おもに津軽三味線弾き唄い。ときどき地歌・上方唄。またあるときは義太夫三味線。

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マガジン

  • 千静のうた絵巻 vol.3 -ゆきおんな- 創作ノート

    2023年12月19日(火)道頓堀並木座にて開催のライブ「千静のうた絵巻 vol.3 -ゆきおんな-」に向けて、12月1日より毎日、創作ノートを公開していきます。

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千静のうた絵巻 vol.1-道成寺【ダイジェスト】

2023.6.20. 千静のうた絵巻 vol-道成寺 @道頓堀ミュージアム並木座 より 地歌、端唄、歌謡曲、オリジナル曲、 ジャンルを超えてさまざまな唄を 三味線で弾き唄いしながら 物語を綴っていく企画「うた絵巻」。 第1回のテーマは 個人的に大好きな「道成寺」。 道成寺伝説にまつわるさまざまな芸能、文学、絵画などを ご紹介しながらのライブでした。

    • うた絵巻というチャレンジ。

      ちょうど一年前 2023年6月20日に「千静のうた絵巻 vol.1」を開催した。 これは、上方唄松浪流の主催イベントで 道頓堀並木座で毎月ライブを行う、というもの。 師匠と、千紫さん、千粋さん、私の4人が交代で 各自の趣向でソロライブを行います。 師匠からは「好きにやっていいよ」と言われており 内容も地歌・上方唄に限らず、演歌でもポップスでもOK、 ただし一人でやること、という会です。 気づけば地歌・上方唄も始めてから十年以上が過ぎ、 けれども人前で演奏する機会はそれほど

      • 響喜というホーム。

        2001年6月3日が 和楽器ユニット「響喜」(ひびき)の初ステージだった。 このとき演奏しているのは、オリジナル曲《風舞》。 私と篠笛のみほりんとで、およそ一年がかりで作った曲で せっかくだから演奏機会を作りたい、というのでメンバー募集をして パーカッションの小出さんが来てくれて 「響喜」がスタートした。 (ちなみに、この写真でタンバリンを演奏しているのは  助っ人として参加してくれた同級生のあっこちゃん。  今は作曲家・ピアニストとして活躍中。) 私は高校生の頃からバン

        • サードプレイス的天Q

          ここ数年、京都・天Qで 毎月「三味線三昧」というライブに出演していますが、 9年前の今日が初めての天Qでの演奏でした。 「三味線三昧」で今も一緒にやっている三宅さんに誘われて初出演。 いつも着物リメイクの衣装を提供してくれている杏さんが 当時たまたま近くに住んでいて、このとき聴きに来てくれてました。 itaruさんも、この日、高槻ジャズスト帰りに駆けつけてくれての はじめまして、でした。 そして7月には itaruさん、はたこうじさんと一緒に「津軽三味線対決」ライブ。 三

        千静のうた絵巻 vol.1-道成寺【ダイジェスト】

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        • 千静のうた絵巻 vol.3 -ゆきおんな- 創作ノート
          19本

        記事

          太陽と月が開いた運命。

          2011年4月23日。 これもまた私にとって特別なライブである。 東日本大震災支援チャリティーライブ@太陽と月 3月11日 東日本大震災が起きて 東北は大きな被害を受けた。 東北。 私にとって縁もゆかりもない遠い場所だったはずなのに 津軽三味線に惹かれて、実際に演奏するようになってからは あこがれの芸能のふるさととして特別な思いを抱く地になっていた。 その東北が大きな被害を受けたことは、もちろんショックだった。 ショックだったけれど、でも私には、 具体的に安否を心配する

          太陽と月が開いた運命。

          夜桜お七

          唄・三絃 松浪千静 2024.4.12.三味線三昧@京都・天Qライブ

          夜桜お七

          夜桜お七

          EN「DOJYOJI」という原点。

          2007年の今日、4月7日に アートユニットEN「DOJYOJI」という作品を上演した。 舞・演劇・書・和楽器のコラボレーション作品である。 津軽三味線で情念の世界を描きたい、 その第一歩を踏み出すことができた、私にとって特別な舞台である。 津軽三味線はカッコイイ、と思う。 けれど、今の津軽三味線には色気が足りない、と私はずっと思ってきた。 古典芸能の三味線はもっと色っぽい。 それを何とか津軽三味線にも取り込めないのだろうかと思う。 ノリのいい民謡も、スタイリッシュな現代

          EN「DOJYOJI」という原点。

          三味線よされ_20240102

          2024年の弾き初め。 今年もきっと弾き続ける大切な曲《三味線よされ》。 この一年でどんなふうに変化していくかな。

          三味線よされ_20240102

          三味線よされ_20240102

          千静のうた絵巻 vol.3 ゆきおんな ――楽曲解説

          本日は皆さま、ご来場ありがとうございました。 「千静のうた絵巻 vol.3 ゆきおんな」いかがでしたでしょうか。 今回は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「雪女」をベースに 雪女の恋を描いてみました。 秋田の子守唄 1曲目は秋田県に伝わる子守唄。 ハーンの「雪女」は巳之吉との間に10人の子どもをもうけます。 約束を破った巳之吉を殺そうとした雪女はしかし 子どもたちのために思いとどまります。 それでも、雪女は子どもたちと別れなければなりません。 雪女はきっと、残していった

          千静のうた絵巻 vol.3 ゆきおんな ――楽曲解説

          雪女その後

          雪女の話をある友人としたとき 彼は思いがけないことを言いました。 雪女が出て行ったあとの 巳之吉の物語が知りたい それまで考えたことのない視点だなと思いました。 私は無意識のうちに雪女の視点から ずっと物語を見ていたようです。 なるほど 巳之吉の物語とは。 今回の“うた絵巻”では そこまでたどりつくことができませんでしたが、 これからの創作のためのメモとして。 松浪流火曜会 千静のうた絵巻 vol.3 -ゆきおんな- 小泉八雲「雪女」をベースに 雪女の恋を唄と三味線

          雪女その後

          近松門左衛門の雪女

          謡曲「雪鬼」については以前触れましたが、 それ以外にも古典芸能に出てくる雪女がいます。 近松門左衛門作の「雪女五枚羽子板」。 雪の中で殺された女が雪女となって現れ 恋人を助け、恨みを晴らします。 幽霊の雪女ですが、 ただ怖ろしい幽霊ではなく、正義の側に立って 悪人たちの企みを防ぐ、守り神のようです。 死んでなお恋人のために尽くす雪女は やはりどこか悲しい存在です。 松浪流火曜会 千静のうた絵巻 vol.3 -ゆきおんな- 小泉八雲「雪女」をベースに 雪女の恋を唄と三味線

          近松門左衛門の雪女

          絵で見る雪女

          谷口仙花「雪女」 北斎季親「雪女」 上村松園「雪女」 朝倉摂/絵「ゆきおんな」 佐竹美保/絵「ゆきおんな」 伊勢英子/絵「雪女」 私は伊勢英子の絵が好きですねぇ。 子ども向けの絵本とは言い難いですが… 松浪流火曜会 千静のうた絵巻 vol.3 -ゆきおんな- 小泉八雲「雪女」をベースに 雪女の恋を唄と三味線で綴ります。 2023年12月19日(火) 開場:14時  開演:14時半 会場:道頓堀ミュージアム並木座 入場料:2,000円 出演:松浪千静(唄・三絃

          絵で見る雪女

          遠野物語の雪女

          雪女、というと 北国、雪国のイメージだが 小泉八雲の「雪女」の舞台は武蔵国、 今の東京、埼玉、神奈川あたりである。 そして、この「雪女」の話を素材にしたと考えられる”民話”が 白馬岳(長野・富山)に伝わっている。 (『雪女 百年の伝承』参照) もっと北のほうには雪女はいないのか、というと 岩手県の『遠野物語』に雪女が出てくる。 この雪女は、小正月の夜に子どもたちを連れて行ってしまう。 これまでとはまた違うタイプの雪女であるが、 雪女は子どもと関わりのある存在である。 遠野物

          遠野物語の雪女

          夕鶴

          「〇〇してはいけない」という約束を破ってしまう昔話で 有名なもののひとつに「鶴の恩返し」があります。 機を織っているところを見ない、という約束を破って 中をのぞくと、いつか助けた鶴が自分の羽を抜いて織っていた。 正体を見られた鶴は空へ飛び去って行く。 この昔話をもとに書かれたのが 木下順二の戯曲『夕鶴』である。 つうの織物が京で高く売れたことで 悪い奴らが近づいてきて、与ひょうも変わってしまう。 経済至上主義への批判が込められた作品になっている。 團伊玖磨によってオペラ化

          見るなの禁止

          さて、今日は少し違うアプローチを。 「雪女」の話の中で印象に残るのは 巳之吉がはじめて雪女に出会ったとき、 命は助けてやるが、このことは誰にも話してはならない と約束させる場面。 そして、物語の最後で巳之吉は約束を破ってしまう。 昔話にはこのような「〇〇してはならない」という約束が 多く登場する。そして、その約束はほとんどが破られてしまう。 「鶴の恩返し」も「浦島太郎」もそうである。 約束をかわすのは、人間と異界のものである。 約束が破られると、異界とのつながり、接点は

          見るなの禁止

          谷崎潤一郎「雪」

          作家・谷崎潤一郎は地歌や上方舞を愛し、 作品の中にもしばしば登場します。 中でも愛した曲が地歌「ゆき」で、 『細雪』には主人公の四姉妹のひとり、妙子が 「ゆき」を舞う場面が出てきます。 「雪」という随筆の中で谷崎は、 地歌「ゆき」の主人公である女性について いろいろと想像をめぐらせています。 年齢はどのくらいか、どんな顔立ちか、 着ている着物の色は、生地は、 どんな部屋にいるのか、部屋の調度は、匂いは、等々 考え始めたらいくらでも想像が広がっていく、 一本の音楽映画だって作

          谷崎潤一郎「雪」