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市部活動改革検討委員会なる化石と月5000円を払えない家庭の部活動の是非

熊本市の部活動問題

熊本県の県庁所在地であり、政令指定都市でもある熊本市では未だに部活動の地域移行を渋る守旧派の勢力が跋扈し、時代遅れの議論で的外れな結論を導こうとしています。

この話については以前も途中経過を記事にしました。

今回の方針としては、部活動改革は現状では断念し働き方改革と両立する案を27年度にスタートさせるというもののようです。

会議の存在意義は無い

正直な感想としてはこの会議の結論を見る限りでは「市部活動改革検討委員会」なる集団のメンバーは無能が化石になった集団であるという印象です。

そもそも論として、現行の公立学校の部活動は労働法規に反する違法状態で賄われています。

したがって少なくともその違法状態を是正することは公的な組織である教育委員会の最優先事項のはずです。

にもかかわらず現行の部活動の維持をベースにしか考えられないのでは、この会議の存在意義は無いといってよいでしょう。

国や熊本県が休日の部活動を地域のスポーツ団体などに移管する改革案を示す中、検討委は部活動を継続させる独自の中間報告をまとめた。今後は新たな部活動の運営方法などを検討し、23年度内に遠藤洋路教育長へ答申する。

実際、メンバーの肩書きを見ればわかるように部活動維持を優先するような人物の選定となっており、どう考えても現状変更を受け入れる方向性が示されることはなさそうです。

部活動の受益者負担

今回の会議の中では「保護者の負担」を中心に議論があった、と元記事にはあります。

その中で以下のような流れが書かれています。

新たな部活動では従来の実費負担のほか指導費や人材バンク運営費の負担が生じるとして、市教委は現行で月額平均1700円程度の保護者負担が最大5千円程度になるとの概算を示した。
 委員からは「負担額が多すぎて部活を継続できない家庭も出てくる」「行政の財源には限りがあるため、ある程度は負担の必要がある」といった意見が出た。

まず考えなければならないのは月額1700円の負担は何なのか、というこです。これは道具や遠征などの手出しを含む金額とした場合、どう考えても異常に安い金額です。

仮に週3回、2時間ずつとした場合でも1カ月で24時間、毎回の金額は100円弱ということになります。

これは公営のジムの利用料よりも安い金額であり、どうしてこの金額でスポーツを習うことができると考えるのでしょうか。

指導者の人件費を教員の無償奉仕に依存したいびつなシステムによって作られた異常な状況なのは明白です。

今回比較に出ている5000円という金額は部活動顧問を正式に業務外とし、名目上は有志の教員ボランティアの手当とする考えだろうと推測されます。

とはいえ1か月5000円だとしても民間のスポーツクラブからするとダンピング的な金額であり、正直な話これを払えない家庭は子供にスポーツをさせるべきではないのではないでしょうか。(言いにくいことではありますが、新聞配達などの家計に資する活動を選択肢にいれるべきではないかと思います。)

スポーツ指導のマネタイズを阻害すべきでない

日本のスポーツ文化は部活動という無償奉仕、無料サービスによってその基礎が作られてきました。

しかしその弊害がスポーツ指導がマネタイズできなくなったという問題です。

結果、スポーツ経験者のセカンドキャリアとしての職業が空白となり、さらには教員の国体採用枠による部活動優先教員の増加に拍車をかけた側面もあります。

言うまでもないことですが、何かを習いたければ講師に謝礼を払うのは当然であり、どうしてスポーツのみが例外になっているのでしょうか。

スポーツ指導の金額を不当に吊り下げ、結果としてスポーツ文化の価値を引き下げてきた犯人こそが学校部活動なのです。

そして本来ならばスポーツ経験者や指導者こそが部活動という旧態依然としたシステムの維持に血道を上げるのではなく、この歪みに気づき改善の道を探すべきなのではないでしょうか。

そうした点においても、この市部活動改革検討委員会なる組織とその決定は罪深いと思うのです。


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