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🇨🇳#7 デスゲームスタートの青海・日月山4877mへの道(青海Part1)

映画、ゴジラ-1.0をまだみていなくて、これからみる予定がある人は以下9行ほどを飛ばしてみて欲しい。

ヤク(野牛)の群れ

三日前まで新疆ウイグル自治区の海抜マイナス100mの砂漠地帯にいたわたしは今、青海省の海抜4000mの山岳地帯にいる。
ゴジラ-1.0で銀座をめちゃくちゃにしたゴジラは、急速に1500mの海底に沈められてから再び海上に浮上させられる気圧差でやっつけられたが、あの作戦が有効であったことを、このわたしの体が証明した。
つまり、わたしは今、具合が悪いのである。

なんなら、朝は気分まで悪くなるような出来事があった。

わたしが今日参加しているツアーというのは、たった2,000円で広大な青海省の主要スポットを回れる格安ツアーなのだが、昨日電話があり、「大型バスではなく、八人乗りの車にアップグレードしました」というのだ。
(無料で)アップグレードという言葉は大好きだが、それなりの人生経験を重ねているわたしは、「ただ参加者が少ないだけだろう」と、ややクールに受け止めた。

デスゲームの始まり

羊もいる

朝7時、八人乗りのバンには、中国各地の若者がぎゅうぎゅう詰めに乗り込んでいて、わたしが助手席に乗ると全ての席が埋まった。
その途端、運転手さんがまるでお岩さんのように人数を数え出したのである。

運転手さん「一人、二人、三人……一人多い!」
そこからは、デスゲームの始まりであった。

運転手さんは、あと一人迎えに行く必要があるというのだ。そして、車はすでに満席である。

運転手さんが旅行会社から受けとった名簿を確認すると、後部座席に座っている男子二人組が、本来一名になっているという。
容疑者を見つけ出して誇らしげな運転手さんは、男子の一名に高圧的な指示で旅行会社に連絡をさせた。
すると、彼らの申し込み内容(2名)に間違いはなく、なんなら清算まで済んでいたことがわかった。

しかし、後に引けなくなった運転手さんは「そんなことは俺に関係ない、このメールには一名と書いてある、俺のスマホを見ろ」と、男子にキレまくるのである。
男子の一人は「それはあなたたち旅行会社の問題で、僕たちがあなたのスマホを確認する必要はない」と冷静に言い放った。

至極もっともである。
しかし、どうやら正論が人の感情を逆撫でしてしまうということは往々にしてあるようだ。

運転手さん「俺の受けた通知は一名なんだ。今から迎えに行くと客に連絡してしまったのに、どうしてくれるんだ!」

状況を確認しよう。
そうなのだ、これは旅行会社のミスであり、男子たちは全く悪くない。
機転が利くというよりズル賢いわたしがもしこの旅行会社であったのなら、速攻、運転手さんにはそのまま出発するよう指示を出し、待っている一名には申し訳ないが、「事故があって迎えに行けなくなった」とでも言って、料金を返金したり、違うツアーを案内することだろう。

しかし、旅行会社がもたもたしているうちに、不運にもこの運転手さんは「自分不器用ですから」の真っ直ぐさで、残り一名が待つホテルへと向かったのだ。
この時、わたしを含めた誰しもが、「いや、置いてこうよ、その人」と思っていたと思う。

ホテルには、某恋愛バラエティ旅番組を彷彿とさせる雰囲気で、うら若い女の子が一人、スーツケースをひいて立っていた。
そして、我々デスゲームの参加者的にはさらなる不幸でしかないことに、彼女は美人だったのだ。

運転手さん「さあ、この子が乗るには、誰か降りないと出発できないぞ。どんどん時間がおしてるからな」

美人は乗せる前提らしい。
そして、時間がおしてて困るのは、帰りのチケットをおさえている我々旅行者である。

もし国籍で脱落者を選ぶなら、それはわたしである。
また、年齢で選んでも、間違いなくわたしである。
しかし結局、このデスゲームでは、1ミリの罪もない男子達が引き摺り下ろされて幕を閉じた。

青海では、曇った車の窓を3分に一回拭く係に就任

雨の中、駅でもなんでもない場所に捨てられた男子二人を見送って、気まずいままツアーはスタート。

ちなみに、これで参加者は全員女性、男性は運転手さんだけになったので、恋愛バラエティ番組の真似事をするなら、バ⚪︎ェラー路線に変更する必要があるだろう。

タール寺に到着

くだらない話はこれくらいにして、一つ目の目的地であるタール寺に到着。

蓮花山の山裾に広がる寺院

タール寺は、チベット仏教ゲルク派の六大寺院のひとつであり、国家5Aの観光地にも指定されている。

青海でなぜチベット?と思うかもしれないが、青海省には、漢民族だけでなく、チベット族、回族、モンゴル族、満州族など少数民族がたくさん住んでいて、チベット族は2020年時点で約154万人もいるのだ。

チベット族の女性たち

みぞれが降る中、巡礼者が熱心に五体投地で祈りを捧げていた。
わたしも、自分流で手を合わせる。

目があったね

境内のあちこちで犬を見かけた。
イスラム教で不浄の存在とされる犬が、チベット仏教では幸福を招くといわれ、大切にされている。

同じ国に異なる民族、宗教が混在しているというのは容易なことではないが、中国をぐるっと回っていると、わたしより拙い北京語で話す少数民族もたくさんいて、それぞれが自分たちの居場所を守るために、ルールを受け入れて「努力している」のを肌で感じる。
できるだけそれぞれの望む形で文化や信仰が守られて欲しいなと思う。

🐼出発前のどうでもよい内容で話が長くなったので、二部に分けることにしました。
続編「青海の雪山で生き仏に有難いお言葉をいただく」へ。

現在の総移動距離 約9520km
現在の33地域クリア率  33分の4
降り立った都市 8
①上海②新疆ウイグル自治区(カシュガル/ウルムチ/トルファン)③甘粛(敦煌/蘭州)④青海(西寧/海南チベット族自治州)
飛行機  2回
新幹線  1回
寝台列車 3回
普通列車 0回

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