科目)、ほか副読本を出版していますが、今回はこの中から「共通科目テキスト」のカバーデザインを振り返ります。
ご存知ない方に補足説明しますと、社会福祉士試験は「共通科目」と「専門科目」と大きく二つに分かれています。福祉系国家資格にはもう一つ「精神保健福祉士」がありますが、「共通科目」というのは、この二つの試験に”共通する科目”ということを意味します。
〈最初の本〉
まずは記念すべき2011年版のカバーです。
テーマカラーには濃いめの青を使用しました。イラストは可愛らしい動物です(この年はリスと小鳥)。
福祉系資格の対策書は、「社会福祉士」のほかに「ケアマネジャー」「介護福祉士」と3種類を出し、デザインを統一しました。当時、それぞれに編集担当がいて、3人でデザインの方向性をすったもんだしながら考えたのでした。
いま振り返ると、デザインもおっかなびっくり、初々しい感じがしますね。たしか「王道・正統派・誠実さ・信頼性」といったことを狙ったはず。当時は競合書もみんな真面目なイメージのものが多く、新規参入でいきなり大きな冒険はできませんでした。
〈2年目〉
さて、最初の年のカバーは信頼性を出したいあまりに、クールで堅めな印象になったかもしません。そこで翌年は書店でもう少し目立たせたいと思い、明るめのブルーに変更してみました。イラストも小さな素材を散らして華やかに。イラストが可愛らしい動物というのは変わりません(この年はウサギと小鳥)。
〈3年目〉
さて、3年目。なにが変わったかおわかりでしょうか。
書名に「社会福祉士」ともうひとつ「精神保健福祉士」が加わりました。これはこの年、翔泳社で精神保健福祉士試験向けの「専門科目テキスト」を刊行することになったためです。これで福祉系の国家資格が揃うことになりました。
〈6年目〉
モチーフを動物から人に変更しました。動物より人の顔があるほうが目が引き寄せられるのではないかと思ったため。男性にした理由は執筆陣に男性が多かったからです。イラストレータさんは同じ方ですが、人物に変えると、雰囲気もまた少し変わりますね。
あ、そうそう、資格名のほうをより目立たせたいと考えて、「社会福祉士 精神保健福祉士」を墨文字に変えました。
〈9年目〉
大幅なカバーリニューアルを行いました。
翔泳社で刊行している福祉系資格「ケアマネジャー」を皮切りに「社会福祉士」「介護福祉士」「精神保健福祉士」の試験対策書のカバーデザインをすべてリニューアルしました。理由は、似たデザインを続けるのも飽きられそうだし、10年目を前にテコ入れしようとなったためです。
デザイナーさんとイラストレーターさんも変わり、イラストは再び動物に戻ってペンギンが登場。それまでの可愛らしい雰囲気から、キャラが立ったイラストになりました。
これだけデザインを変えると、もはや違う本に見えませんか?
リアル書店でもWeb書店でも、カバーから受ける印象や残る記憶は大事です。
定期的に改訂する書籍は、このように顔つきを大きく変えることで、良い結果になることもあれば、逆の結果をもたらすこともあります。
〈15年目〉
そして、今回、社会福祉士試験と精神保健福祉士試験では、カリキュラムが大きく変わりました。それに合わせてカバーをリニューアルすることに。
ペンギンたちが受験者を応援していて、手に取った方が笑顔になるような雰囲気を目指しました。
今年刊行した社会福祉士・精神保健福祉士のテキスト、問題集の4点を並べると、内輪ウケかもしれませんが、ペンギンが踊っているようで楽しいです。
書店で面陳にして並べてくれないかなぁ。
最初の頃と振り返ってみると、15年の間に大きく変わりました。
はじめは横を見つつ書店の棚の持つ雰囲気に慎重に合わせていたのですが、そのあと、さまざまな出版社が福祉系の本を出すようになり、棚も以前に比べて賑やかになってきました。
もともと福祉の実用書では先んじて、楽しさを前面に出したカバーデザインにして、しっかり売れていました。
それに自信をもち、資格対策書でも「誠実さ」に沿ったイメージから、もっと読者に手に取ってもらいやすいものに、という意識に少しずつ変わってきたのだと思います。
なんとなく翔泳社っぽくなってきたように思います。
新しいカバーの本は、実は600ページオーバーの分厚い、ゴリゴリの本なのです。社会福祉士試験は出題範囲が広く、必要とされる知識も歴史や法制度、統計データなど多岐にわたります。簡単に取得できる資格ではありません。
そんな大変な受験勉強の日々の中で、本書を手に取ったその瞬間だけでも、読者の方に楽しさを感じてもらえたら嬉しいです。
(編集部 オザワ)
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