見出し画像

自然欠乏症。リアルよりバーチャルに慣れ親しむ僕らとその子ども世代。

「メキシコの小学校で11歳男児が発砲し自殺、担任死亡 6人負傷」というニュースが流れてきた。11歳男児は「Natural Selection」というFPS(主人公視点のシューティング)ゲームのことをクラスメートに話していたらしく、犯行当日には「今日がその日だ」と語っていたのだという。事件があった地元の知事は、「男児は(このゲームを現実世界で)再現しようとしていたのだと思う」と取材に対して述べたという。

同じ日に日本では、名城大学の学生が、レポートを出さなかった結果、単位をもらえないことに腹を立て、先生を刺すという事件が起きた。

これらのニュースの背景がどこまで事実に基づいているかはわからない。けれど、僕らと僕らの子ども世代は、あまりにもリアルよりバーチャルに慣れ親しみすぎていると思う。それは確かだ。そして、僕はそのことにかなり危機意識を持っている。

すでに欧米では「自然欠乏症」が問題になっており、最近は日本でも取り上げられている。自然というリアルなものに触れることが減ってしまったことによる弊害が、知らず知らずのうちに僕らを蝕んでいる。

怒りやすい。イライラしやすい。人の傷みがわからない。注意力が乏しい。我慢ができない。自分勝手。コミュニケーション力に乏しい。道徳観に乏しい。抑鬱感に苛まれる。etc...。

バーチャルの世界で人を殴っても痛みはまったく実感として伝わらない。バーチャルの世界で死んでもまたすぐに生き返る。もちろん、バーチャルはバーチャルでいろいろな可能性があるから否定はしないが、あまりにも慣れ親しみすぎてはいないだろうか。

先に上げたネガティブな症状の原因が、すべてバーチャルな世界に慣れ親しんだ結果とは言わない。ただ、少なくとも、それなりに影響していると思うのだ。

文部科学省の調査では、リアルな自然のなかで遊び、自然体験の多い人ほど、自己肯定感が高く、道徳観・正義感が強く、コミュニケーションスキル、礼儀・マナー、健康管理、課題解決スキルがある傾向があるという結果も出ている。

虫とりに夢中になって、虫を虫籠で飼って、世話して、死んじゃって、悲しんで、、、そんな経験のある僕らと子どもの世代はどれくらいいるんだろうか。

僕ら自身が紛れもなくリアルに存在しているのだから、リアルは大切にすべきだ。間違いなく大切にしたほうがいい。僕も自分の子どもにはおもいっきりリアルな世界を経験して欲しいと思ってる。

【おわり】

サポート金額に関わらず、いただいたサポート1件につき1冊、子どもに本を買ってあげたいと思います。