【ライブの記憶】ohzora kimishima presents 2man live THE SADDEST CORE vol.1 at 新宿MARZ[君島大空トリオ/the bercedes menz] 2024/06/02

まえがき

私は音楽に「必然性」を求めている
果たして、この音楽を聴く「必然性」があるのか?を常に自分に問い続けている。
その意味で、今回のイベントは、自分にとってあまりに「必然性」に満ちていた。

一つ目。the bercedes menzとの出会い

the bercedes menzを知ったのは、菅野結以がパーソナリティを務めるRADIO DRAGON -NEXT -だった。
ここ1~2年、プライベートでのちょっとした縁から、このラジオ番組を毎週聴くようになっている。
邦楽中心に、程よい深さで曲やアーティストを紹介してくれるこの番組は、シーンの中でも独自性を放ちながら、高いクオリティを保つ、信頼できる情報源だ。

そんなRADIO DRAGON -NEXT -での、菅野結以によるおすすめ曲コーナーにて、2024年年始に流れたのが、the bercedes menz「幸福な子供たち」だった。
しかも、菅野結以がthe bercedes menzを知ったのは、君島大空からのリコメンドだというコメント付きで。

君島大空がリコメンドするバンドなんて良いに決まっているし、そのうえでRADIO DRAGON -NEXT -という場で菅野結以がリコメンドするなんて、何一つ疑いようもなかった。
そのthe bercedes menzを、君島大空が自主企画の第1弾として呼んだわけだ。
これ以上の「必然性」があろうか?


二つ目。the bercedes menzそのもの。

君島大空は2023年のベストアーティストと言っても過言ではないので、もはやその「必然性」を語る必要もないが、the bercedes menzについてはまだ語ることがある。

the bercedes menzを初めて聴いた時に、あのバンドに似てる音像だなと思った。4ピースバンドoverusedだ。

2022年にこの曲を聴いて衝撃を受けた時には、すでに解散していたバンド、overused。確実に2022年ベストソングのひとつだった。

この曲を聴いたときの衝撃は凄まじかった。そしてその後にバンドの解散を知った時にはとても残念に思った。

"hyperpop"の過剰さとは別の軸で、音の過剰さが詰めこまれた楽曲。

なんでこんな無茶苦茶な音に聴こえるのに、こんなに伝わってくるのか。無茶苦茶だからなのだろうか?いや実は無茶苦茶ではないからなのだろうか?

何もわからない。それでも、力強い轟音が鳴り響く、とにかく良い音楽だ。

the bercedes menzの話だった。色々調べていてわかったこと。
the bercedes menzは、overusedのメンバーで構成されている3ピースバンドだ。そりゃ音像が似ているわけだ。

2022年1月に解散したoverusedのメンバーを擁し、ソリッドでブルータルなギターロックサウンドと謎めいた佇まいが都内のライブハウスシーンを中心に話題を呼んでいるロックバンド・the bercedes menz

何があって、こうなったのかは何も知らない。それはどうでもいい。
しかしながら、これ以上にこのバンドを聴く「必然性」があろうか?

the bercedes menz

先行はもちろんthe bercedes menz。
今年の2月ぶり、2回目のライブ観戦だ。

シンプルに前回よりも音が良いなと感じた。前回よりも暴れる音をしっかり捉えて、踊り狂うことができた。

それにしても、新曲「SMAP」には終始爆笑しっぱなしだった。このバンドのこういう遊び心も好きだ。

“SMAP”は伝説的なJ-POPグループへの愛とリスペクトに、ファンクとソウルへの偏愛を悪魔合体させた、神をも恐れぬダンスナンバー

「ハードコアJ-POPバンド」の異名にふさわしい、凶暴さとポップさは、おそらくそれなりにアウェーだったであろう、フロアを十二分に湧かしていたように自分からは見えた。

まだまだ荒削りだなと思うが、それで良い。それが良い。そういうバンドだし、そういうライブだった。

君島大空トリオ

トリオを見るのは、1年半ぶりで、2回目だった。

改めて読むと、当時と印象はあまり変わらないかもしれない。
このトリオは、君島大空のための座組だ。

トリオは、誤解を恐れず書くと、君島大空のリミッターを完全に外すことで、君島大空そのものの出力をひたすら高めようという音楽に感じられた

こんなにギターの音歪ませてったけな、音でかかったけなと何度も思った。
そんなかっこいい音で、3曲目では弦を切ってしまうほどアグレッシブにギターを弾きまくる君島大空は、最高のギターヒーローだった。

聴きながら、APPLE VINEGAR - Music Award - 2024の大賞インタビューを思い出していた。

君島大空はこのインタビューの中で、歌の文脈ではあるが「わかりやすい音楽への忌避感」を語っている。

そんなまさか。君島大空の音楽こそ「最高にわかりやすい」じゃないかと思ってしまった。
こんなにわかりやすくかっこいい曲があろうか。こんなにかっこいいギターソロがあろうか。「都合」のギターソロは泣いたぞ。

もちろん現代における「わかりやすさ」とは位相が違うことは百も承知。それでも、その「わかりやすさ」をひっくり返す力を、この人は持っていると信じたい。

アンセム、待ってます。

あとがき

君島大空はMCにて、the bercedes menzのオフィシャルサイトの問い合わせフォームから自ら連絡をとり、急遽この企画を取りまとめたことを語っていた。
また、vol.2で呼びたいバンドなんて思い浮かばないほど、the bercedes menzが好きだとも言っていた。もちろんthe bercedes menzの田中喉笛も君島大空のファンであることを何度も公言している

そういえば、君島大空は上述のインタビューでこんなことも語っていた。

―君島さんは今後、どんな音楽家になっていきたいですか?
君島 
爆笑してもらえるような人になりたいです。「アルバム2枚出したあとに、こんなことするの!?」みたいな。

そして奇しくも、the bercedes menzの田中喉笛はこんなポストをしている。

さらに、the bercedes menzが「遠視のコントラルト」〜「開口部」を演ったと思えば、
君島大空トリオは「幸福な子供たち」〜「遠視のコントラルト」を演ったうえに、ライブ後すぐにカバー音源をsoundcloudに上げちゃう。

しかも、これは事前打ち合わせしてたわけでもないらしい。

こんな相思相愛な二組、そうないだろう。
振り返った時に、ひとつのエポックメイキングとなる夜だったのかもしれない。


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