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貴綱 みか
2021年8月21日 07:42
いつもと少しちがう道を通って近くの商店街まで行く途中ある細道のところに差し掛かった時によろよろと歩くようになった今は亡き父が、転んだりしないか心配で見つからないように、こっそりと後ろから父を見守りながら歩いた道だったことを思い出した父の足腰が段々と衰えてきて歩くスピードもゆっくりになりはたから見てもハラハラするくらいよろよろしながら歩いたり自転車にも乗っていた時期で
2020年12月8日 08:04
「あ、お蕎麦屋さんが来た」どこかの病室のドアがバタンと開く音が聞こえると入院中でベッドに寝ている父が言った父の病室にお蕎麦屋さんが来るわけがないが父はお腹が空いてたのかなと思いながら認知症の思考回路には逆らわず私は、「あ、そう」と相槌をうった誤嚥性肺炎で入院したこの病院ではナースステーションで職員の方が父と一緒に食事をしてくれたり温かく接してくれたおかげで父はとても穏やか
2020年12月7日 22:29
父が布団から起きられず立てなくなってしまったのは横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)という聞きなれない名前の病気のせいだった生まれて初めて聞いたこの珍しい病名を私は忘れないように繰り返し唱えて記憶にしっかり留めた父が立ち上がれなくなり救急車で救急病院に運ばれ当番の先生はこの病気について色々説明をしてくれたそして入院が必要との事だったので先生に父の認知症状につ
2020年12月7日 11:48
朝、自室で目を覚ますと部屋中が煙だらけで真っ白になっていた!火事だろうか!?何が起こったかわからないがとにかくただ事ではない!慌てて飛び起きて1階まで階段を降りていくと自分の部屋よりもさらに真っ白の密度が濃い煙と焦げた臭いのキッチンの中父が「火事だ、火事だ」と呟きながら箒で床を掃いていたキッチンのシンクには焦げた炊飯器が放り込まれているどうやら炊飯器をガ
2020年12月6日 08:00
温めたミルクをマグカップに注ぎ椅子に座っている父が差し出した両手の上に置いて私が手を離すとちゃんと支えることができずにミルクがこぼれてしまった父は眠たかったのかそれとももうマグカップを受けとる力さえ残っていなかったのかお腹の調子を気にしてか父は自分でミルクをあたためてよく飲んでいたのでその日の父は寒かったのかたくさん上着を着込んでぼんやりと椅子に座っていたので
2020年12月5日 20:25
父が往診で処方された自分と母の薬を決められた量よりも多く服用しようとしていたので私がそんなにたくさん飲んだら駄目だよと言うとたくさん残ってるしたまには沢山のんだ方が体にもいいんだと父が答えて割と従順に父に従うことの多かった母もそれに続いてそうそうたまには沢山のんだ方がいいと同調する父が自分と母の食後に飲む薬を一人分ずつ小皿に全部出して置いておくいつもの
2020年12月5日 07:56
2週間に一度の診察で処方してもらう父と母の薬母は介護中のため父が薬局に寄って薬をもらってきたはずなのに薬の入った袋がどこにも見当たらないもらってきてここに置いておいたのにない、ない、と父が不機嫌に騒ぎ立てるので私も一緒になって探すがどこにも見あたらず挙句の果てには私がなくしたと言い始めたのでもしかしてもらい忘れかと薬局に問い合わせても出したと言わ
2020年12月3日 08:04
足腰が弱って歩幅が狭くなり床からあまり足をあげずすり足のようによちよちと歩くようになった父を私は心の中で「よちよち君」と呼んでいた。歩幅の目安は「身長×0.45」らしいが身長の180センチほどの父のその頃の一歩は5センチもなかったようにも感じたしかしトイレに行く時だけはギリギリな状態の時が多く必死な顔をしていつもより力強く速めに足を運んでいたが間に合わない