見出し画像

おしゃれ魂は死なない

私はファッションが好きだった。
中学生の時にはnon-noを購読し、服をリメイクしたり、簡単なスカートを作ってみたり、原宿や下北に繰り出して古着を漁るのが大好きだった。
高校を卒業してからはファッションの専門学校に行った。

しかしそこで、私はファッション業界でやっていける自信は無くなった。物を作るのは好きだけれども、ファッションでなくてもいいや、と思ってしまったのだ。

結局ファッションとは関係のない仕事につき、それでもやっぱり着飾ることは好きで、お気に入りの服やアクセサリーを見にまとって外に出ると気分も上がり、堂々と振る舞えたものだった。

なので私自身、ファッションが好きなんだ、と長らく思っていた。

しかし、スウェーデンの田舎に住んでからというもの、服に気を使うのはちょっと遠出のお出かけの時だけ。なので1ヶ月に一度ほどかもしれない。
新しい服を買うことはめっきり減った。素敵な服に出会っても、どうせ着て行くとこないしな、、と諦めることが多くなった。

この町の人々は鮮やかな色の服を着る人はほとんど見当たらない。老いも若きもみなモノトーンばかりだ。目立つ色の服を着ているのは作業着の人たちだけ。
そんな感じなので、私もなるべく馴染むようにモノトーンばかりを着てしまっていた。

でも別に、本当は何を着たって構わないんだよなぁ。たとえ自分の服を見るのが馬や牛だけだったとしても、通りすがりの人に奇妙な目で見られたとしても。本当のオシャレ好きなら、そうしているのかな〜とふと思った。

私は所詮、周りの視線を気にして見た目に気を遣っていたに過ぎなかったのか。スタイリッシュに見られたくて、舐められたくなくて。
でも、でも、さらに思う。
着飾ることで、自分は自信を持つことができたよな。それは悪いことじゃないよな。

いまいちこの国で堂々と振る舞えないのは、そのせいもあるかもしれない。
自分の好きな服を、着た方がいいよね。

そう思い直してから、少しずつ、好きな色、好きなスタイルを取り戻しつつある。やっぱり少し自信も出てきたかも。

さすがに何でもない平日にリゾート感満載のワンピースは着たりはしないけど、失いかけていた情熱が少し戻ってきた。服を決めてアクセサリーを選ぶ、髪型やネイルを考える喜びは、忘れることはないんだなぁ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?