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農家の息子に生まれ、大学卒業して親から家業を継いだ話。

農家だから継いだんじゃない。
継ぎたい農業だから継いだんだ。

大学卒業と同時に、実家の農業に就いた。
周囲の声は
「まだ若いのに偉いねぇ。」
小5のお手伝いか!
「へー、いいね農業。未来あるよ。知らんけど」
いい、いいって言ってるけど、
ホントはどうでもいいっていう浜崎あゆみの歌詞か!
「農家の息子だもんな!」
いや自分で選んだわ!
ボクの思いと、周りからの目は、行ってくるほどの違いがあった。


農家になった大きな理由は、「家が農家だったから
それは揺るぎない大理由。だけど、どんな環境だろうと家が農家だったらオート機能で農家になるほど、ボクはコマンドで動いちゃいない。
自分で選んだ道。

ボクは農家の事業承継を推す人をやっているけど、全・農家の子達に伝えたいのは、「継ぎたいなら継げ」だ。
「継ぎたくないなら、ハラ括れよ」も付け加えたい。
(後々やっぱり継ぐ〜って話、アレはナシよ)

残念ながら「継がされた」と表現する農家は少なくないし、シチュエーションを聞くと「あ〜、ほな”継いだ”と違うかぁ。”継がされとる”がなそれは」と言うブラックなケースもn数を稼いでいる。父の時代なんかは、それが量産型ですらあったような気さえする。

でも今や令和。
「農家の子」像もアプデして良いのでは、ないか?


自分で選んだ道とかスカして言ってるものの

自分で選んだ道とか言ってるものの、農業を始めた当初は、果たしてボクは何をしてるんだ・・・?と思う毎日だったりした。
アゴでオヤジに使われる日々。
「んなことも知らんのか!」「一体何歳になったんや?ガキでも出来るぞそれくらい」とオラオラされる日々。
数日単位で作業の中身が全然変わる農業という世界。
前述の周囲からの目。
生える雑草。
自己肯定感ゲージは渾身の一撃を喰らい続け、ほぼゼロ。
当時を思い出すと、今でも胸がキュッとなる。奴隷か、何かの罰ゲームしてるかのような感覚は、永遠に感じられた。

永遠と思えたのは、実際は2~3年くらいで、いつしかコロナワクチンの副作用のごとく、
「ゔゔ〜辛い〜ゔゔ〜…う!?あれ、全然辛くなくなった…
ボクは一体今まで何を…」
と言わんばかりにモヤが一気に晴れた。

仕事の要領を得たこと、4Hクラブの仲間たちと地獄自慢をし合って(つまり励まし合った)いるうちに、この道の攻略法を見つけたっぽいのだ。
あるいは結婚して世帯を持ったことで、覚悟具合が変わったことが、攻略法見つけったっぽいゾーンに導いてくれたのかも、しれない。

ガツガツ言われても全てを受け止めず、(本質としてはケアレスミスに気をつけろよってことで、あとはエスカレートしてあれもこれも言っちゃっただけだよね。うんうん、そういう時ってあるある)と心の中でいなせるようになったり。

そして、マクロ視点では父の懐が深く理解があることも奏功した。
(一部マクロ視点に限る)

「10年で農場の代表代わるから、今のうちに準備せぇよ」
と、事業承継10年計画というのを打ち出してくれていたのだ。これにより、足元にばかり目がいかず、未来(明るい)へ目がいき、モチベーションが続いたと思える。

ボクが4Hクラブを推すのも、事業承継をどうにかしたいという勝手な使命感を持っているのも、どうやらボク自身の経験がルーツになっているっぽい。

よく見る、親元に就農したけれども、どうも攻略の道が見えないケース。
洞窟の戸愚呂(兄)状態。ずっとループを抜け出せず「なぜだぁ〜」を繰り返す。

漫画「幽遊白書」の戸愚呂兄。画像はネットから拝借。

そういう農家仲間が現にいて、ボクが手を差し伸べる範囲は決まっている。4Hに入れば、手を差し伸べる人がゴロゴロいるので、戸愚呂兄みたいな状態になる前に、地域の4Hクラブに入ることをオススしている。4Hクラブが全てじゃなく、あなたを救ってくれる場があるならそれで良い。商工会青年部とかでもいいし、もしくは趣味のスポーツサークルだっていい。ボクのそれは4Hだった。なので推す!

事業承継もそう。
継ごうと決めて農業に就いたが、自己肯定感が下がっていくうちに「継がされた〜」「オヤジが言うこときかない〜」「くそォォなぜだァァ」というマインドになってしまうケース。かくいうボクだって足元はそう。オヤジは言うこと聞かないし、雑草も農場課題も次々と発生する。

「はっ、いかんいかん。オレは今まで何を・・・」と我に返るきっかけ。
足元じゃなく、先を見るきっかけ。
それが必要。

という思いを、こんど出す本に全部ぶつける。きっかけ本にする。

農家の事業承継について、
なぜ進まないか、進んでいる事例はどんなだ、
集まっている英知を集約したい。

ボク自身は優良事例と呼ぶには、情けない部分も多々あり恥ずかしい。
けど、親子の事業承継が地獄な世の中は、ここで終わりになるべき。
その為の、いち参考資料として使われるなら、あの日のゲロゲロなボクを量産しない世の中になるなら、ボクの身は安い。

ボクの子供たちの時代には
「むか〜しむかし、あるところに事業承継問題というのがありまして」
となっている未来を望んで。


トップ画面は、JAcomさんの取材記事の写真を拝借。
https://www.jacom.or.jp/noukyo/tokusyu/2018/03/180302-34743.php

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