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木造構造設計のお約束

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木構造の特殊なルールを、気がついた順に書き連ねていきます。
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#木造

不整形の建物が多いからこそ、木造は構造計算すべき

不整形の建物が多いからこそ、木造は構造計算すべき

 私は、木造住宅は必ずしも構造計算は必要ないと思っています。しかし近年、複雑な建物が増えてきて、壁量計算では安全を確保できないケースも増えています。そこで上記の動画を作りました。

 プレカットの普及に伴い、技術がそれほどなくても上棟は可能になり、設計事務所や、施工会社の手間も減りました。しかし良いことばかりではありません。プレカットの仕口だと、柱は短ほぞで抜けやすいし、複雑な仕口もできません。基

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構造設計者が木造壁量計算の基準を暗記していない5つの理由

構造設計者が木造壁量計算の基準を暗記していない5つの理由

構造設計者と話していると、壁量計算知らない、という方が意外と多くいます。まあどんなものかは知っていても、方法を知らないとか、やったことがないとか。そんなのけしからん!という人がいるかもしれません。ここで構造設計者が木造壁量計算を知らない5つの理由を考えてみたいと思います。

その1 そもそも木造はやらない

 これが多いですね。そもそも構造設計者は、大きめな建物の構造計算・構造設計するのが主流でし

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木造構造計算を学ぶ前に読むべき3冊

木造構造計算を学ぶ前に読むべき3冊

よく、木造構造計算を学ぶにはどうしたらいいか?と聞かれますが、よくよく聞いてみると、木造自体をよくわかっていない人が多いのに気がつきます。なので、木造構造計算を学ぶ前に読むべき本を3冊紹介します。

安全な構造の伏図の描き方(エクスナレッジ)

 伏図が描けない、読めない方が多くいらっしゃいます。正直それで構造力学や計算を学んでも無意味かと。まずは正しい伏図の描き方、読み方をこの本でマスターしまし

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個性的な危ない壁量計算 5つの事例

個性的な危ない壁量計算 5つの事例

 私はいろんな方の壁量計算を見て来ています。建築基準法は「最低の基準」を定めているのだから、最低限壁量計算を行っていればその基準はクリアしているはずなのですが、中には個性的なもの、あぶないなと思う物があります。

その1 壁量計算の基準のギリギリに合わせて設計してくる物

 まさに芸術的に、基準に合わせてきています。まあそんなところに神経使わなくてもいいと思いますが。そのために配置などが結構アンバ

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それでも通し柱が強いという方へ

それでも通し柱が強いという方へ

木造の構造設計をやっていると、「通し柱は必ずいれてください」とか「通し柱があるから地震に安心ですよね?」と聞かれることが多いです。伝統的構法などの太い通し柱でも無い限り、通し柱の有無は耐震性にあまり影響を与えません。地震に強いと言われているツーバイフォー工法も、通し柱はありません(耐風性をアップするために通したて枠をつかうことはある)。少なくとも普通の個人住宅レベルでは、通し柱を入れたら耐震性が大

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プレカット図よりも構造計算すると梁サイズが大きくなるのはナゼ?

プレカット図よりも構造計算すると梁サイズが大きくなるのはナゼ?

木造2階建ては、基本的に構造計算していません。本来なら設計者(=建築士)が伏図まで書いて設計するのが筋なのですが、現在はプレカットという便利なものがあって、間取り等を送ると伏図を作ってくれます。

悪しき風習で若手建築士のなかでは、伏図が書けないどころかチェックもできない方もいます。分業とはいうものの悲しいものです。

さて、我々もプレカットを先に出して貰うことは多いのですが、その図面に書かれてい

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木造構造設計のお約束 その3

木造構造設計のお約束 その3

 一般の方や意匠設計の方からすると、柱が太いと建物が頑丈になると思っているでしょう。もちろんこれは正しいと言えば正しいです。しかし間違っているといえば間違っています。

 というのは、木造構造計算(住宅)では、柱の太さで耐震性が決まることはほとんどないからです。上階の耐力壁が強すぎて、下階がもたず柱を太くする必要があることはあるのですが、建物を強くするために柱を太くする、ということは、実務ではほぼ

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木造構造設計のお約束 その1

木造構造設計のお約束 その1

 木造を専門にやっている方なら当たり前のルールも、それ以外からみれば、「何それ??」です。特に法令にもないルールがいっぱいあります。施工上の問題から慣習上の問題、そして通達などのルールなど・・・。

 まず筋かいは900㎜以上の幅が必要です。890㎜も不可です。浴室の入口などで900取れそうで取れない部分などありますので注意が必要です。入隅があるサッシの逆側も詰めなければならないことがあり、以外と

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