見出し画像

構造設計者が木造壁量計算の基準を暗記していない5つの理由

構造設計者と話していると、壁量計算知らない、という方が意外と多くいます。まあどんなものかは知っていても、方法を知らないとか、やったことがないとか。そんなのけしからん!という人がいるかもしれません。ここで構造設計者が木造壁量計算を知らない5つの理由を考えてみたいと思います。

その1 そもそも木造はやらない

 これが多いですね。そもそも構造設計者は、大きめな建物の構造計算・構造設計するのが主流でした。木造の構造計算は1990年代から増えたとはいえ、木造3階建て限定で、kizukuriなどを駆使した木造専門の構造設計者が行うのが普通でした。構造設計者は、得意分野があり、通常はRC造がメインであり、そこに他の構造ができるかどうか?というレベルでした。なので木造に限らず鉄骨造ができない構造設計者もいます。

その2 木3専門だったので壁量計算は知らない

 木造の許容応力度等計算でも、壁量計算は除外されていませんが、通常構造計算ソフトで自動的に計算され、特に気にする必要がないです。そのためkizukuriやHOUSE-ST1を使っている構造屋さんで壁量計算を意識する人はマレでした。なので手計算などで壁量計算を行ったこともなく、結果知らない、という人が多いです。別にできなくても構造計算ソフトの計算の過程で自動的に出てしまいますから。

その3 構造計算とは思ってはいない

 構造設計者は、高度な構造計算を行っているため、壁量計算は意匠設計者が行う簡易なもの、と思っている節があります。そのため壁量計算を業務外と思っています。そのためやらない・・・という感じになります。また信頼性が低いことを知っているので、あえてやらないという側面も強いです。

その4 木造の壁量計算ソフトを持っていない

 これも多いと思います。その3と同様に業務外なのでソフトを持っていない、だからやらない、という感じになります。

その5 金額的に割に合わない

 構造設計は、一件当たりの単価がそれなりに高く、非常に安価に行われている壁量計算は個別の注文では割に合いません。そのため敬遠されているところがあります。そもそも意匠設計者が自分でやるものなので、外注しているところも少なく、量的にも望めません。

 だいたいそんな感じでした。木造の構造計算ですら、他の構造に比べて安価で、大量にこなさなければ採算が合わないと言われています。それよりも安価で信頼性が高くない壁量計算に構造設計者が興味を示さないのも当然というべきか・・・

 実は、壁量計算の一番のメリットは、簡単に誰でもできることではなく、意匠設計者が、自分で確認できるところだと思います。そのためプランを変えても即時に自分でチェックできるのは、プランを考える上で非常に重要なことだと思います。その点では、木造住宅全部を、構造計算義務化はあまり進めて欲しくないところです。

サポートしてくださると嬉しいです。 部分的に気に入ってくださったら、気軽にシェアかコメントをお願いします♪