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悪魔の子【毒親・第8話】

「あれ?写真みた?」

そう言いながら母は、愛人と一緒に写っている写真を持って小走りにやってきた。



今度こそ包丁で刺されるだろう

きっと物凄く痛くて苦しいんだろうなぁ

こんな事で死にたくないよ

だから死にたくなかったら、母をバットで殺すしかないんだ

そしてその後、ニュースに出るんだ

小学2年生の男子児童が、金属バットで母親を殺害

きっと全世界の人達が、僕の事を「悪魔の子」っていうだろう

そんな恐ろしい人間になるために、僕は生まれたのだろうか



金属バットを握りしめようとしたその瞬間、

母は笑みを浮かべながら言った。




「この人がな、これからはお金の事は心配するなって言ってくれてん。」

「家に帰らへん時は、この人のところに泊まってるから。」

「お金は沢山置いていくから、食べ物とか服とか自分で買ってな。」

「電気とか水道はお母さんが払うから。あとガスは危ないから使ったらアカンで。」




それから、母はしばらく考えてこう言った。


「でもな、そのためには志郎に守ってほしいことがあるねん。」

「学校の先生にお母さんの事聞かれたら、仕事が忙しいみたいやからお母さんに直接電話してくださいって言うねんで。」

「あと、家に沢山お金を置いていくんやから、泥棒に入られたら困るやろ。だから家に出入りするときには廊下に知らん人がおらへんか確認して、誰もおらへんでも、いってきます と ただいま は言うねんで。」

「わかった?」


僕は何度も何度もうなずいた。

何度もうなずきながら、ただただ母を殺さずに済んだ…

「悪魔の子」にならなくて済んだ…

そう思うと涙がボロボロ出てきて止まらなくなった。



そして、母の言いつけを絶対に守る事と誓った。

「人間の子」でいるために…

















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