映画「ウインド・リバー」感想文

昨日より好きな映画「レヴェナント」のイメージが浮かび
また観よう、と考えていた
何度も繰り返し観ている、
アメリカ先住民の問題も扱う作品。

あらたに、
偶然に見つけた映画「ウインド・リバー」を鑑賞した。
内容は全く知らずに観た。

アメリカ先住民居留地の問題にインスパイアされた監督が
現地の方と交流・リサーチし制作された。

歴史的背景から、先住民居留地では
教育、医療、社会的資源の乏しさ・社会の無関心などにより
差別、貧困、犯罪、依存症などあらゆる問題が負の連鎖を起こしている。

このような状況で脆弱な立場に置かれた先住民女性達は、性被害や殺人、失踪が判明した場合も適切な捜査が行われることはまれであり、
多くの事件は未解決のまま、とのこと。

(居留地における司法権の分散と法的な複雑さが、
犯罪に対する捜査や起訴を難しくしている。
居留地での犯罪は、部族警察・州警察・連邦政府などの間で司法権が分散しており、どの機関が捜査するべきかが明確でない。)

※また、部族裁判所が非先住民に対して裁判権を持たず、
非先住民の加害者は居留地で犯罪を犯しても
逃げ切ることが容易であることなども影響する。


このため、多くのレイプ・犯罪事件が適切に捜査されず、
犯人が逮捕されないまま放置されることが多い。

監督は他の作品でも暴力を取り扱い
「正義や法の機能しない場での弱者と、その苦しみ」を
共通して描いている方のよう。

性被害を受け、山雪のなかを逃げまわり
寒気で肺の中が凍りつく
肺胞が破裂し自身の血で窒息する女性
生き延びたくて堪らなかった明日を思う

わたしは勉強する
学びたくて堪らなかった明日


登場人物はみな「傷」「痛み」「苦しみ」を抱えるという
共通点が見受けられた。
作中では語られなかったが、女性捜査官も
おなじ傷を動機に動いているのかと考えた。
どんな立場であっても、
その動機で明日へと生きる人たちのエネルギーを感じた。


きっとどんなことがあっても、
人間が人間を殺めてはいけないのだろうな。
冒頭の映画「レヴェナント」と
共通点を感じた映画だった。

傷と生きることは孤独だけど、
わたしたちは繋がっているのだ。

ぜんぜん関係ないけれど
「将軍」エミー賞受賞、おめでとうございます!

「この賞を、何も期待せず(見返りを求めず)、
これからも皆のお手本であり続けるすべての女性たちへ。」
沢井アンナさん


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