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大阪・栄湯さん (生野区の銭湯)
大阪市生野区には「栄湯」さんが2軒あります。栄・寿・豊……銭湯の屋号には、未来にむけての希望がありました。
(1823文字)
栄湯(さかえゆ)さん
生命力あふれる赤いテントが目印の栄湯さん。ここは、眼鏡レンズ製造のまち・田島。
かつての活気とまちの歴史が湯けむりにうかびあがります。
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大阪市生野区田島4-16-8
13:10~25:00
第1・3定休
もより駅は……
●JR大和路線・東部市場前駅…徒歩約15分
田島神社(たしまじんじゃ)
大阪の郊外で農村の、田島村。冬の農業のすきま期間に、ガラスの眼鏡レンズの製造をはじめました。
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鎮守の 田島神社にまずお参りします。大正から昭和初期に、全国でガラス眼鏡レンズ製造のトップになりました。
のちに眼鏡レンズはプラスチックの時代になりましたが、田島には眼鏡の会社が現在もあります。
そんなまちの地場産業・労働を影で支えたのが銭湯です。
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田島神社に行かれたら、石碑と眼鏡のカタチをした「しめ縄」もごらんくださいね。
毎年11月3日は「めがね祭り」があります。
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天神さまと平野川
かつて田島神社は「天神社」といわれていました。平安時代、菅原道真が太宰府へ流される道すがら田島神社で休憩したことから。
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そして菅原道真は藤井寺の伯母まで別れのあいさつに向かいます。ここ、田島神社より「船」で出発しました。
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陸地の田島に「船」とは、ピンときませんね。かつて川幅がひろかった平野川。田島のこのあたりを、くねくね蛇行して流れていたのです。
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江戸時代、この平野川を利用し、大阪(京橋)から奈良県( 柏原)のあいだまで「柏原船」とよばれる船で物資やひとを運んでいました。
たびたび水害をもたらした平野川は大正時代、ほぼ直線のいまの流れに改修されました。
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右岸堤防のラインが1か所盛り上がっています。ここにむかしの平野川が交差するように流れていました。
田島地区に、むかしの景観がのこるエリアがあります。栄湯さんへの通りみち。ほそい道は、むかしの川筋か路地かは、わかりません。
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眼鏡レンズや舟運で財を成した旧家の集落。
木の壁をよく見ると、横に渡された木のあいだに、釘のようなものが多数出ています。
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これがむかしの平野川の船「柏原船」の船底だそうです。船を解体してリユースしたのでしょう。
むかしの平野川を知るものは壁だけになりました。
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きれいなお湯と牛車
旧家をぬけて、しばらくあるくと栄湯さんに到着します。積まれた材木、きっと薪わかしの湯だ。
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あたりは町工場。いろんな機械の声がします。眼鏡レンズ製造から転業したのでしょうね。田島の端っこの、ちいさな銭湯・栄湯さん。自転車がたくさん。赤いテントはあとから付けのかしら、新しい。
頭上、入り口のガラスには牛車が描かれています。田島神社の神さま・天神さまの牛車。白菊が舞う銭湯。
あら、牛さんがいない。
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そうか、牛さんは田島神社に鎮座しているのだ。神さまのお使いだから御神馬ならぬ御神牛?
後で確認します。
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こっそり天神さまも牛さまも、栄湯さんでほっこりしているのかもしれません。
うふふ、金魚が笑っています。
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旅ゆけば湯けむり。栄湯さんの浴室の壁にも湖畔のタイル絵。旅をしたつもりの銭湯の風景。
かまぼこ型の天井からも陽がそそぎます。やわらかいジェットが吹き出す浅湯。
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動物もいるお風呂
浴室の入り口には、まず足を洗う水鉢があります。リスの白いタイルがついていて、清潔とまわりへのマナーを教えてくれます。
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ライオンの吐き口からは、レモンの薬湯がさわやかに。黄色の湯ぶねの奥は電気風呂。薬湯と電気風呂、いっしょの湯ぶねが、たまにあります。むかしの銭湯あるある。
ビリビリ・カミナリ!ここに天神さまがいるのかも。
サウナと水風呂。リスの吐き口から水が出ています。
こぢんまりした銭湯ながら、動物が多くて和みます。
田島の栄湯さん。とてもきれいな銭湯。大将や女将さんもやさしい。ひとと接することがすき。
むかしからある、ちいさな銭湯。
来たかいがありました。
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そうだ、牛は神さまのお使い。
帰り道にも立ちよりました。
神社と銭湯、感謝をわすれない。
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「銭湯の日」
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。
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