普段はチームで仕事をしてるゲームプランナーがUnity個人開発を1週間続けてみた結果
こんにちは。仕様です。(@shiyoumasayume)という名前でSNSをやっているゲームプランナーです。
突然ですが、1本のコンシューマータイトル(家庭用ゲームソフト)を作るためにかかる期間ってご存知でしょうか? シリーズものやリメイクタイトルであれば1年〜2年程度、完全新作のオリジナルタイトルであれば2〜3年程度と言われています。
僕は普段たくさんの人とコンシューマー向けタイトルの開発をしているのですが、プランナーとしての経験がしっかり身につくのはそのゲームが完成した時なんです。つまり実績をともなって成長するまでには2〜3年のスパンがかかるというわけで。
そういった現状にすこしもったいないなあと思っていた折、テレワークの推進によっておうち時間が増え、通勤にかかる時間が余暇時間となりました。そこで自身のキャリアに活きる知見を増やすこと、そして自分の趣味のために会社では作れないようなゲームをエイヤでひとりで作ってみることにしたんです。
今回の記事では、そんな個人開発を1週間続けてみた内容をまとめてみます。
開発に使うもの
PC
・MacBook Air 2020 13インチモデル
・第10世代の1.2GHzクアッドコアIntel Core i7プロセッサ
・Intel Iris Plus Graphics
・16GB 3,733MHz LPDDR4Xメモリ
・1TB SSDストレージ
ゲームエンジン
・Unity バージョン2020.1.2f1
Google chrome
・調べ物をするときに
Twitter / note
・経過報告用
Macbook AirにUnityというツールを入れてゲームを作成します。
じつにシンプルな構成でやっていこうと思います。
どんなゲームを作り始めるのか。
8月17日(月)に作業を開始しました。
まず最初にゲームのコンセプトを決め、そのために必要なゲームの概要を考えるところから始めていきます。
動機として僕の欲求として普段仕事で作れないゲームを作りたいということがあり、そこにはポストアポカリプスSFをやりたいという気持ちがありました。
ゲーム開発者としての僕の欲は、「自分が面白いと思うものを作って人からも面白いと言ってもらう」ことです。
そこで自分が面白いと思うものを言語化して、それを他の人にも面白いと思ってもらえるような内容(=コンセプト)として掲げます。
コンセプト
・ポストアポカリプスな世界で備えを繰り返して無敵感を得る。
そのためにどんな遊びを入れるか
・プレイヤーは基地の管理人として防衛システムを構築する
・基地リソースを管理して襲来する敵に備える
・敵から得たリソースを使って基地の地下を掘削し、地球の核へと到達する
・iPhoneの縦持ちでプレイ
自分の面白いと思うものから普遍的な楽しさを抽出し、そこから逆算して遊びの方向性を決めました。
(このあたりの思考の詳細は以下のnoteにまとめています!)
脳内にあるものを具現化していく
脳内でコンセプトやゲームの方向性が固まったら、それをガシガシ具現化していきます!
まずはゲームの概要からもう少し詳細なプレイサイクルをまとめます。そのあと、全体のボリューム感確認やシステムを入れ込んでいく箱を作るため、ゲームに必要な画面を洗い出していきました。
プレイサイクル
1.基地のリソースを消費して基地設備を整える
2.襲来する敵を倒す
3.敵を倒して得たリソースでさらに基地を増築or地面の掘削を進める。
敗北条件:所有する基地の設備が襲来する敵を倒しきれなかった
クリア条件:特定の深度まで掘削を進めた
必要なゲーム画面
・起動時に表示するトップ画面
・遊びを行うメイン画面
・自分を取り巻く状況を確認するログ画面
・バトルに使用する画面
仕事の合間にざっくりと組み上げていきます!
現状の見た目はもちろん仮のものですが、ここから見た目のクオリティが大きく向上することはおそらくありません。
もちろんフリー素材などを使って良いビジュアルにしていくことはできるのですが、実はUnityというツール自体の知見を得たいことや完成後に社内プランナー向けにUnityを勧めたい意図がありました。
そのため「Unityというツールさえ入れればこのくらい作れるんだ」と感じてもらえるよう極力外部リソースは使わない方針をとっています。
さて、最初に全体の箱を作っておいてよかったのは、作業の全体像を把握しやすくなったところです。この画面が全部仕上がれば完成!という思考は後の作業のブレが少なくなりとても重要でした。
数時間ほどかけて作ったのは以下の5つです。
・トップ画面
・ゲームメイン画面
・ゲーム内リソースを活用するダイアログ
・ゲーム内で起きたことを確認する画面
・戦闘用画面
画面内要素の配置位置について、プレイヤーの操作体験を想定して組み上げています。そのあたりの思考などについても以下のnoteでまとめています!
メインシステムを実装する
リソースを管理するゲームなので、そのリソース管理部分のシステムを作っていきます。
「攻めてくる敵に対してどのような備えをとるか」を工夫するのが遊びになるので、そのあたりに必要な要素を決めます!
ゲーム内リソースまとめ
・エネルギー
敵から得られるリソースで、これを消費してゲーム内のあらゆるリソースに変換する。ゲーム内通貨の役割。
・兵士
敵の1個体の強さに対して備える要素
・罠
敵の数に対して備える要素
・餌
敵の質や量を上昇させ、効率よくエネルギーを獲得する要素
・基地AI
1回の行動で獲得できる基地リソースの効率を良くする要素
これらを実際にゲームに実装すると以下のような感じに。
エネルギーを基地リソースに変換するシステムの他に、そういった行動を繰り返していった際に敵が攻めてくるというところまで実装しています。
このあたりを設計した際の思考については以下のnoteでまとめています!
ゲームサイクルを実装する
リソースを別の要素に変換する仕組みを実装した後は、「プレイヤーの行動によって敵が攻めてくる」要素と「敵を倒してリソースを得る」要素を実装します。
これが揃うことで、以下のようなプレイヤーが遊び続ける流れが出来上がります。
1. 敵に備えて基地の設備を強化する
2. 設備強化などの行動をしていると敵が攻めてくる
3. 敵を倒して、行動に必要なリソースを得る。
4. 1に戻って設備強化や掘削をしてゲームを進める
エネルギー変換の仕組みを流用して掘削を行う機能を追加しました。
そして敵が攻めてくるタイミングが5〜10回の行動のうちランダムで決まるように調整し、前日はこの通知までだったところをちゃんと戦闘画面に移動するようにしています!
戦闘はひとまず確定勝利あつかいということで、必ずエネルギーを獲得できるようになっています。こうして戦闘画面からメイン画面に戻り、戦闘結果も反映されます。ひとまずこれでゲームのメインサイクルが触れるようになりました。
想定から漏れていたもの
ここまで実装をして、とある事に気づきました。
それはエネルギーが0のときに行動することができず、詰んでしまうこと。
急遽エネルギー消費なしでターンを進める機能を実装しました……。
配置場所は悩んだ末、文脈を考慮してメイン画面に追加しています。
その意図としては、
・エネルギー消費は掘削と基地設備の両方で使用するため、はたらくダイアログの中だと深すぎる。
・エネルギーが0の状態を認識している場合でもはたらくダイアログを開かないと休めないのは手間がかかる。
基地設備強化の行動をとった結果エネルギーが尽きた(足りなくなった)場合の方が多そうなので、ダイアログの中に入れる方が実際には便利かなーとも思いましたが、ひとまず上記理由からメイン画面に設置しました。
ボタンのレイアウトとしては「きろくをみる」の優先度を下げて、「はたらく⇔やすむ」の構図になるように調整。ただし「やすむ」機能が必要になる頻度などをみつつ随時検討していく必要がありそうです。
また、「やすむ」自体に何かゲーム体験の向上に繋がる余地を試してみようという気になり、ここでは状況に応じたAIの台詞が流れるようにする予定です。
「やすむ」を行った場合は必ず敵との戦闘が発生し、エネルギーを獲得する流れへ向かうようにしています。
1週間のまとめ
当初の予定では8月23日(日)までに以下の要素を実装するつもりでした。
・ゲームに必要な画面を用意して、それらを繋ぐシーケンスを作る
・リソース管理のシステム作成
→リソースを消費して掘削を行う
→リソースを消費して設備の増加を行う
・プレイ中に敵が攻めてくるシステムを作る
・敵を倒すことでリソースを獲得できるようにする
はい、一応ひと通り入っています。
自分の作業ペースやコストを見積もるつもりで意図的に作業項目を多くしていたのですが、案外なんとかなってしまいました。
ただ僕のスキルというより、Unityというツール自体が楽にゲームを作れるようにしてくれている印象です。
今週の作業でゲームサイクルの仕組みが構築できたので、次週からは遊びとして深みを出す部分の仕組みを進めていきたいと思います。
8月30日までを区切りに以下の作業を進めます。
・バトルシステムの構築
・掘削した結果をビジュアル化する
項目数は少ないのですが、どちらもゲームの手触りに直結する部分ですのでちゃんと考えて面白いものを実装する必要があります。
ただしこれらが実装できれば、シナリオ以外の遊びのシステム部分がほぼ完成した状態になります。
頑張っていこうと思います。これからも完成までの間、開発中に得られた知見などを随時noteにてまとめますので、お付き合いいただければ幸いです。
このつづきが気になる方はこちら!
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