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【~連載~静岡の歴史を学ぼう255】Utsunoya Mountain Pass Part2 宇津ノ谷峠 パート2

※ この記事は「静岡移住計画Facebook」に掲載しております。


先日、NHKの歴史番組「英雄たちの選択」で、歴史家の磯田道史先生が「徳川家康は 『分』 と言う見えない檻(おり)を上手に使って江戸幕府が人々をコントロールする基盤を作った」とおっしゃっていました。磯田先生の教えにはいつもハッとさせられます。

武士という「分」。庶民という「分」。身分をわきまえる。職分を守る。分相応。

その檻があるから、徳川幕府は265年も続き、パックス・トクガワーナ(徳川の平和)を人々は享受したのでしょう。

ただし、家康公の戦略は今なお日本人に影響を与え、見えない檻の中に自分たちを閉じ込める傾向があるのかもしれません。

身分制度の一端を宇津ノ谷に見ることができます。

今年もこの連載をお読みいただき、ありがとうございました。

Utsunoya Mountain Pass Part2

宇津ノ谷峠 パート2

While walking on the streets in the Utsunoya area, visitors find unique signboards at the locals’ entrances.

宇津ノ谷地区の通りを歩いていると、住んでいる方々の家の玄関に独特の看板を見つけます。


玄関に大きな看板が目立ちます

These show their ‘yago’, or business name.

これは「屋号」 仕事上の名前を示しています。

In the Edo period, commoners were not granted their family names.

江戸時代、庶民は苗字を与えられていませんでした。

In short, being given family names meant they were samurai, or special commoners who were allowed to use family names.

つまり、苗字を与えられることはその人々が武士である、もしくは苗字を使うことを許された特別な庶民であるということを意味していました。


屋号がロゴマークのようです。

In the Edo period, people in the Utsunoya area used ‘yago’ to distinguish the family that they belonged to.

江戸時代、宇津ノ谷地区の人々は屋号を使って、どの家の人間なのかを区別していました。

The houses themselves also have unique characteristics.

家、それ自体にも独特の特徴があります。

宇津ノ谷地区にて 
江戸時代からの建築様式に基づいた家が並んでいます

In the Edo period, people had to live by paying careful attention to their social ranking.

江戸時代、人々は社会階層に気を配って生活しなくてはなりませんでした。

Farmers must obviously show a respectful attitude toward samurai.

農民は武士に対して明らかに尊敬の念を示さなければなりませんでした。


大名行列のイメージ画

In general, commoners were not allowed to live in two-story houses because they could look down on samurai from the second floor.

一般的に庶民は二階建てに住むことは許されていませんでした。二階から武士を見下ろすことになり得るからです。

However, it is more strategic to build a second floor in a narrow valley area to utilize the limited space better.

しかし狭い谷あいの地区において限られた空間をよりよく活用するために二階建てを建てることはより大事なことです。

Therefore, the locals expanded their attics so that they couldn't look like second floors.

それ故に地元の人々は屋根裏部屋を広げ、二階に見えないようにしました。


下から見ると確かに二階部分が目立ちません

There are other noticeable characteristics of these local houses.

この地の家々にはこの他にも目を引く特徴があります。

They have long eaves to protect their outer walls and windows.

長い軒先があり、外側の壁と窓を保護しています。


長い軒 そしてそれを支える長い梁

In addition, they serve as a sunshade inside their rooms during hot summer days.

更にその軒が暑い夏には室内に日かげを作ります。

In order to support long eaves, visible long beams are attached below.

長い軒を支えるため、目立つ長い梁がその下にあります。



こちらのお宅にも長い梁が見られます。



参考資料:

「東海道宇津ノ谷峠 道に咲いた文化」建設省静岡国道工事事務所 企画・監修

  東海道弥次喜多研究会発行

(本文執筆は 黒澤 脩先生 中村 羊一郎先生です)

「宇津ノ谷あるき」 発行元:宇津ノ谷地区美しいまちづくり協議会 静岡市都市局建築部建築総務課 https://www.city.shizuoka.lg.jp/000714255.pdf

「江戸時代の町屋にあった「厨子二階」はなぜ天井が低いのか。またどのように使用していたか。」 レファレンス事例詳細(Detail of reference example)より

[転記用URL] https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view...


  

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