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吉田寮裁判に思い出す大学寮文化と時代錯誤感

吉田寮立ち退き裁判

先日、京都大学の吉田寮に住む学生を相手に大学側が立ち退きを求めていた訴訟の判決が出ました。

入寮中の14人の学生に対しては居住を認める一方で、学生ではない23人の退去を認めるというものです。

この訴訟の内幕について少し触れると、大学側からすれば安全性や衛生上の観点から取り壊したい、学生側からすると文化の発信地であり残していきたいために耐震補強に関する交渉を前副学長としていたが一方的に反故にされた、といった流れがあるようです。

これらはこじれている内容であること、おそらくは控訴が行われるであろうことから、今回の私の記事ではこの裁判や判決の是非や賛否に関しては論じないこととします。

京都大学の寮文化

京都大学の寮で最も有名なのがこの吉田寮です。

今年で築111年を迎えた大正時代から歴史を重ねた建物で、格安の寮費で入寮できることが知られています。

中での生活はさながらヒッピーのそれに近く、現代の若者が生活する環境とは思えない、私の学生時代である20年前でも相当に時代錯誤な様子がうかがえます。

個人的にはこうした住居に住みたいとは露ほども思いませんが、シェアハウスなどに魅力を感じる人のもう一枚上手の人たちが好みそうではあります。

また、京都大学にはこの吉田寮と双璧をなす有名な熊野寮という寮も存在します。

こちらは吉田寮と比べれば近代的な様子ですが、左翼学生(+非学生)の巣窟となっており、毎年のように機動隊が家宅捜索をするというのが恒例行事になっています。

未だに「成田空港」というワードで逮捕者が出るのが驚きですが京都大学らしい光景ではあります。

全国にある大学寮

私の母校である熊本大学にも学生寮が存在します。

幸いなことに私は地元の学生ですので入寮していませんでしたが、最も親しい友人が学生寮に4年間入寮していました。

そのため度々、寮を訪れる機会がありました。

私が実際に目にしたものの中でも最もパンチが効いている風習が「ストーム」です。

これは新入寮生の歓迎などで赤褌をはいて街中を走るというものらしいのです。

2024年の現在、行われているかは不明ですが5年前までは存在していた模様です。

また、昨年Twitter上で炎上した学生寮ルールというものもあります。

こうした風習は学生による自治寮がある大学では少なからず残っているようで、戦前からの旧制高等学校の流れをくむ大学ではいまだに存在する話を聞きます。

熊本大学の場合は旧制五高からの伝統がこうしたところにも息づいているということでしょう。

上のリンクは巨人の星で有名な梶原一騎氏が書いた漫画で、こうした旧制高等学校の様子や文化を描いた作品となっています。

時代錯誤な文化

正直な感想としてはこうした文化はもはや時代錯誤であり、私個人としては受け入れられないものです。

吉田寮の生活ぶりなどを見ても、自身が20代の若者であったとしてもあそこで生活できる自分は想像できません。

しかし、同時にこうした文化を許容することもまた必要であるように感じています。

便利、清潔、快適で理不尽の無い社会は理想であり、現代はそれに近づきつつあります。

それは喜ばしいことではあるのですが、それを堅苦しく思ったり寂しく感じる人もいるでしょう。

だからこそ、こうした一部の人にとっては受け入れられる別の文化を許容し、選択肢の幅を広げることも必要ではないかと思うのです。

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