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EN「DOJYOJI」という原点。

2007年の今日、4月7日に
アートユニットEN「DOJYOJI」という作品を上演した。
舞・演劇・書・和楽器のコラボレーション作品である。

アートユニットEN「DOJYOJI」フライヤー

津軽三味線で情念の世界を描きたい、
その第一歩を踏み出すことができた、私にとって特別な舞台である。

死にゆく安珍に清姫が寄り添うラストシーン。
オリジナル曲「蛇恋」をエンディングテーマとして弾き唄いしました。

津軽三味線はカッコイイ、と思う。
けれど、今の津軽三味線には色気が足りない、と私はずっと思ってきた。
古典芸能の三味線はもっと色っぽい。
それを何とか津軽三味線にも取り込めないのだろうかと思う。
ノリのいい民謡も、スタイリッシュな現代曲もいいけれど、
私が弾きたいのは、どこか翳のある、そして艶のある、音なのだ。
舞踊、演劇とのコラボなら
音数を減らした表現にも挑戦しやすいのではないか、
しかもテーマが「道成寺」、個人的に惹かれてやまない作品である。
どうしてもやってみたくて、主宰の小梅さんに連絡した。
彼女とはmixiを通じて繋がっているだけで
実は一度も会ったことがなかった。
そんな冒険をしたことは今まで一度もないし、多分これからもしない。
でも、この作品には参加したいと強烈に思った。
一回目の稽古で、これは絶対に面白くなると確信できた。
踊りと三味線、というと
どうしても三味線は伴奏者になってしまう。
正直、物足りなさを覚えるときもある。
でも、この作品に関しては、お互いにゼロからのスタート、
一緒にひとつの舞台を作り上げていく関係になれる。
音楽家とは違う、舞踊家や役者の感覚を知るのも、とても面白かった。

作品を作っていく中で
自分の引き出しの少なさを痛感したことが
古典の三味線を勉強したいという思いにつながり、
地歌や義太夫を本格的に習うようになったのも、この後。
そう考えると、三味線三刀流の原点はここにあるのかもしれない。

稽古中から、小梅さんが「ねえさんの唄、好き」とか言って
巧い具合に私を乗せてくれたおかげで
エンディングテーマを作ったり
三味線弾き唄いを自分の基本スタイルにしようと
思えるようになったり。

響喜のような、聴く人みんなが楽しめる、
そんなライブも好きだし、楽しい。
一方で、一部の人にしか受けないであろう
こういう薄ら昏い世界を描きたい自分もいる。

何よりも、この作品を通じて出会えた人たちとの御縁に感謝している。
小梅さんとの不思議な出会いから始まっていることに
今振り返ってもびっくりしてしまう。

いつかまたENで道成寺を作ってみたい。
今度はどんな作品になるのか、本当に楽しみにしている。

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