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社会人がそこそこ頑張って取得すべき、USCPA(米国公認会計士)資格について

こんにちは、ショウです
私は数年前にUSCPA(米国公認会計士)の資格を取得し、これまでのキャリアの中でその資格を活かしてきました。

財務会計の道へ新たにキャリアチェンジしたい方、もしくは経理等で会計の仕事に従事ている中でそこからキャリアアップを考えていてる方等にとって、USCPAは正直コスパ(努力時間ベース)がかなり良いです。

今回はなぜそういった方がUSCPAの資格取得を目指すべきなのかについて解説していこうと思います。


■資格取得のためにかける時間が比較的少ない

あくまで相対的にという意味であり、それなりには勉強が必要であり、いわゆる難関資格であるのは間違いない

日本の公認会計士資格取得までの時間は3000時間以上必要とも言われている中、USCPAは一般に1,200~1,500時間程度と言われており、仕事をしながら1週間に20時間程度の勉強時間で1.5年~2年ほどで無理なく合格可能(逆に仕事をしながら日本の会計士資格試験の勉強をするのは実質不可能)

それゆえ必然的に合格率も相対的に高く、日本在住のUSCPA資格受験の合格者は2020年で41%と、日本の公認会計士試験の7.7%(2022年時点)より合格率が遥かに高い試験となっている(出典:アビタス)

一方で、お金という意味では、USCPAの場合、TACやアビタス等の資格スクールに支払うメインの費用に加え、受験資格取得のための単位取得費用や、ドルベースでの科目ごとの受験料等(円安の影響で更に高くなる)が発生してくることもあり、日本の公認会計士資格に費やす費用よりもトータルでは高くなる可能性もある(120~140万円程度のイメージ)

■会計財務ファイナンスの知識が体系的に身に着けられる

USCPAの資格試験は以下の4つの科目で構成されているため、会計士として実務対応していく上で網羅的に必要な基礎知識をカバーしており、一つ一つ(当たり前だが)しっかりと勉強していかないと合格できないため、体系的に習得することができる。

  • FAR(財務会計)

  • AUD(監査)

  • REG(法律・税務)

  • BEC(管理会計・経済学・ファイナンス・IT・リスク管理等)

実際、ポイントポイントで単発的に会計やファイナンス等を勉強しようとしても、試験合格等の明確な目標が無いこともあり、途中で中途半端に挫折してしまうケースも多いのが正直なところだろう。USCPAという資格勉強を通じて、モチベーションを高めながらこのような専門知識を体系的に習得することが可能。

■箔がつく

正直、米国公認会計士というインパクトは、一般的に「すごそうなイメージ」が浸透している。
実際、上記の通り日本の公認会計資格よりもはるかに取得難易度は低いのに、(その周辺に詳しい一部の方を除いて)米国公認会計士資格の方がすごそうに聞こえる、というのは事実としてよく聞く。なんとなく「国際的にバリバリ働いている人」のようなイメージを持つからであろう

実際、名刺に「米国公認会計士」と記載してあるのは気持ち良いw、 
時に先生扱いされるw

以上は、半ば冗談のように聞こえるが本当の話で、これらも仕事と両立してUSCPAの勉強を継続していくうえでの重要なモチベーターになるはずだろう

■英語力が身につく

USCPA試験の問題文は当然ながら100%英語であり、それをタイトな時間内で理解してどんどん設問を解いていく必要があるため、リーディング力は間違いなう向上する。また、 BECではwritten comunicationというライティングパート(15%を構成)があるため、スキルもUPする。

なお、アビタス等、日本の大手支援会社のテキストでの解説は基本的に日本語ではあるが、それだけで物足りない人はWileyやBeckerなど、海外スクールの完全英語の教材を独自に入手して、プラスアルファ問題に取り組んだりする人もいる(なお、私としては、必ずしも必要とは思わない)。

なお、上記の通り、USCPA全科目に合格する人であれば相応の英語力が実際に身につくことに加え、周囲の人からも、この人は英語ができる人だという認識がされるため、英語を使う必要がある仕事が振られやすくなるし、そのような部署への異動もしやすくなるだろう。

なお、資格試験の問題が100%英語であることからも、英語に完全にアレルギーがあるような人では厳しいかもしれない。

■転職に有利

上記の通り、USCPAホルダーであれば、「会計財務ファイナンス等の知識を体系的に持っている」
「(仕事しながら)難易度高めの資格を取得するガッツのある人物と思われる」「英語がある程度できる」
という形で関係転職市場でも当然ながらプラス評価を得る。

あくまで関連業務未経験者目線からのUSCPA資格取得後の転職先候補としては、以下のようなところが考えられる

  • 監査法人(日本の公認会計士の流出も重なり、USCPAの監査法人への転職難易度は継続低下、特に国際部等英語を使う部署が人気)

  • 税理士法人(移転価格税制等、英語を扱う頻度の多い部署人気)

  • FAS系(ただし、大手に関しては、資格ホルダーであっても監査法人や経理、銀行証券等を経由していないと完全未経験からは比較的厳しいかも)

  • 財務会計コンサル(連結決算支援、財務システム導入支援等)

  • 事業会社経理部門(海外子会社を複数有するような大きめの会社や、外資系企業等が中心)

  • 事業会社内部監査部門(J-SOX対応等)

  • 海外にある、日系企業支援の現地中小規模の会計事務所(アジア中心)

なお、USCPAは文字通りアメリカの資格であることから、資格取得後はアメリカで働くことを検討する場合もあるかもしれないが、米国での就労は原則企業側からの専門ビザを取得取得する必要があるため、現実的にはかなり厳しい。

アメリカでの就労に可能性があるとすれば、F1ビザという「学生ビザ」をまず取得してアメリカの4年制大学やビジネススクール等一定の学校に通って無事卒業した後、OPT(optical practical training)とい制度のもと、専攻と同じ分野で卒業後1年間働くことができる。

さらにはその期間中H-1Bという6年間就労可の専門技術者向け(会計士もOk)のビザの取得を目指すというものがある。
H-1Bに関しては、その雇用企業側の承諾(費用負担も)に加え、アメリカとしてビザの発給枠があるため年1回の抽選に当選する必要がある(日本人だと今は当選確率1/3ぐらいだったはず)ため、これまた簡単ではないのが実情。

■注意点

USCPAという試験は、広く浅く会計や監査の考え方を問われるのに対し、日本の公認会計士の試験は、深く理論的なところまで問われれる。

さらに、USCPAという試験は、仕訳や計算問題などがあまり出題されないが、日本の公認会計士の試験は、高いレベルで簿記などの実技ができることが必要

特に、実務経験のないUSCPAの場合、USCPAという試験を突破したくらいでは、中途半端な会計知識と簿記技能しか身についていないのが一般的ではあるので、あまりに資格合格の実績を過信して未経験分野に転職すると、実務で求められる力量とUSCPAの資格試験で直接的に役立てる部分との差額に愕然としがち。

ただし、冒頭の通り、会計財務ファイナンス等を集中して体系的に身に着けることができることなどを中心に、未経験分野に転職するきっかけになることは間違いなく、採用企業側も評価してくれるのは間違いない。
入社してしまった後はその環境であとはひたすらハードワークしていくことで、実務で活用できる会計士としての力をつけていってもらえれば良いし、多くの人はそのようにして実際に力をつけている。



以上がUSCPAの勉強を始めようか悩んでいる人、および勉強をすでに始めている人のモチベーション上昇のお役に立てられたのなら幸いです。




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