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【新潟上越】雨の11月に出会った雁木と笑顔(2)

11月、新潟へ「カラダよろこぶ酵素」を作っていただいている工場見学に行ってきました。
盛りだくさんの工場見学の模様はまた後日。
その翌日の町歩きの様子をお届けしていきます。
 
前編はこちらから
https://note.com/shizenkan/n/n35dc0a4f75da
 
後編となる今回は、「簪女(ごぜ)ミュージアム」のお話からです。


簪女ミュージアム


写真でもしっかりわかる雨。

簪女(ごぜ)。
 
恥ずかしながら、これまでその言葉や存在を知りませんでした。
簪女とは、唄や踊り、三味線を職業にして、各地を旅していた盲目の女性たちのこと。
このミュージアムはそんな簪女さんたちを語り継ぐ場所です。
それは決して遠い昔の存在ではなく、50年前まで最後の簪女さんが存在していた、ということに驚きます。

まず、入ってすぐのフロアで上映されていたドキュメンタリーの映像に思わず見入ってしまいました…
映像の中では、3人の簪女さんが並んで歩きながら電車に乗ったり、山道を歩いたり、人々に歓迎され、三味線を奏で、唄を紡ぎます。

先天的に目が見えなかった方ばかりではなく、病気で視力を失い、そう生きるしかなかった女性もいたといいます。
ただ、そんな簪女さんたちの訪れを楽しみにしている人々もいて、あたたかく迎える人の笑顔や言葉も映像の中にはあり…言葉にできない想いがこみ上げました。
きっと今を生きる自分の価値観で、その慣習の善悪を語るべきではないのでしょう。
だから、そういうふうに生きていた女性たちがいた、ということを、刻み付けておきたいと、そう思いました。


宙に浮いたような2階の渡り廊下。
急な階段にはささやかな手すり。

鑑賞後はスタッフの方が優しく、またとても丁寧に館内を案内してくださいました。
 
高田の町家の特徴として、冬は雪が高く積もるので、窓を壁に作れず、高いところに採光用の窓を作ります。その光だけで1階までを照らさなければならないので、造りとしては吹き抜けになります。
空中に浮いたような渡り廊下や、急な傾斜のはしごのような階段も、限られた少ない資材で作った結果のもの。
実際歩いてみると少々足がすくむ…けれど、この傾斜もこの土地の暮らしの一部として、大切にされているのを感じました。
 
2階は画家・斎藤真一さんの作品を展示するギャラリー。
ドキッとするような赤色で簪女さんたちが描かれていて、悲しげな表情なのに力強さを感じる作品たちが鮮烈に記憶に残っています。
 
時代の流れや、かつていた簪女さんたちの生きざまについてなど、いろいろな感情がわいたひとときでした。

全国からたくさんの人が!私たちも福岡のところにシールを貼らせていただきました。

百年料亭 宇喜世


国登録有形文化財に指定されているという歴史ある料亭です。
その歴史は遡ると江戸時代末期だとか…
お食事も建物もとても楽しみ!と雨で冷え切った足で向かったのですが。

「今日ランチやってないって!」
 
なんと、お店の方で取材が入っており、ランチ営業を行っていなかったのです。
残念…!
しかし女将さんが、食事ができず帰るだけの我々にとても親身になってくださり、近隣の探索マップをくださったり、あたたかくお声かけくださいました。
そして、たまたま「上杉おもてなし武将隊」の上杉景勝氏がいらしており(何事かと…)一緒に記念撮影まで!
短い時間ではありましたが、思わぬ交流が叶い、そしてまた、現地の方のあたたかさを感じたのでした。

杉田味噌屋

もともと予約をしていなかったのは「時間も読めないし、入れなかったとしても近くにごはん屋さんいっぱいありそうだから」。ということで他のお店を探します。

その前に、と、高田駅方面へ戻る雁木モチーフのアーケード内を歩き、「杉田味噌屋」へ!
発酵の町 上越にせっかく来たのだからお味噌屋さんも見ていきたい、と目的地リストに入れていたのでした。

お店の前にはかつて使われていたという仕込み樽が…

スタッフが実際に並んでみるとかなり大きい。

そして風合いがすごい。刻まれてきた歴史を感じます。

店内はこじんまりとしていましたが、お味噌やいろいろなみそ漬けが並びます。
みそ漬けは試食も用意されていて、甘口と辛口がありました。
どちらもおいしい!特に甘口は九州の甘口のおしょうゆを思い出してとても口に馴染む…
私は個人的に甘口のみそ漬けのエリンギを購入。
オンラインショップもあるのでリピートしたいなあ…
ごはんのおともにもおつまみにもおすすめです。
 
店内で物珍しそうにしている私たちは見るからに遠方からの旅行客だったのでしょう。
お店の方から「どこから来たの?」とお声かけが。
福岡です、とお答えすると、とても歓迎してくださり、
今日帰りなんですということもお伝えすると、帰りも長旅だと思うけど気を付けてね、とお見送りの言葉をいただきました。
 
その後通りがかりに見つけたお店で手早くお昼を済ませ、高田城址へ向かいます。
雨は強くはないもののやむ気配もありません。そして時間も少々押している。
のんびりゆったりレトロな町歩き、の予定でしたが仕方ない、タクシーで!

高田城址

そんなタクシーでの道中、運転手さんから
「このお城のまわりの蓮は東洋一といわれているんですよ」
「ここの桜は日本三大夜桜といわれてて、桜の時期はぼんぼりなんか吊るされてね」
といった観光情報が。
蓮の季節でもないし桜の季節でもない、冷たい雨の11月だけれど、うつくしい光景が脳内に描かれます。
いつかそんな季節にも訪れてみたいなと思わせる、素晴らしいガイドでした。


鯉に夢中な一行


復元された三重櫓。
1階と2階は資料が展示され、3階は展望室になっています。

3階からの眺め

木の香りを吸い込みながら見学を楽しみ……ああ、時間がない。
本来ならこの後、上越市立歴史博物館でさらに土地の歴史と知識を深める予定だったのですが、泣く泣く予定を見送りました。

高橋孫座衛門商店と小竹製菓

そして再び雁木通り。
今度は南のエリアなのですが、こちらはそれぞれの軒先に紅葉のディスプレイがしてあり、地域の繋がりを感じます。

個人的に楽しみにしていた高橋孫座衛門商店!

日本最古の飴屋さんです。どっしりとした店構えも、落ち着いた内装も最高にときめきます。

以前から米飴を使ったお菓子や飴湯などが好きで、行先検討の時点からぜひここには行きたい…!と思っていました。
私は「粟飴」という新潟県産のもち米と国産麦芽で作られた水飴を購入。
「翁飴」は別のスタッフが購入したのですが、せっかくなので一緒に記念撮影。

この「翁飴」、高田城主が江戸へ参勤交代に出向く時の土産として、持参していたものなのだとか。他にも一品一品に歴史的な逸話があります。

見た目も素敵で開けるのがもったいない…

ちなみにお味については、お砂糖とはまた違う、コクのある優しい甘さです。
粟飴は、そのままお湯に溶かしたり、すりおろした生姜を加えたりしてこの冬の心強い味方にしようと思います。


個人的に楽しみにしていたところその2。「小竹製菓」!
地域で愛されてきたパン屋さん。

この笹だんごパンのパッケージがかわいくてかわいくて…!
パン自体も、新潟産の米粉を使ったパン生地で、もちもちしていてとてもおいしい!
パッケージから一目惚れでしたが、味も最高でした。
3個買って、帰りの新幹線と、帰宅後の夜食にもいただきました。

キャラメルクリームのサンドパンもとても美味。

最後に

帰りの新幹線で最後にようやく見ることができた新潟の青空。

町の人々がみんなあたたかい…!!!
と優しさに終始感動の我々でした。
誰かから歓迎されて、あたたかく迎え入れられることって、こんなにうれしいんだな…と、当たり前だけれど基本的なことに改めて気付かされる町歩きで、この感覚は日々のお客様対応の中でも忘れずにいたいと強く思いました。
 
またいつかプライベートでも行きたいなあ、新潟。

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