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リモートドラマ Livingについて思うこと

こんにちは、しよしなです。

初めての記事、ドキドキしながら書いてます。
何について書こうかな…と考えていたとき、ふとあるドラマがやっていました。

それが…

「リモートドラマ Living」

リモートドラマの新たな可能性に挑戦した坂元裕二さんの新作ファンタジードラマ。
2週にわたり4家族の物語を、実際に家族として日常を共にする豪華キャストが演じています。

https://www.google.co.jp/amp/s/www.nhk.jp/p/ts/L155MXM7LN/

坂元裕二さんと言えば、私の中ではドラマ「カルテット」が印象的でした。

5/30放送の1.2話において、特に気になったのが2話目の「国境」です。
出演は永山瑛太さん・永山絢斗さんの兄弟で以下が概要です。

2話 国境
「過去にはやった料理」を作ることが生業の仲良し兄弟のもとに、ある一通の手紙が届く。その手紙は衝撃の事実を伝える内容で…

ここから先はネタバレと私個人の感想になるので、まだ見てない方はスクロールをオススメしません!
再放送もあるようなので、気になる方は是非ご覧ください。



以下、ネタバレ。



令和の次の時代のお話。
物語はハクとライの兄弟によるキッチンでの会話を中心に展開されます。


お互いのエプロンを結びながら仲睦まじい兄弟の会話でドラマは始まる。

ここで最初の違和感。
会話の中でお互いのことを「あんた」と呼び合う。

ん?あんた…ひっかかりはするがそのまま話は続く。

どうやら二人は住んでいるところの管理人さんのことが好きな模様。
でも、二人ともライバルというよりはお互いの好きを尊重しておりギスギスした感じはない。
お互いに今日会った管理人さんの髪型や服装の話をしている。

キッチンにいる理由は、昔の時代の食べ物を作るという労働をしているようだ。
今回はコロッケを作るようだが、昭和の時代の食べ物として紹介されていた。

また、物語の時代では「とりあえず」「怒る」「悲しい」といった言葉は、"今は使わない言葉"らしい。

終始、仲良く明るく話す2人だがマイナスな言葉は禁止された世界なのだろうか…?

兄「ちゃんとできるかな」

弟「だめだよ。どうせ誰が何やったって最後は失敗しますの気持ちでやらないと」

兄「うちの学校の道徳の教科書には、どうせ失敗するんだからあきらめなさい。だったよ」

弟「教科書によって違うんだよ」

道徳だから小学生くらいの話だろうか。
小学校なら普通は兄弟同じ所に通うのでは…とまた疑問が浮かぶ。

管理人さんの話で盛り上がっていると、ふと弟が冷蔵庫に貼られている紙に気付く。

弟「あっ、これ来た?」

兄「うん」

弟「うちも来た」

兄「そー」

弟「そうかー、こないだ休みになったのに、また戦争はじまるのか」

兄「戦争めんどくさいよねー」

弟「ねー、なんで戦争することになったんだろ」

兄「令和時代の頃にインターネットっていうのがあって、匿名アカウントっていうのがあったらしいんだけど、ある日世界中の匿名アカウントで書いた言葉がなんかのミスで全部本名アカウントになった。で、戦争になった」

弟「へー、なんか難しい理由だね」

兄「ね。そん時からいろんな国境ができたんだって。まぁ俺たちなんかよりずっと頭のいい方たちとかがはじめたことなんだと思うよ」

弟「そうだよね。偉い人たちがやるって決めたことだもんね」

兄「うん。あんた紙何色だったの?」

弟「アプリコットオレンジ」

兄「そうかーアプリコットオレンジか」

弟「あんたのペパーミントグリーンだね」

兄「うん、そう、俺はペパーミントグリーンだね」

弟「兄弟でも国が違うもんなー」

兄「もともと同じだったのにな、後から国境ができて別々なったから」

弟「うん」

どうやらこの時代では国境が今より細分化されていて戦争が当たり前の様である。
戦争に招集されているのに、偉い人が決めたことだからとどこか他人事のように2人が話していたのが印象的だ。
また戦争が始まったの理由が匿名アカウントが本名アカウントになってしまったから。
今まさに世の中で起こっていることとリンクしていて驚いた。
さらに兄弟で別の国にいるようで、紙の色が違う。紙の色がアプリコットオレンジとペパーミントグリーンというチョイスに何か理由はあるのだろうか…?

兄「もし俺たち戦争のところで会ったらどうする?」

弟「会わなくないか、戦争のところだいぶ広いし」

兄「会わないか」

弟「あー、でももし…もしかしたら」

兄「かもしれないでしょ」

弟「かもしれないけど」

兄「会ったらどうする?」

弟「どうするって?」

兄「あんた、俺をうつ?」

弟「…」

兄「なんでもない、えーっと…」


急にシリアスな展開となった。
カメラワークもリモートながら、兄や弟目線での画角で緊張感が伝わる。
この後、弟の昔話が続く。

どうやら弟は5歳の時、兄から欲しかった石をあげるから川で溺れちゃった子と一緒に遊んでたと言って欲しいと頼まれ、そのせいで他所に預けられたようだ。

弟は欲しかった石を今でも持っていた。

他所に預けられたのに、兄にその石を見せながら、「ありがとう、これくれて」というのである。

兄は後めたいであろう…
この後弟に「うつの?」と聞く。
兄はうつ理由を話されていると思ったと。
でも弟は「うたないよ」「ただの思い出だよ、いま思い出しただけ」と言う。

その後、弟からの「あんたはうつ?」の質問。
兄の思い出話がはじまる。
昔、兄が女の人と住んでいた時に弟が傘を忘れた。
届けに行こうとしてくれた彼女は雨で濡れた階段で滑ってしまう。
300円の傘だから…と言うも、優しい子だったから…

その話に対して弟は「うつの?」「なんでその話するの?」と聞く。

それに対し兄は「わかりませんっ」と食い気味に話す。

弟「2人ともうつかもしれないね」

兄「そだねー」

弟「しょうがないか」

兄「どうせどう何やったって最後は失敗するんだから」

弟「どうせ失敗するんだから、はじめから諦めない」

またこのフレーズである。
でも、あくまで話は軽快に進んでいる。

管理人さんの鳴らし方のチャイムに心躍る2人。
2人で行こうという弟に対し、1人で行ってこいという兄。
「もうすぐ会えなくなるんだから」と。

帰ってきた弟に兄は「好きだって言った?」と聞くも、管理人さんは1人ではなかったらしい。
弟は「次あったらおめでとうございますって言わなきゃダメだよ」と兄に諭す。

そして揚がったコロッケを2人で美味しそうに頬張りながら、どんぐりの下記のセリフで物語が終わる。
「もうお分かりのはずです、人類はこの世の嫌われ者だってことに」


ざっと文章に起こしてみると改めて結構重たい内容を話してるという印象でした。
それが2人の軽やかな演技でさも当たり前に進んでいくのです。

ここから気になった部分の個人的な見解を書き進めていきたいと思います。


(あくまで個人的な感想・意見ですので悪しからず!)


【「あんた」という呼び方】

これは令和時代に匿名アカから本名アカへの手違いで戦争に発展したことから、"本名"というところに過剰に敏感になっている世の中なのかなと思いました。

はじめは名前さえ無くなってしまった世の中かと思いましたが、2人にハクとライという名前があるため、家族でも名前を気安く呼べない環境、名前が今の日本で言うマイナンバー的な他人の前で言うような内容では無いということではないでしょうか。


【「怒る」「悲しい」などの言葉を使わない世界】

これも先ほどの戦争をきっかけに使わなくなったのかもしれません。
というのも、匿名アカで書かれたものが本名アカで書かれると良くないもの…となると、もちろんマイナスな言葉が書かれていると想像できます。

そのような戦争の種を排除するためにマイナスな言葉は使わない、教えられない時代になったのではないでしょうか。

【国境と色紙】

2人は国境が違う場所に住んでおり、戦争の招集であろう紙の色が違います。
この紙について"アプリコットオレンジ"と"ペパーミントグリーン"と言っているのです。
あえて"オレンジ""グリーン"と言わないのは、一般的な色の言い回しだけでは足りないほど国が細分化されていることを意味していると考えました。

弟は5歳の時に他所に預けられたと言ってますが、今会えている環境を考えるとそう遠くではないはず…
そう考えると、いまで言う"市"や"丁目"単位ほど細かく国境が分かれているのではないでしょうか。


【この世界の戦争とは】

この時代の戦争は2人の会話によると、こないだ休みになったのにまた始まるもの、そして"めんどくさい"ものです。

私たちの想像する戦争は"死"を想像しますが、2人の会話からはそれは感じられず、"ちょっと仕事呼ばれたから行ってくる"くらいの雰囲気でした。

戦地についても「戦争のところ」とどこか自分の今いる場所というよりは別の場所を指しているような言い方であり、国を後から分けたので兄弟近くにいれば戦争のところで会ってしまいそうですが、「広いから会わないよ」と言っているのです。

また、互いに「うつの?」と聞いていることに関して、普通に想像すると銃などで撃つを連想しますが、会話からはそれが感じ取れません。
なので"うつ"と言うのも別の何かを示しているのではないかと思い、あえて表記をずっとひらがなで書かせてもらいました。

これらから、この時代の戦争は自分の体でするものではなく、バーチャル世界やインターネットに続く新しい媒体を介しての戦いなのではないかと思います。
"うつ"も、
・バーチャル世界で相手のアバターを"撃つ"
・キーボードなどで相手に辛辣な言葉を"打つ"
など本当に人間を"撃つ"ことではない他の何かを色々と想像しました。

答えはわかりませんが、少なからず"死"は無い、新しい戦争の仕方なのではないでしょうか。


【2人の思い出話】

"うつ"の話になると、2人とも思い出話をしました。

お互い今思い出しただけと言ってますが、弟は石を肌身離さず持っていることから、少なからずパッとその場で出てきた思い出では無いとわかります。

その後2人ともうつかもしれないね、と話していたことから、兄弟という身近な関係であっても戦争のところで会ったら何か過去の良くない思い出などを理由にやり合うしかないのかもしれません。

そしてそれが現実世界でうち合わないからこそ、会話にでてくるのではないでしょうか。


【繰り返し出てきた言葉】

「頭のいい人たち」「偉い人」
偉い人たちによって決められたことは当たり前という内容で会話に出てきていました。
それが正しいことか、正しくないことかは判断しない、またはできない教育になっているのでしょうか。

「どうせ誰が何やったって最後は失敗しますの気持ち」「どうせ失敗するんだからあきらめなさい」
2つの言葉は内容に多少違いがあれど、これらの言葉が学校の道徳の授業で教えられているのです。

1つ前で偉い人の言葉は正しいという解釈のように、"どうせ"という言葉は深く考えることをしないよう教育しているように感じます。


ここまで、観ていて気になった箇所の見解を書き連ねました。


これらをまとめてこの時代を想像すると、

・本名アカウント公開による戦争でアカウント同士の細かい思想によって国が細分化され国境ができる

→道徳の教科書の細かい違い等

・名前公開による戦争の失敗から他者を名前で呼ばない時代

→あんた、管理人さん、偉い人…など

・名前だけでなく他者との交流(男女交際等)が限られている時代

→管理人さんを家に招くことで興奮している
→管理人さんがブラウスを着ているのを直視できない→管理人さんが2人だったから、おめでとうを言う
(男女が2人でいる=結婚という認識?)

・戦争はめんどくさいが偉い人が決めたことは当たり前の時代

→反論するような言葉・思想が教育から排除

・SNSは規制され、インターネットのような媒体が一般的には使われず、戦争の時の道具(戦争のところ)として使われる時代

→コロッケのレシピはネットで調べるのではなくノートを読んでいた

・細分化された国の中で人々の情報が全て管理されている時代

→管理人さんは住んでいるところの管理でなく、国境・国中の人々の管理している人のことではないか
→チャイムの鳴らし方でわかるほど訪ねてくる
(人々の暮らしを監視している役割?)


想像しただけで怖い世界です。
そして、本名アカウント公開から始まる戦争もあり得ない話ではない、と思いゾッとしました。

ここまで時代に沿って、このままだとこういう世界になってしまうと言わんばかりの脚本を書いている坂元さんは改めてすごい、と思ってしまいました。

最後に余談ですが、管理人さんについて髪の毛を結んでいた、ほどいていたという会話がありましたが、管理人さんの相手(おめでとうという表現があったので婚約者でしょうか)に会いにいく前後で、身支度を整えているか否かで髪の毛が変わっているのではないかと思いました。
細かいところまで会話だけで表現がされていて、想像したときハッとしてしまいました。


ここまで長く書かしていただきましたが、このドラマを見たとき良い意味でゾワっとした気持ちは忘れません。

このドラマの時代について、勝手な想像は膨らむばかりでまだまだ書きたいことがあったのですが、書いてるうちに忘れてしまうことも…
思い出したら追記していきたいと思います!

見落としているところ、見当違いも多々あると思いますが、私自身が楽しんで観させて頂いたことだけは伝わればと思います。
そして、この番組を観ていた方の考えもぜひ知りたいです!


15分でここまで想像させてくれたリモートドラマ!
来週の3.4話も楽しみに待ちたいと思います。

ここまで読んで下さりありがとうございました!

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