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おすすめの本ありますか?ー心理編ー

臨床心理士/公認心理師として精神科で勤務しながら、夜な夜なSNS 界隈で漫画家活動やLIVE配信などをしております。白目みさえと申します。活動内容などはこちらでご覧くださいませ。


よくご質問いただきますので、こちらにまとめておきたいと思います。

でも私もあまり積極的にたくさん本を読んでいるわけではなくて。
以前こんなツイートもリツイートさせていただいたんですが…

その時々で必要そうな本を買うって感じなので、その時の私には役に立ったし必要だったけれど、「これ読んでおけばいいよ!」って本はよくわかりません。
その人が何を求めてどんな本を探しているのかわからないし…。

ただ「自分的にこんなことに困った時にこれ読んだよ!」というのをいくつか紹介しておきますのでよろしければご参考に。

質問をいただいたものをベースに作成しているので、他にも「こんな本が知りたい」というのがあればまたご紹介させていただきます。

■発達障害について基礎から学びたい

「セラピストのための子どもの発達ガイドブック」

こちらは0歳〜12歳までの「定型発達の基礎」が丁寧に説明されています。他の定型発達ではあまり触れられていない社会性や性に関する認知などについても触れられていて、満遍なく網羅されているなと思いました。

「いやいや発達障害について学びたいんだってば!」って思うかもしれませんが、「発達障害」というのは本当に千差万別で、「片付けできない=ADHD」ではありません。特徴的な特徴なんて本当に一部で、はっきりと診断がつけられないことの方が多いです。

そこで通常なら何歳でどのようになるはずのかを知っておくと、この子は他の同い年の子と比べるとここの発達が遅れている、ここは十分備わっている…と判断することができます。

発達障害へのアプローチは「問題のあるところ」を指摘することではありません。何がどう問題となっていて、どの程度年齢から遅れていて、何ができて何ができなくて、どこをどの程度どうすればいいのか…を理解し、共有することから始まります。

「問題のあるところ」はある程度知識があれば誰でも見つけられるのでね。

専門家になりたい、発達障害について学びたいのであれば、まず「定型発達」を知って、患者様や相談者様の「問題のないところ」も見られるようになることが大事かなと思います。

発達障害を描いた漫画

InstagramやTwitter、ブログなどで無料で読めるものもありますし、書籍になっているものもあります。

理屈はある程度教科書を見れば書いてあるのですが、実際に支援する、関わっていくとなるとそれだけでは不十分です。

発達障害の当事者、もしくはご家族様の気持ちを理解するためには、具体的にどんなところでどう困っていて、どんな対策が有効だったのかを知ることが必要だと思います。

もちろん相談者様に教えてもらったり実際の様子を追いながら一緒に考えていく部分も多いのですが、引き出しは多いに越したことはありません。

手記を読むのも事例を読むのもいいですが、せっかく絵でわかりやすく実際の様子を生々しく描いてくれている、そして当事者や周りの人の気持ちまでが描かれているようなエッセイがたくさんあるのですから、これに触れない手はありません。

ハッキリと発達障害とは描かれていなくても、私が勝手に「考え方が似てるなー」「この対策良さそうだなー」と思えるものが描かれているものも紹介しておきます。

面白おかしく読めるものもあるので気になるものを。
今はWeb上で読めるものも多いので、試し読みからでも良いと思います。

■うちの子はADHD(続編あり)
息子さんが「ADHD」と診断されるまでに何があったのかがとても丁寧に描かれています。お母さんの葛藤や夫婦での話し合い、そしてどう対策してどう向き合っていったか…などなど。
続編では息子くんがADHDならではの悩みに直面し、親子で一緒に乗り越えたエピソードが収録されています。

■理系くん(続編あり 子育て編も)
The理系男子の頭の中を覗き見!
主人公である理系クンがアスペルガーだ!というわけではありません。
でもこのロジカルな考え方はアスペルガーの方にも通ずるものがある!と思いました。どちらかというと文系で感情的になりやすい奥様と、その奥様がなぜ怒っているのかを理路整然と説明して欲しい理系くん。
考え方の違うふたりによくある揉め事や、どう対策していったのかについて描かれています。
続編では結婚編、子育て編と、理系くんが奮闘しながら向き合っている様子も。楽しく読める作品です。

■旦那さんはアスペルガー(続編あり)
とても優しくていつも丁寧で冷静。だから結婚したけれど、なんだかちょっとずつ「彼はずれている?」と思う場面が増えてきた。もしかして旦那さんはアスペルガーというやつでは?
続編では発達障害者の配偶者に共通して見られる「カサンドラ症候群」についてまとめた作品もあります。

■アスペル・カノジョ
こちらはアスペルガーの女性の物語。彼女がアスペルガーであると最初から明言されていたわけではありませんが、こだわりの強さや敏感なところ、そうかと思えば周りが驚くような思い切った行動に出る…そんな「予測のできない彼女」がある日突然「あなたのファンだ!」と家に訪ねてきたらどうしますか?
主人公の男性は彼女の行動や考え方に翻弄されながらも日々を共に過ごしていく中で、彼女の素直さや繊細さに惹かれていきます。

■なおりはしないが、マシになる
まずタイトルに惹かれて購入しました。発達障害でも精神障害でも。「治る=綺麗さっぱりなくなる」というイメージがあるかもしれませんが、蓋を開けてみると「上手く付き合っていく方法を学ぶ」ということになります。
こちらの作者は「おそらく発達障害」ということで病院を受診されますが、もう受診するだけで幾多の苦難が待ち受けています。そしてそのほとんどは多くの人が「ちょっと頑張ったらできるやん」と思うようなことだったり。周りの人が「ちょっと頑張ったらできること」が「めっちゃ頑張らなきゃできないこと」であるというのは、発達障害の方の特徴でもあります。
表現がとにかく面白いので、普通に楽しんで読むことができますが、読み終わった後には「なるほどな…」となんとも言えない読了感。当事者だからこそ感じた「なおりはしない」「でもマシになる」と思い至った物語をお楽しみください。


他にも探したらいっぱいありますので、漫画から入ってみるのもひとつです。
専門的な知識を学ぶ本は立ち読みしてみて「読みやすそう」「網羅してそう」「わかりやすそう」と思った本を揃えることをお勧めします。
私は図や絵がある方が好きですが、それが邪魔と感じる人もいます。

本屋で立ち読みしてみて好きそうな本を見つけてそこから広げていくと良いと思います。

一応私が読んだものや持っていたものを貼っておきます。

■○○する人ってどういう人?人の心理を知りたい!

仕草や表情、行動面から「人の心理について考える」という場合は、「社会心理学」という分野かなと思います。

ただ私の個人的な感想ですが、社会心理学の場合はあまり「個人」で追求しません。あくまでも「人とは社会の中、人間関係の中でこういう振る舞いをしていて…」みたいな視点の分野です。

多くの人に当てはまる人の心の動きについて研究しているので、マーケティングや戦略の際には有効な情報が多いと思います。

「あの人が私が好きかどうかを知りたい」と思った場合に、「スキンシップが多ければ脈アリ」とか「目がよく合えば彼はあなたを好きかも」とか色々サインはありますよね。

でも単にスキンシップが好きな人の場合や、目が悪いので合っていると思っていたけど全然合ってなかったという場合がありますので、あくまでも「かもしれない」「可能性が高いよ」というだけで、結局は「個人」で追求するなら本人に確かめないとわからないということになります。

例えば「髪の毛をよく触る人は欲求不満」みたいな俗説もありますが、単に自分の髪の毛がうねるのが嫌いな人もいれば、髪を触っていると落ち着く人、自信がないのでいつも整っているか気にかけている人…など「どうして髪を触るか」を「欲求不満」で片付けるにはあまりに乱暴です。

確かに「目が泳ぐ」とか「鼻を触る」とか嘘をつくサインとしてあげられることは、自分の意識外にある身体的反応なので、割と信憑性が高いと言われていますが、単にそれ以外にやましいことがある場合もあるので、一概には言えません。

本来「多くの人に当てはまること」をターゲットにしているので、あまり「個別に使える」とは思わない方がいいかもしれませんね。

ネットで調べるだけでもたくさん出てきますが、それらはあくまでも「参考」です。

■子どもの行動の意味について知りたい

私も知りたいわ(笑)とは思いますが、一応紹介しておきます。

「0歳児から5歳児 行動の意味とその対応」

「試し行動」自体は多くの子どもに見られます。大人やお友達の気をひこうとしたり、自分の欲求不満を表出したり。

どんな行動があって、どういう意味が含まれているのか。
こちらはなかなか網羅されているので、参考にしています。

「試し行動と試しではない行動を乗り越える里親」

里親さん向けの形式で書かれていますが、虐待を受けていた子に対する「試し行動」に関して考察した本です。
里親ではなくても子どもと関わる場面では子どもの行動を観察する立場であれば参考になると思います。


■身の回りにいる困った人について知りたい

どうしてあの人は意地悪を言うの?
どうしてあの人は酷いことをするの?

そう疑問を持つことはわからなくもないですが…。

理由知りたいですか?
知ってどうします?
「なあんだそういうことか☆」って許しますん?

困った人の心理を知って、こちらに影響がこないよういなす方法を知りたい、避ける方法を知りたい…というのはわかります。

でも「こうやったら上手く付き合っていける」という風に学んでいくと、その「困った人」というのはあなたに依存的になります。

自分のことを理解してくれて、自分のために行動を変えてくれて、自分の望むような振る舞いをしてくれるので…。

そして「困った人」というのは多くの場合、いろんな人に避けられたり拒否されたりしているので、「自分に関心を向けて付き合い続けていきたいと思ってくれる人」というのはとっても貴重なんですね。

こちらは親切心や優しさから、他の人に接するのと同じように接していたとしても、相手にとっては「自分のことを好きだ」「だって周りの人に比べるとこの人だけダントツに優しい!」となったりします。

なので「知ってどうしたいん?」というのは一度考えておいた方がいいと思います。
「知って」「理解して」なお付き合っていきたいと思っているのなら、場合によったら「やめた方がいいよ」と言うかもしれません。

その辺りに注意する必要はありますが、それを踏まえた上で私が「周りにいる困った人」を理解するために役立った本を置いておきます。

■その苦しみはあなたのものではない

他人の態度を気にして「自分が何か悪いのかも」と落ち込みやすい人にこそオススメの本です。「困った人」の態度に

■それあなたのトラウマちゃんのせいかも?

なんだか常に緊張している、いつも落ち着かない、穏やかな日々を望むのになんだか逆に行ってしまう…。困った人になんか寄っていきたくないのに!って思っているあなたはもしかしたら「過去の経験」がそうさせているのかも…?

■「ひとりで頑張る自分」を休ませる本

「いい人」でいなきゃと思うとなぜか「困った人」がよってきて、最終的には「いい人」でいられなくなる。「いい人」って実は「困った人ホイホイ」だったりするってご存じですか?

■支配されちゃう人たち

世の中には「支配する人」というタイプが存在します。明らかに暴力や暴言で統制しようとするわかりやすい人から、一見優しそうに見えてあなたが自分で考えることを少しずつ邪魔して「私がいないとダメでしょう?」と刷り込ませてくる人まで…。あなたは「支配されやすい人」ではありませんか?「支配する人」の特徴を知って対策を練ってみても良いかも。


どうしてそういうことをするんだろう?

…のメカニズムを知ったあとは、その人をどうにかしようとするのではなく、あなたが幸せに迎えるように考えて欲しいなと思います。


またリクエストがあればわかる範囲で紹介させていただきます。

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