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教員採用試験の前倒しの効果はあるのか

教員不足が深刻化しつつあります。

私の住む九州は全国と比較しても教員不足が深刻な地域であり、すべての県の小学校の採用試験の倍率は1倍台となっています。
(県によっては実質倍率は1倍を切っているようです)

文科省の起死回生の一手はこれだ!!

そうした中で、文科省の起死回生の一手がこれです。

文科省の原案では以下の2案が存在するようです。

  1. 5月に試験、8月に発表

  2. 4月に試験、7月から順次発表

個人的には文科省の官僚の方は、様々な制限の中頑張って改革を進めようと苦心しているのだと信じています。

しかし、そんな私でも思います。

正気ですか?

正気の沙汰ではない、改革案

教員が忙しい時期はいつでしょうか。

私たちのような大学進学を考える普通科高校は10月~2月が繁忙期となります。

推薦、総合選抜の大学入試から共通テスト、一般入試と立て続けに試験が続くからです。

一方で中学校はどうでしょうか。

受験学年の場合、やはり入試の書類作成に入る年度後半になると思われます。

しかし、学校農場合、受験に関係なく忙しい時期というものが存在します。これは校種を問わず共通するものでしょう。

その時期は春の入学や進級直後の時期です。

進級直後はクラス編成なども変わり、生徒の様子がつかみにくい時期です。それに加えて新入生の場合は役所への提出書類の整理、作成など書類業務が増加する時期でもあります。

また、生徒間のトラブルや不登校などが発生しやすい時期でもあり、そうした対応に追われることもあります。

そんな時期に採用試験を実施するということは、現場で勤務している臨時講師の受験を想定していないということは明白です。

仮にそれを知ったうえで設定するのであれば、文科省の担当者など関係者は正気の沙汰ではありません。

逆に言えば、まともな臨時講師の方は、2、3月の次年度の話を辞退して試験の準備を行い、その後合否がはっきりしてから講師の希望届を出すだけでしょう。

しかも、その時点では引く手あまたとなり、好きな場所を希望することも可能になっているかもしれません。

そもそも前倒しに効果あるか

そもそも、教員採用試験の倍率が下がっているということは、教員の人気の低下が最も大きな原因であるはずです。

その原因はブラック労働や給特法による残業手当の支給されない制度などが若者から指示を受けていないことに原因があります。

そうした待遇改善(正確には法令順守)を行わずに、単純に試験を受験しやすい時期に変更したり、他の公務員試験と同じ時期に合わせておこぼれに与ろうとするのは、あまりにも小手先の稚拙な行為ではないでしょうか。

さらに教育実習との兼ね合いも存在します。多くの学校では教員採用試験の直前に実習を設定しています。

そうしたことから、現状においても他の公務員試験と教員採用試験を併願する人はほとんどいません。

そして、数少ない教育実習と他の公務員試験を併願している人のほとんどは公務員試験が優先で、思い出作り系の実習生であることは多いのではないでしょうか。

せめて後ろ倒しならば

せめて後ろ倒しにして、就職活動が上手くいかなかった人を対象にする方がまだましかもしれません。

その場合は、教員免許制度が足を引っ張るでしょう。

いずれにしても、そうした小手先の子供だましを行うのではなく、学生たちが教職を避けている本当の理由、労働環境の改善を行わない限りは現状の改善は無いでしょう。

それにしても、今回の改革を考えた人は本気で改善できると思って草案を書いたのでしょうか。

正常な思考とは到底思えません。




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