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この春北海道に誕生した「宿題はない、成績表もない、先生もいない学校」とは?              【インタビュー】            細田孝哉(まおい学びのさと小学校学園長・61才) 「コドモもオトナもわくわくする学校を作りたい」

北海道北広島市東部に隣接する長沼町、というところにこの2023年春、新しい学校(私立小学校)が開校した。コンセプトは「宿題はない、成績表もない、先生もいない学校」。一体どのようにして生徒たちは学ぶのか、そして学校設立までのプロセスはどのようなものだったのか?

まおいまなびのさと学園(小学校)学園長へのインタビューをこれまでの軌跡とともにインタビューを行った。(第1回)

(とても斬新なコンセプトですね、テストも宿題もなく、先生もいない、どのように子供達は学ぶのでしょうか?)

-      まおい学びのさと学園が目指すのは「子供を主人公とした教育」です、これは「子どもが主体の体験学習」と言いかえることもできるでしょう。教師は「先生」ではなく、愛称で呼ばれ、生徒のサポート役に徹します。授業の半分をしめる「プロジェクト」の内容は子供達が自ら考え、行動します。

まおい学びのさと小学校では、初年度の2023年は1年生から4年生でスタートしていますが、プロジェクトでは、全学年縦割りの体験学習となります。体験学習とはたとえば農業、工作など面白そうなテーマを子供達自らが考え、学校を飛び出して専門家に教わりにいきます。

専門家とは、地域の農家さん、食堂、大学の先生などさまざまであり、その過程で、国語、算数などを横断的に学ぶことができます。もちろんその過程で大人たち(教員)は、子供達をサポートしていきます。ただ、基本的にプロジェクトの内容、進め方など全て子供達が主体的に取り組んでいくのです。

(非常にユニークですね、このような日本で行われている標準的な教育とは大きく異なる、’体験型学習’は例えば北欧の国々では、すでに行われている、と聞いたことがあります。ただ、このような学習方法で果たして日本でのちのち大学受験などに対応することができるようになるのか、という疑問を持ってしまうのですが?)

-確かに学校開校までの説明会では、親御さんからは「子供たちは卒業後、普通に進学できるのか」というご質問を多くいただきました。このようにご心配されるのは最もだと思います。

従来の学校でテストや宿題、塾にまで通って偏差値をあげてきた子供と高校や大学の入試で勝負できるのか、ということですね。この点は実は、非常に興味深いデータがあります。

従来型の学校へ通った子供と、まおい学びのさと学園がモデルとしている私立きのくに子供の村学園(和歌山県橋本市)、南アルプス子供の村小中学校(山梨県南アルプス市)のような体験学習を主体とする学校で育った卒業生の学力をテストしたところ、従来型の教育を経てきた子供達と学力においてほとんど遜色がなく、むしろ全体的に学力テストなどにおいて体験型学習を経た生徒の成績が従来型の教育(日本の普通の公立小学校)を受けた生徒の成績を上回った、という結果も出ています。

現実たとえば、「きのくに子供の村学園」などの体験型学習を主体とする学校の卒業生の多くは有名大学に進学しているのです。

(インタビュー第2回へ続く)



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