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大阪・ハaハaハaさん (天保山おさんぽ) 後編
大阪市港区・大阪港の天満屋ビルのカフェ「ハaハaハa」さん。天保山に、おさんぽしてからの到着。
どんなカフェか、たのしみです。
(2459文字)
前編のあらすじ
(とくに読まずとも、だいじょうぶ)
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大阪メトロ・中央線の大阪港駅から、おさんぽ開始。
天保山公園で、日本で二番目に低い山「天保山」の山頂を見ます。
広場のスミにある山頂、目立たないのです。
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天保年間に安治川の土砂をさらえて盛り土。人工の山、約4.5mの天保山。
大阪のおでかけの名所となり、絵画のモチーフにもなっています。
天保山公園の防潮堤の展示をどうぞ、ごらんください。
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1800年代 作・南粋亭芳雪
おちょこを、ふせたような青い天保山が見えます。
遊覧船の帆かけ船。まだ工場もなく、のんびりした観光地だったのですね。
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高い塔は天保山・山頂の石碑ではなく、明治天皇行幸記念碑です。明治以降、大阪港・築港《ちっこう》の開拓・整備がすすみました。
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観光に来たひとたちは、みな海遊館に、すいこまれてゆきます。
夕日を待ちわびて西の商業施設は、いつもにぎわっています。
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ハaハaハaさん
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窓が、おおきく青空を切りとる。昭和10年にできた天満屋ビル。地盤沈下と道路舗装で、1階が半分ぐらい埋もれました。
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Hayashi Rice & Jewelry Crafts
大阪市港区海岸通1-5-28 天満屋ビル
(月・木・金)11:00~15:00
(土・日)11:00~16:00
(火・水定休)
鉄の階段をそろりと。むかしのマンションのカンカンするあれ。
板の看板。「ハaハaハaさん」到着。
階段を上りきると足がフワッ。
やわらかい。あたたかい床の感触。わたしが小学生になったときの木造校舎の床のような。
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雑貨やミシンが飾られています。
たしか「ハヤシライス & ジュエリー・クラフト」見てるだけで、たのしい、うれしい。
木のドアを引くのかな。自動ドアに慣れたじぶんがいます。ぎこちなくノブをさわり、回す。ギシッ……。
手でドアを開けたのは何年ぶりだろう。むかしのたてものに入るとき、いつもそう思う……。
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たてながの窓
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「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
男性の声だ。にこり。
声を出して、ハaハaハaには、ほど遠い……。店名ほど、はじけちゃいない、ほんとナチュラルな空間。
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ながい陽ざしが窓のかたち。南西のガラスのカーブに目をうばわれます。
このビルのまるみ。ガラスでつくられている。支えは木の枠だけ。しんじられない。解放感と陽だまりが正比例する。
台風がきたらどうしよう。
シャンデリアに笑われた。
「この時代のたてものだから」
海風にも頑丈なスクラッチタイル。
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よかった。安心してメニューをひろげる。壁はミルクティーのような色。カーテンとテーブルも。
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木かげ、こんなところで。海までちかいテーブル。でも海は見えない。
ピッチャーとお水がうれしい。さいきんのカフェは、お水がないから。アメ色のグラスもいいものです。
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たまごトーストとコーヒー
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むっつにカットされた、ゆで玉子ととパン。ハヤシライスのソースかな。いいかおり。
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コーヒーとたまごトーストを木かけに。ここで貸し切り終了。あらたに、お客さまがふたり。ハヤシライスをご注文。
ハヤシライス。お昼を食べてきたことが悔やまれる。トーストかケーキしか食べられなくて。
コーヒーのうつわがハaハaハaとわらった。
コーヒーカップ
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やあ、これは。埋もれた記憶がカタチになった。
「あぶらねんど」油粘土というもの。
小学校一年で文具をそろえた。そのときの。ゾウさんみたいな、こんな色。
油粘土でコーヒーカップをつくれば……きっとこんなカタチ。
ごろんと重たい油ねんど。取っ手が太い油ねんど。
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あぶらのにおい。プラスチックのねんど箱。図画工作で使ってた。
重たくて、手にも油がまみれてくる。ベタベタベタ。
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葉っぱが落ちる。葉っぱが映る。
ごつごつのあぶらねんど。思い出した。
乾かなくて、渇かない。
ベタベタ作って学芸会。教室の後ろに作品を飾った。こんなカップがいくつもあった……。
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さわやかな葉っぱのコーヒーだ。
ごろんと重たいコーヒーカップ。
あぶらねんどは、最後どうなったのだろう。いつ捨てたの、棄てたの?
また記憶にうずもれた。
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取っ手の向こうのおじさん、どこかで会った。おひさしぶりです。
横を向いたおじさん。おじさん。
しかくいお皿の、お酒のおじさん。
これだけいわせて。
おじさんに、歳は追いついた。
カンパイ。
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メトロが走る窓
シャーッ……。金属音の速さでわかる。地下と地上の、さかいめを走る。むかしの記憶と、現在を正確に駆け抜けるメトロ車両た。
メトロノームのようなメトロポリス。
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窓にちかづく。こんなふうに。
緑とシルバー、あなたは誰?
中央線の新型車両が、ななめに出てくる。まだ見たことも、乗ったこともない。
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また貸し切りになってしまった。
たてながの窓、ながい影。
最後にパチリと記憶におさめる。
ごちそうさまでした。
わたしも家に帰ることに。
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おおきくて、たてながの窓。夏の陽ざしを想像する。冬に来てよかった。ハaハaハa……苦わらい。
大阪の夏は、油ねんど。
ベタつき重たく外へ出れない。
おおきくて、たてながの窓。
メトロがまた走っている。金属の波音。
きっとこの車両だ、何ておおきな窓の顔。別の駅で見つけた。
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「むかしの夏は、
窓を開ければ、涼しかったんだよ。」
ベンガラのくちが、ささやいた。
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いつも こころに うるおいを
水分補給もわすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。
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