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三大栄養素の代謝③|たんぱく質代謝

こんにちはSHOです。僕のnoteを読んで頂きありがとうございます。

代謝シリーズ、糖代謝に続いて第3弾。
今回は「たんぱく質代謝」です。

<代謝とは?>

前回は「脂質代謝」についてみました。
脂質は糖質に比べると工程が複雑でした。だから身体の中では脂質を処理するのが大変なんだというイメージを持って頂きたいのです。

また糖質は主にエネルギー源になることが仕事ですが、脂質は身体の構成成分にもなります。なのでシンプルに説明も増えるわけです。

今回はたんぱく質。

たんぱく質も役割は多いので説明することが多くなるのですが、なるべくシンプルに解説をしていきたいです。

○復習から(たんぱく質の消化吸収)

たんぱく質とは、アミノ酸がペプチド結合によって連なった化合物のことです。

たんぱく質は胃に到達すると、強酸性の胃酸によってたんぱく質の構造が壊されていきます。その後、胃の消化酵素ペプシンにより、より細かい状態に(オリゴペプチドくらいに)分解されていきます。

そして、十二指腸に入ると、膵液に含まれるトリプシンやキモトリプシンなどの消化酵素によってさらに細かく分解されます。

小腸では消化酵素ペプチダーゼによってさらに細かく分解され、ペプチド結合が失われアミノ酸となり吸収されていきます。

吸収されたアミノ酸は必要に合わせて組み立てられて、さまざまなタンパク質に再合成されます。

○アミノ酸プール

分解されたアミノ酸は、体内で貯蔵されます。これを「アミノ酸プール」と呼びます。

実際にリアルの世界に存在するプールのように1ヶ所に貯蔵されるものをイメージされるかもしれませんが、そうではなくて、体内のさまざまなところで作られたり使われたりするアミノ酸が蓄えられている状態のことを差します。

アミノ酸プールのアミノ酸は流動的で、合成されるために使われたり、分解されたアミノ酸が蓄えられたりしています。常に一定量が保たれていて、維持には食事から摂取したアミノ酸だけではなくて、身体のたんぱく質を分解したアミノ酸も使われます。こちらの方がアミノ酸プールに多く使われているのです。

これって案外知られていないと思うんです。後でも触れますが、飢餓状態でなくても身体のたんぱく質分解は行われているのです。分解と合成が同じくらい行われているので身体は維持されているのです。

整理すると、アミノ酸プールに含まれているアミノ酸は
・食事由来のアミノ酸
・身体のたんぱく質を分解してできたアミノ酸
・体内で合成されたアミノ酸
この3つになります。

○身体のたんぱく質の分解方法

大きく2つに分類できます。

●オートファジー

オートファジーはこちらの記事も一緒にご覧ください。

オートファジーとは、ギリシア語が由来で「auto(自己)」と「phagein(食べる)」、すなわち、自分を食べる(自食)を意味します。

不要だったり古くなったたんぱく質や細胞小器官をアミノ酸に分解します。それを再び体内で使えるようにしてくれるのです。

さらに、アミノ酸が不足している時にも働いてくれて、アミノ酸を作り出します。これは不足しているアミノ酸を自分のたんぱく質を分解して作り出している…というイメージでOKです。

●ユビキチン・プロテアソーム系

ユビキチンはたんぱく質の一種で、たんぱく質の分解だけでなく、DNAの修復などにも関わっています。

プロテアソームはタンパク質分解酵素複合体で、たんぱく質を分解する酵素です。

まず、ユビキチンが目的のたんぱく質にくっつきます。そして、ユビキチンを目印にプロテアソームがやってきて、これをアミノ酸を分解します。このように不要なたんぱく質を代謝してくれるのです。

○アミノ酸プールから出ていくアミノ酸がしていること

身体のたんぱく質の合成をおこなっています。

っていうか不思議に思いませんか?

たんぱく質を分解してアミノ酸にして、またたんぱく質を作るってなんでこんな面倒なことしているんだろうって思ったことはありませんか?(あれ。僕だけかな)

これ、細胞にも寿命があるって知らなかったんです僕。

「たんぱく質は古くなる」ってよくよく考えれば、年齢とともに色々衰えてくるっていうのも細胞の新陳代謝が遅くなっていくからかぁとか考えると納得できていくんです。常に身体はたんぱく質の分解と合成を繰り返しているわけです。

ちなみに、アミノ酸プールは一定量を超えると代謝されることになります。実際にはどのようなことが行われているのかを見ていきましょう。

○アミノ酸の代謝

●アミノ基転移反応

アミノ基とは(-NH2)で表わされる1価の基です。

代謝の際にはまずアミノ酸をアミノ基と炭素原子(C)に分けてしまいます。
まずはアミノ基転移反応によってアミノ酸のアミノ基が外されて、αケト酸に移します。

この際には、アミノ基転移酵素が働いてアミノ基を移しているのですが、アミノ期転移酵素が働くためには、ビタミンB6から作られるピリドキサルリン酸が必要なので、たんぱく質を多く摂取する人はビタミンB6が絶対に必要なのです。

アミノ酸に色々な種類があるように、αケト酸にも色々な種類があります。そして、アミノ酸ごとに対応するαケト酸が決まっています。

アスパラギン酸ーオキサロ酢酸
グルタミン酸→αケトグルタル酸
アラニン→ピルビン酸

こんな感じです。

アミノ酸からアミノ基が取れると、対応するαケト酸になり、αケト酸にアミノ基がくっつくとアミノ酸になります。アミノ基転移反応では、大抵の場合はαケト酸としてαケトグルタル酸が使われます。例えば、アスパラギン酸がアミノ基転移反応を受ける場合は、アルパラギン酸とαケトグルタル酸との間でアミノ基の受け渡しがあり、

アスパラギン酸→オキサロ酢酸
αケトグルタル酸→グルタミン酸

になります。グルタミン酸はその後酸化的脱アミノ反応を受けます。

●酸化的脱アミノ反応

ここでは、アミノ酸脱水素酵素が働くことで、グルタミン酸からアミノ基が外されます。そうすると、グルタミン酸はαケトグルタル酸に戻り、外されたアミノ基はアンモニアとなります。

グルタミン酸脱水素酵素が働く時には、NAD+が補酵素として使われます。これはナイアシン(ビタミンB3)から作られるものです。

●酸化的脱アミノ反応でできたアミノ基の代謝

アミノ基転移反応、酸化的脱アミノ反応を経て生成されたアンモニアは身体にとって毒なので、代謝されて排出されやすい尿素に変換されて排泄されることになります。アンモニアの代謝を行うのは尿素回路で、この反応は肝臓で行われます。

尿素回路はミトコンドリアで始まります。アンモニアと二酸化炭素がくっつくことでカルバモイルリン酸になります。これがオルニチンと結合してシトルリンが生成されます。

ここから細胞質に移動して、シトルリンにアスパラギン酸がくっついてアルギニノコハク酸になります。これは酵素によってアルギニンとコハク酸になります。

このコハク酸はさまざまな過程を経てクエン酸回路で再利用されます。アルギニンはアルギナーゼに分解されて尿素とオルニチンになります。オルニチンは尿素回路で再利用されます。尿素はこの後腎臓に運ばれて排泄されます。尿素回路では、尿素を1作るために3ATPを消費します。

まとめると….

アンモニア+二酸化炭素
 ↓
カルバモイルリン酸
 ↓
+オルニチン=シトルリン
 ↓
+アスパラギン酸=アルギニノコハク酸
 ↓
アルギニン+コハク酸
 コハク酸→クエン酸回路へ
 アルギニン→尿素+オルニチン
 ↓
オルニチン→再利用
尿素→腎臓へ運ばれ排泄

こんな感じです。

●アミノ酸からアミノ基が外れてできた炭素骨格の代謝

アミノ酸からアミノ基が取れてできたαケト酸は「炭素骨格」と呼ばれ、解糖系またはクエン酸回路で利用されます。

炭素骨格はグルコースの合成に使われるか、ケトン体や脂肪酸の合成に使われるか、種類によってどちらかの道に進みます。

グルコース合成に進む炭素骨格のもとになるアミノ酸は糖原生アミノ酸と呼ばれます。ケトン体や脂肪酸合成に進む炭素骨格のもとになるアミノ酸はケト原生アミノ酸と呼ばれます。ちなみに両方の性質を持つものもあります。

糖原生アミノ酸はピルビン酸やフマル酸の中間体を経たり、直接オキサロ酢酸に変換されて糖新生に使われます。ケト原生アミノ酸はアセト酢酸や活性酢酸(アセチルCoA)に変換されて、ケトン体合成、脂肪酸合成に使われます。

○まとめ

いかがでしたでしょうか。

たんぱく質って身体を「つくる」ものだと思っている方も多いかもしれませんが、身体を構成しているものを分解して再構築もしているのです。

要するに、たんぱく質がしっかりと働くことで身体の健康は維持されているんだということです。じゃあたくさん摂ればいいのかと言われたら必ずしもそうではなくて、身体にはアミノ酸がプールされていて一定以上蓄積されると代謝がされる、代謝の過程でアンモニアが生成され、これは毒となるから排泄していく、そのためにエネルギー(ATP)が使われてしまうのです。

たんぱく質の代謝過程を知ることで、身体がどのように構成されていくかに興味を持って頂くきっかけになって頂けると嬉しいです。

今回は以上となります。
次回はビタミン・ミネラルの代謝について触れていきます。


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